【あんガル】【あんスタ】転校生の独立
転校生姉弟が「ユーザー一致型プレイヤーキャラクター(self-insert)」からどんどん離れていった歴史についてのメモ
日本語が下手です。ご了承ください
転校生=ユーザー=空白
そもそも「ユーザー一致型キャラクター」が一体何なのか定義する必要がある。
前提として、現実の人間は作品の中の世界に生きてるわけじゃない。なので、ユーザーとキャラクターを完全に一致させることはできない。その代わり、キャラクターをユーザーに近づかせるために、「ユーザーの要素をキャラクターに取り込む」「キャラクターの個性を排除する」などの技法が用いられる。
どこまでを「ゲームの中の自分」として認識できるのかはそれぞれ違うだろう。私は②の操縦型が限界ですが。人によっては個性が爆発する⑤の個性型でも名前変更機能さえあれば「ゲームの中の私」に認識できたりする。ひとつ言えるのは、画像で下に行くほどユーザーから遠ざかるってことだ。
『あんガル』『あんスタ』のようなゲームは自由度が低く、プレイヤーが関与できる部分が少ない。カードのレベルを上げる、会話イベントで選択肢を選ぶみたいなユーザーの行動はゲームストーリーと分離されていて、何も影響がない。つまり、物語の登場人物としての転校生姉弟はどれだけユーザーと一致させたくても③の空白型からのスタートになる。
名前
null
転校生=ユーザーだから、転校生くんの名前設定は「とくに設定してない」を越して、「デフォルト名を付けてはいけない」。
マイページではキャラがユーザーのニックネームを呼ぶセリフがあったし(プラットフォームソシャゲあるある)ストーリー内では一切呼ばれなかった。
あんず
弟に反して、姉は「ストーリー主人公名設定」と「デフォルト名」を持って華麗に登場。これが持つ意味が二つ。
①ユーザーとストーリー主人公が分けられている、デフォルトネームが存在できる→あんガルに比べて「転校生≠ユーザー」を肯定するようになっている
②「あんず」という名前はオリジナルではなくあんガルあんずと関係がある要素だから、自然と「キャラ設定」を付加する効果がある。
あんスタから始まった人はこの「あんずちゃん」を普通型PCで認識しやすいけど、あんガルのストーリーを知っている人はあんずの名前一つだけで彼女を一人のキャラクター=個性型PCで認識するようになる面白い仕組みである。
転校生
あんガル!!でも2017年3月のバージョン1.24.2アップデートで名前設定機能が追加……と見せつけてまさかのデフォルト名「転校生」。彼をあんずレベルの「キャラクター」に進化させる気はないと解釈することができる。実際、この設定した名前が呼ばれるセリフも(サ終発表前だと)彼の主体性とは関係ない、彼を慕う女の子たちの愛情表現としての名前呼びばかり。3回しかなかったけど。
███
「転校生」というややこしいデフォルト名のせいで最終イベントまで名前設定機能に気づかないユーザーが多数いた。そんなユーザーたちに転校生の命名を実質強制してきたのが最終イベントだった。まず上のスクショのように、名前設定を「転校生」のままにしておくと不自然なセリフになってしまう。
これに加えて、ストーリー主人公くんはなつみと結婚したいらしく、それ以外の女の子たちを複数人連続で振る衝撃の展開に。これに主人公の名前を自分の名前に設定した人たちが仰天して急遽名前設定を変えることになった。そういうユーザーの認識で「プレイヤーの自分」と「推しを振った憎いこいつ」がはっきり区別された瞬間でもある。よかったのかこれで。
『プロデューサー』
約2年後、あんずには逆の現象が発生。スタ!!の初期に天祥院(の皮をかぶったハピエレ)が「あんず」呼びを禁じて『プロデューサー』呼びを強制(しようとして失敗)。これはユーザーの呼称とあんずの呼称を統一させようとした試みである。これには名前呼びで得られるあんずのキャラクター化を抑える効果もついてくるが、それも運営の狙いのひとつだったんじゃないかと思う。(理由は後述)失敗したのでヨシ!
