第209夜 過ぎたるは猶及ばざるが如し
今夜の写眞機は、MINOLTA APEX 105です。ミノルタのブリッジカメラ。時代を先取りしすぎたカメラです。
京セラ サムライがハーフの縦型だったのに対して、APEX105は、横型の35mmレンズシャッター式カメラです。
レンズは、ミノルタレンズ35mm/F4~105mm/F6.7のズームレンズで、径は40.5mmです。レンズの横は、上段からAF補助光レンズ・セルフタイマーランプ、その下にズーム式ビューファインダーがあり、一番端にフラッシュとなっています。
グリップとズームボタン付近の形を見て分かる様に、両手で掴んで撮影します。TTL位相差検出式AF、0.7m~∞(ワイド)、1.2m~∞(テレ)、AFロック(シャッター半押し)、低輝度時はAF補助光照射(5m以内)、動体予測フォーカス付きで、露出は、2分割SPD使用のプログラムAE、連動範囲:EV5~17(ワイド)、EV6.5~18(テレ)です。
このカメラの最大のトピックが、全自動でズームがスタートして、ズーミングする機能です。電源を入れると、AFが準備動作して、撮影者がフィンダーを除くと、アイスタートシステムにより起動し、被写体に対して、アドバンスプログラムズーム機能で撮影倍率が自動設定されるというお節介な機能が搭載されていて、当時のカメラ好きの人達から全否定されました。
右のシャッターボタン側です。一見スマートそうなボディーはご覧の厚みで、女性には握り切れないのではないでしょうか。
左側、ズームボタン側です。このズームボタンは、両方を押したまま、電源を入れると、アドバンスプログラムズームをキャンセル出来る様になっています。ゲーム機の隠しコマンドの様です。鳴り物入りなのに解除できるというのは、薄々拒否されると思ってたんでしょうね、実に潔くないw
背面です。ファインダーの下にアイスタートの為の窓があります。後はサムライと同様になにも出来ないです。スライドスイッチのデザインが実にダサいw
左サイドのロックを外すと、右ヒンジでガバっと開きます。
フィルム室です。ここで?となった方、鋭いです。冒頭で、レンズシャッター式と書いたんですが、フォーカルプレーンのシャッター幕の様なものがあります。これは、遮光幕で、こんな動きをするようです。
遮光幕の前に、小ミラーがあって、通常はレンズシャッター全開状態のまま
撮影レンズからのTTL光をAFとAE用に採光・計測して、シャッターが押されると、一瞬のうちに以下の様に動くようです。
① 全開だったレンズシャターが一旦、完全に閉じる
② 小ミラーが光路上から退避
③ 「遮光幕」が開いてフィルムが光路上に露出する
④ レンズシャッターが作動し「必要な分だけ」開いて露光がされ、閉じる
⑤ 「遮光幕」が閉じる
⑥ レンズシャッターが再び全開し、小ミラーも戻る
なんか、前あったな似た様なのが…ちなみに、電子制御プログラム式のシャッターは、1/2秒~1/5000秒です。
蓋の裏側です。フィルム押さえの横にデート用の電池室かあります。
フィルム派オートローディングです。ここにフィルム先端を入れて蓋を閉めるだけです。
DXは、自動設定でISO25~3200です。
底です。握ったときの親指が収まるため凹みがあります。一応、三脚穴は、光軸上にあります。ボディーに厚みがあるお陰で、電池は縦にリチウム電池を2本入れます。途中で巻き戻すのも、使わないだろうと云うことで、蓋の下にリワインドボタンがあります。
黎明期のデジカメよりデジカメしたデザインですが、未来を先取りとはいえ、趣味性の強いものを自動化するのは敵を作るというのが、痛いほど分かったんではないでしょう、ミノルタ…もうないけど