転生炎獣解説(プロトタイプ)
はじめに
皆さん、こんにちは、ATMです。
今回は福井CSに持ち込み、6-2という成績で3位に入賞した、「フレイムバッファロー」採用型の「転生炎獣」デッキの解説を行っていきたいと思います。
私自身、直近10か月ほどはまともな大会への参加機会がなかったものの、陰ながら構築理論自体は練り続けていたので、今回の新環境一発目のCSで結果を残せたことは嬉しく思っています。
本記事では、環境初期ということもあり、「バッファロー型」の構築理論だけでなく、「デバッカー型」の構築理論や各対面での立ち回りで意識するべきこと、その他の採用候補パーツ、今後の環境変化に合わせてのチューニング方法なども記載してあります。
そのため、購入時の環境だけでなく環境が変わった後でも継続的に有用となる情報をまとめたものとなっています。
その分、後半部分は有料となっておりますが、ご容赦ください。
注意
本記事はまだ執筆途中であり、有料部分が完全には完成しきっていません。
完成した際に改めてTwitterアカウントなどで告知を行い販売を開始しますので、お急ぎでなければ、完成品をお待ちいただいてから購入された方がよろしいかと思われます。
今期の環境定義の確認
まず、現在の環境の根本部分を定義しているのは前期に引き続き「電脳堺」です。
「電脳堺」デッキはギミックが「エフェクト・ヴェーラー」や「無限泡影」といった汎用的な手札誘発に強く、展開成立後の完成盤面も強力であるため、その他のデッキにも否応なく対応を迫っています。
そのため、「エフェクト・ヴェーラー」のような汎用的な手札誘発が実質的に価値を失い、他の手札誘発がメインから採用されるようになっていきました。
「PSYフレームギア・γ」「屋敷わらし」「スカル・マイスター」「原始生命態ニビル」のメイン採用が増えているのはこのためです。
この時、「エフェクト・ヴェーラー」が環境から消えたことで恩恵を受けるデッキが一定数出てきました。
それは、初動が細いが、初動さえ通せば強い動きが可能になるタイプのデッキです。
私はこれらのタイプのデッキを「通らば」デッキと一括りにして呼んでいます。
具体的な名前を挙げるならば、「海皇」「デバッガー型の転生炎獣」「ドラゴンメイド」といった、強力な1枚初動を保有するデッキです。
実際に、これらのデッキは12月中盤までは散見されるデッキタイプでした。
しかしながら、「ドラゴンメイド」を除く多くの雑多な展開系デッキ、「通らば」デッキは「エフェクトヴェーラー」に変わって大量に採用されるようになったその他の手札誘発達に駆逐されていきました。
手札誘発を受けてもリソースが残る「電脳堺」デッキと比較したとき、それらのデッキの多くは「エフェクトヴェーラー」以外の誘発への耐性も結局は強く持ち合わせてはいなかったからです。
しかしながら、ドラゴンメイドは初動である下級さえ通せば動きが最低限完成するだけでなく、代わりに採用された手札誘発を重く受けることが少ないデッキだったために環境に定着しました。
こうして、既存の誘発を強く受けない「電脳堺」と、既存の誘発を受けるがそれらは環境に存在せず、誘発を多く扱える「ドラゴンメイド」、この2種類のデッキが環境定義を行い、覇権を争っている状態で、新環境はスタートしました。
今期の間はこの2つのデッキのどちらがメタ対象として厚く見られるかを読み取り、それらの環境予想から、自身のデッキをチューニングしていく環境になると考えています。
ここからは、この環境定義を元に「転生炎獣」の環境的な優位性を解説していきます。
「転生炎獣」の環境的な優位性とは何か
今期の「転生炎獣」がデッキとして持つ優位性として
・「転生炎獣」罠カード2種類の質が高く強い
・ランク4をギミック内で扱える
・手札誘発を多く扱える
・環境に存在する手札誘発を重く受けない
・手札誘発を多く扱うデッキとの対戦で強い
・ワンキル条件が簡単。
といった性質が挙げられます。
これらの優位性の中でも「転生炎獣」罠とランク4を扱えるという性質は「コードトーカー」「ドラゴンメイド」といった誘発、罠を主体としたビートダウン、その他の類似デッキとの明確な差別点となります。