余談だが、「斑だけはあんずを『プロデューサー』と呼ばない」というのは「なつみはなるべく「転校生くん」と呼ばず「彼」と呼ぶようにしてる」の反映かもしれない。さらに余談だがあの後に斑が日ストであんずを『プロデューサー』と呼んだのは『骨董綺譚』の某セリフ一回だけ。
ビジュアル
弟
(困惑)
私服はいくつか出てるのに未だに髪の色がわからない男。
設定資料に何も書かれてないなら規定されたビジュアルもほぼなかったと思われる。映り込み用の制服設定くらいはあってほしい。
姉
変装した弟のおかげで本人のイラスト化前に髪の色が判明した女。
スカートは名前と同じく、知る人ぞ知るキャラ設定要素として作用した。(あんずに興味ない人は他のキャラとチェックの柄が違うことも気づきにくいが、ガル勢が見たら君咲スカートだとわかる)
アニメの影響としては、スチルにあんずの髪の毛を入れることが解禁されたと思われる。(髪の毛自体は[全力体育祭] 守沢 千秋にも描かれているが、逆光でうまく見えないようになっていて、後日「無修正毛髪案件」が起きた。)[扇の初舞] 乙狩 アドニスはカード実装こそアニメ放映より早いが、アニメの制作準備期間を考えればおかしくはない。
また、あんスタ!!であんずが進級後にネクタイをしているのもアニメのキャラデザなしでは得られなかった変化だと推測する。なお、スカートはアニメ仕様の「他の生徒と同じ柄」に変更されなかったこと、オフィシャルワークスで公開されたNEGIの衣装設定に「主人公より少し丈長め」と書かれていたことから、あんずを描く時用の制服設定が別に存在すると思われる。
そして前の記事でも書いたが、あんずは立ち絵や設定画が一般に公開されたことがない。にもかかわらず制作側もユーザー側も彼女の顔や声を知っている状態で物語が紡がれるので、これも無意識的に彼女を一人のキャラクターとして認識しやすい理由のひとつになる。
背景設定
???の過去
初期企画の内容と合わせると、転校生くんはユーザーの興味を女の子キャラに最大限向かせるために、そしてユーザーとの乖離を最小化するためにキャラ設定はなるべく作らないことになっていた。
ストーリー進行のための最小限の設定はあるが、ユーザーと一致させるために合わせた部分がある。(メインストに姉設定入れるか→NG→なら非血縁設定で)すべてのプレイヤーに血が繋がってない姉がいるわけでもないんだが?永遠の謎である
その最小限の設定も特に資料にまとまってはない。
ただし「初期のころは」という発言から、途中に設定の制約が多少緩くなったと推測できる。
転校生くんの過去
なつみの幼なじみ設定は最初は「近所に住んでいる」「むかし一緒によく遊んだ」くらいだった。(むしろ「送ってくれてありがとう」のセリフから隣の家設定は最初なかったことがわかる)それが「二人で結婚ごっこをしたことがある」(『花嫁』)「すぐ隣の家に住んでいる」(『お泊まり会』)みたいにどんどん発展して、2015年の始まりに開催された幼少期ガチャでは一緒に過ごした過去時点のストーリーが出た。また、「幼稚園の頃からの仲」「小学5年生の頃に転校生くんが引っ越して離れ離れになった」などの重要な過去設定も一緒に解禁された。
これは転校生=ユーザー方針を貫こうとしたら出ることができなかった転校生くんの背景設定と見てもいいだろう。ただし、これは転校生くんを一人のキャラクターとして肉付けするための意図を持っての選択ではなく、なつみや他のキャラたちの物語を広げるためのストーリーに転校生くんの独自設定を入れることが許された、くらいの解釈で見てる。また説明するが転校生くんは色々とキャラクターの領域に達していないからだ。
個人的には『温泉街』で転校生くんの家庭事情に今後触れるかもしれない、と予告していたことも印象的。サービス終了によって叶わなかったが。しずくとつゆりみたいに「家族のおままごと」をしたい転校生くんなりの理由を出してくるんじゃないかと予測していた。
あんずの過去(スタ!)
あんずは例の「面白い仕組み」のおかげで、パラレルワールドといえどあんガルあんずがあんスタあんずの「背景設定」として機能する。
ただし、ユーザー同様制作側にもあんガル設定の認知が強制されないので、サブライターのあんずは平凡な女の子を元に書かれている。ユーザーは「過去があるあんずのストーリー」「過去設定がないあんずのストーリー」を一々区別しないため、印象がごちゃ混ぜになる。
そして当たり前だがあんガル設定を認知してないユーザーはあんずを背景設定が浅いキャラとして受け入れるしかない。(ノベライズなどを読む時に違和感を感じるだろうけど)
これに、全ユーザーが平等に受け入れるしかないあんずの背景設定として三毛縞斑が幼馴染属性を付けて登場した。彼の幼馴染設定は本物の幼馴染と同じくあんずの過去設定を広げる触媒になって、同じく2017年に開催されたSS編のストーリーと合わせてあんずの存在感が増した理由のひとつになった。
弟と違ってこっちは「意図」を読み取れる。SS編自体もアニメ化のためのような展開だったから、アニメに向けてあんずを一人のキャラクターとして認識させたい~みたいな目的が少しはあったんじゃないかと思う。
あんずの過去(スタ!!)
あんずが「あんスタ!」で築き上げた行跡は「あんスタ!!」であんずの過去設定として機能するようになった。言い換えると、あんずは設定を積みすぎたため、(新規)ユーザーが自己投影しやすいプレイヤーキャラクターの範囲を超えてしまった。そしてこれを運営が認めた結果が上のスタッフコメントどおり、出番の縮小と語り部・主人公の交代である。
一人のキャラクターのイメージが強い「あんず」の名前を消して距離感がある『プロデューサー』の呼称で代替しようとしたのは彼女を再びプレイヤーキャラクターの枠に収めるための努力でもあったと推測する。失敗したけど。
自我
キャラクターではない
一番最初の、生徒会長再任選挙編の時点に戻ってみよう。あなたが転校生くんなら、姉がひどい目にあったらしい学校に交換転校することを受け入れられるだろうか。学校の教師や他の生徒たちに疑念、復讐心を抱かずに幸せな学校生活を謳歌することができるだろうか。
このように、転校生くんは自我がある一人のキャラクターとして書かれていなかった。正確には、ユーザーと一致させるためには彼の自我があってはならなかった。彼と似た状況にいたあんスタのモブのほうがもっと自我強い。
『水族館』もこの「転校生くんの自我の無さ」が目立つストーリーの一つ。ゆきが転校生くんに告白をすることで初期企画書の「ユーザーは告白されたりしない」は破れたが、告白の返事のシーンを描いたらユーザー一致を守れなくなるから、ストーリーが途切れてしまう。そして「転校生くん→女の子の感情」が言及されないため、誰も「転校生くんは誰が好きなのか」を気にしないまま告白だの結ばれるだののガールズトークが進み、「浮いた話聞かないから草食系かな」以外には彼の感情や立場に一切触れない。ここの転校生くんは主体性のない、女の子たちの欲望の対象としてのみ存在する。(Objectification)
姉と比べると4年後のあんスタの『アクアリウム』ストーリーであんずは恋愛の話題になったら耳を塞いで逃げるし、(=キャラの自我)斑もその原因を彼女の家庭事情(=キャラの背景設定)から探そうとする。
芽生え (2014-15)
転校生くんは『ショッピング』『雪祭り』『新生徒会就任式』を通してやりたいことを探求して、自分の意志で生徒会長になった。また、『トロピカル』ではゆきの告白を正式に断るような描写がされていて、『バニー』ではしずくのために主導的に騒ぎを起こした。これは自我があるPCの領域に達したと見てもいいだろう。
惜しむらくは、だからと言って一人前のキャラクターとしては扱われてなかったことだ。『新生徒会就任式』でその場にいる(あんずと普通に一緒に住んでいる)転校生よりもすずが「あんずにいちばん近しい人」として髪の長さの再現度を指摘したりするし、『大異変』では他人の願いの内容に登場するだけで、彼自身が願いを持つ描写はない。(=願望や欲望の主体ではない)転校生くんに求められていたのは彼のキャラクター性ではなく、物語をスムーズに進行するための役だ。
その反面、あんスタの転校生ちゃんはガルあんずとしてのベースがあったおかげか、ハピエレがあんガルの経験を経てユーザー=転校生一致の方針厳守を諦めたおかげか、割と最初から自我を持つ一人の登場人物としてスタートを切ることができた。
日日日先生は早々ノベライズを執筆することで自分の中であんずのキャラクター性を確立する機会になったのか、言葉数は少ないけど行動がかなりファンキーなキャラクターを書き上げた。結城先生は女性向け作品中心のキャリアを活かして特有の気強さと優しさを持つ総受け定番の少女主人公を創った。ハピエレが規定した正解(設定)が無いせいで二つの「あんず像」が一致してないのは惜しいが、この時はまだライターが二人だったためストーリー内容のフィードバックがしやすかったし、ユーザーもそこまで強い違和感を覚えることはなかったのように思う。
飛躍 (2016-19)
あんガルリニューアル後にも「転校生くんの自我はあってもいいけど役目には制限がある」のスタンスは維持されるように見えた。(そもそも女の子が71人もいるのに彼を他のキャラより優先する必要はほとんどない)
だが予想より早くサービス終了が決まって物語を完結させる必要ができたので、なつみのことが好きだから拗ねるような描写や、転校生くんの選択が強調される展開(『帰宅部争奪戦』の終幕、『同窓会』のヒロイン選択)が続いて出た。結果的には第4の壁に触れながらも「ユーザーと無関係な、自我を持つ転校生くんの話」で最後のページを飾ることになった。
残念なのは、転校生くんが主役になる話の『新生徒会就任式』『帰宅部争奪戦』『同窓会』は彼が「ちゃんと自分の意志で選ぶこと」がお題になるワンパターンだったこと。そして彼が選ぼうとしたのはもう目の前にほとんど完成されていて(次期生徒会長に必要な生徒たちの支持、帰宅部創立のための準備、幼い頃にだいぶ育ったなつみとの恋)最後の決断だけが委ねられていたこと。
アニメ登場決定まで相まって、口実も増えてあんずの肉付けは着実に進んだ。あんずの自我が全面的に出てるストーリーの例としては『SS』シリーズや『悪魔』『新撰組』『織姫と彦星』『初夢 姉と弟』などがある。特に『織姫と彦星』は同じ時期をあんず本人視点で描写した『七夕祭』よりも彼女の感情、苦悩を繊細に描いていて、権限の拡大を実感できる。
特記すべきは、「あんずが失敗する描写」が許容されたこと。『風雲絵巻』ではあんずが自分の思いのままに行動した結果、忍にラインを超えたと指摘され反省することになった。「転校生ちゃんはユーザー代理だからアイドルキャラに嫌われる非常識な行動を一切してはいけない」みたいな制約が無くて、他のキャラと同じ登場人物として失敗もするし他人に迷惑もかけることが許されている。『サマーライブ』でも壁にぶつかって試練を経験することで成長を決する、少年漫画主人公定番の展開が(Trickstarと同じく)あんず個人にも与えられた。キャラクターしてる!
制御不能 (2020-)
(スタ!!1年目)あんスタ!!はアイドルたちが主人公をやるコンテンツとして再編成され、アイドルの視点で進むストーリーにあんずが登場するパターンが定着し、ユーザーが知らない情報をあんずは知っている状況が多くなった。
『暗夜行路』ではガルアンジーによく使われた「登場せずとも巨大な影響力を発揮する」テクニックが再現された。そして『骨董綺譚』からはプロデュースするユニットに同調する形とは別の、あんずの独断で反ES的なスタンスをとることが増えた。
(2年目)SS編ではあんずがTrickstarの肩を持たないように隔離されたが、「あんずは大会運営側だから(もしくは、それぞれの推しがあるユーザーの代理だから)中立的な思考と行動をする」可能性を追わずに、あんずの意思を認めたゆえに、それじゃこのストーリーでは活用しづらいと判断されたことが印象的。
(3年目)夢ノ咲七不思議編では久しぶりにシリーズものの主人公役に復帰、あんず個人の価値観の方向性とワールド内の位置づけを確立した。また、ESと本格的な対立構造を形成したことで、(全キャラと交流しやすい)非政治的サポート役からまた一歩遠ざかった。
(4年目)クライマックス編では人間関係の格差があからさまになった。あんスタ!でのあんずは「みんなのプロデューサー」として一年を過ごして全キャラの信頼を比較的公平に獲得したけど、!!では「あんずの居場所を自称できるTrickstar」「信頼と協力関係を築いた夢ノ咲ユニット」「個人としての信頼はあるが立場的に距離を置くEden」「絶対的信頼を得るには過ごした時間が足りない新ユニット」に分化した。ストーリーでのあんずの比重もユニットごとに異なっており、例えばスクショの燐音はES1年目の締めくくりになる『マトリックス』の時点であんずと交流した日ストが「第一話(=初遭遇)」と『ホットリミット』しかない。あんずの人間関係はただのキャラ設定じゃなくて、「プレイヤーキャラクターとアイドルキャラクターの距離」でもあるので、あんスタ!!の始まりで運営が憂慮した「構築ずみの関係性」問題が深化しただけだ。
また、スタ!!では①サブライターが増えて一人当たりの執筆分量が減る ②あんずの出番が半分になる ことでサブライターがあんずを描き込む機会が大幅に減った。しかもあんずには規定された公式設定と設定資料がほぼない(と思われる)ため、書くライターの色がやや濃く出る。スタ!の頃は「日日日先生のあんず」「結城先生のあんず」を混ぜて認識すればよかったけど、スタ!!では現役でもあんずが7バージョンくらいいるから、その「あんず像」を一つに合わせることが難しくなった。(アイドルキャラも似たような状況だけど、そっちはハピエレが作った設定という正解がある分マシ)
番外:ノベライズ
二人称視点→神の視点
あんガルのメインストーリーノベライズはまさかの「あなた」二人称視点。はっきり言って読みづらかった。Amazonレビューでも書かれたけど、ゲームブックの文体なのに物語が一直線に進むから違和感がある。下巻のアンケートで「今回の小説の形式(二人称)はいかがでしたか?」の項目が追加されたことから、オーバーラップやハピエレも不評を認知してたと思われる。ユーザー一致のために転校生キャラクターを抑制した選択がユーザーの感情移入を邪魔した結果に繋がってしまったケースと言える。
ヒロインセレクション星海こよい編ではこれが改善されて、物語は神の視点でこよいをフォーカスしながら進行するし、転校生くんは「転校生」「彼」と呼称される。前より読みやすいし書きやすくもあっただろう。
個人的感想としては、この転校生くんは「不器用なところもあるけど基本的に優しくて良い子」という印象で、相変わらず喋らないけどなんならゲーム全編よりも姿がはっきり見えた気がした。
一人称視点+α
反して、あんスタのノベライズは最初から「私」一人称視点。あんずが考えていることが詳しく記述されていたし、あんガル関連設定も露骨に出ていた。また、短編で英智やちづるの、第三者の目線で見るあんずの描写もあってキャラのイメージも具体化されていた。
そして決定打としてあんずの、あんず(の存在・転校)による、あんずのための(「ちょっとした贈り物」)、『Crosstalk』があった。ただの交差した会話という意味じゃないんだなこれが。検索してみてね。
当たり前だが、制作側がプレイヤーキャラクター像を具体的に提示するのはユーザーの自由な想像を否定したいという邪悪な意図の行動ではない。あんガル最終イベは多少悪意を感じるが ただ、それが目的じゃなくても、想像の幅を狭める結果に繋がる効果はある。私が書いてるこの文も同じく。
今後
転校生くんの到達点
転校生姉弟は二人とも個性を持つキャラクターまでは進化できたけどそのレベルや過程には大きい差がある。その証の一つは彼らをキャラクターとして認識して愛する「推し」の存在だ。弟が最推しのあんガルユーザーは希少だったことに対して、あんスタで姉の推しは見かけやすいし最推し、単推しのユーザーも結構いる。
転校生くんはサービス終了後、7周年SSや10周年アンソロジーSSに登場してない。また、あんスタで姉によってちょいちょい言及されて情報出てたのも『初夢 姉と弟』(19/01/14)を最後に途切れた。燃え尽きたぜ…真っ白にな…
あんずの現在地
あんずのES離脱は純粋に日ストのあんずの自我が招いた結果だ。ユーザーが推しの近くに居たい気持ちや、助役キャラクターとしての活用度を優先したなら退社させるべきではなかったし、少なくともアイドルと同じタイミングで退社させるべきだった。
スタ!!5年目のオーディション編は少ない出番ながらもナイス第一話の「あんずの色」ネタを回収することに成功、ES勤めの頃と違って今後はあんず自分の価値観を実現するお仕事をすると匂わせている。独立後の未来が予告されている。
問題としては、元からあった「個性があるキャラクターだからユーザーとは違う人物になった」を越えて、「『みんなのプロデューサー』であるプレイヤーキャラクターの位置から脱線した」こと。もうあんずはアイドルたちの専属プロデューサーでも、ES所属のプロデューサーでもないからESアイドルをプロデュースする義務もないしストーリーに登場させるためには口実が必要になった。ゲームシステムは変わってないのに。違う意味で「会社の用意した世界観の外にいる」。
だからサブライターのストーリーでは前と大きく変わらず、ごく普通にあんずがES関連の仕事をたくさんしている。フリーランスになっても物語上のポジションは独立前と変わらない。そうすることで彼女をまだプレイヤーの位置に縛っている。そのように誤魔化している。独立設定を台無しにしている。
今後「ライターごとに味わいが若干ちがう」のがイメージや性格の描写に留まらず、行跡の差まで広がったら、その時はもう「ちょっと離れた世界」として解釈した方が楽かもしれない。
全部じゃないけど色々詰め込んだら過去最大文字数に...…
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