特に今期は「サラマングレイト・レイジ」及び「No.41 泥酔魔獣バグースカ」の通りが良い環境であり、上記2点の性質だけでも「転生炎獣」をデッキとして選択する価値が十分にあると考えています。
また、後半に挙げた「手札誘発を上手く扱えて、自身は手札誘発を重く受けない」という性質は、手札誘発を主体としたビートダウン環境になるほど、その強みを増す性質です。
直近のCSでは「ドラゴンメイド」が「電脳堺」からトップシェアを奪い、「プランキッズ」も流行の兆しを見せるなど、誘発ビートダウンのミラーマッチが頻発する環境へと変わりつつあります。
バッファロー型の「転生炎獣」の真の強みは、こうした誘発環境を強く生き抜くことができることだと言っても良いでしょう。
つまり、バッファロー型の「転生炎獣」デッキは、「電脳堺」へのガードを固めたまま、その他誘発デッキとのリソース勝負を制するためのデッキ選択だといえます。
デッキリストと構築理念
こちらが、先日の福井CSに持ち込み、6-2の成績で3位に入賞した「フレイムバッファロー」採用型の「転生炎獣」のリストです。
メインから誘発が5種10枚採用されており、サイド後は最大8種18枚の採用が可能となっています。
このように構築内に環境デッキの中でもトップクラスの枚数の手札誘発を採用することに成功しています。
そして、これだけの枚数の手札誘発を採用しているにも関わらず、「転生炎獣ガゼル」「転生炎獣Jジャガー」1枚から最低限の動きを作ることができるため、事故率は非常に低いです。
上記2種のモンスターにアクセスするためのカードである「転生炎獣の炎陣」「サイバネットマイニング」も初動に換算することができるので、メインデッキの中に1枚で初動を作ることができるカードが9枚存在しています。
更に「転生炎獣フォクシー」+「転生炎獣」カードも初動となるため、展開を始めるためのハードルが低く、ストレスなくゲームに望めます。
これらの基本的な安定性があるだけでなく、「フレイム・バッファロー」を経由した場合には、デッキを圧縮しながら、「転生炎獣」モンスターを墓地に置きつつ展開することが可能です。
「フレイム・バッファロー」を経由することができれば、追加のドローから引き込んだコンボパーツから更に強くギミックを回して展開したり、各種「指名者」や「灰流うらら」で相手の手札誘発を妨害したり、といった強気な回し方も可能となります。
このように構築内に確保した潤沢な手札誘発で相手の動きを弱めた上で、「転生炎獣」ギミックを回して展開を行い、「転生炎獣」が得意とするリソースゲームに持ち込んで勝利することがこのデッキの基本となる1つ目のコンセプトとなります。
また、このデッキはリソース勝負による消耗戦に強いという明確なメリットを持ちますが、ロングゲームでしか勝てないデッキではありません。
具体的には、サイバース族モンスターでリンク値4を稼ぐことさえできれば、「アップデートジャマー」を混ぜ込んだ「アクセス・コードトーカー」から3面破壊を行った後にワンキルを行うことができます。
このワンキルルートに移行するために必要な条件も非常に緩く、
・「転生炎獣ガゼル」+サイバース族モンスター
・「転生炎獣Jジャガー」「転生炎獣フォクシー」「転生炎獣スピニー」の中から2種類
といった比較的緩めな条件が揃えば、1ターン目からでもワンキル展開に移行することが可能です。
もちろん、これは墓地リソースが残っている2ターン目以降はより簡単に狙うことができるため、やり取りを行い、相手が消耗して隙を見せた瞬間にワンキル展開を叩き込むことで一瞬でライフを消し飛ばすことが可能です。
このように広い条件から派生する高い攻撃力を有しているため、条件さえ整えば後手のGつっぱも視野に入ります。
高い攻撃力を活かしたワンキルがこのデッキの第二のコンセプトであるといえます。
これらの性質から、今期の「転生炎獣」デッキは短期戦、長期戦のどちらも苦手としないバランスの取れたデッキだといえます。
短期戦が可能なギミックがエクストラデッキに用意されているものの、メインデッキには長期戦が可能となるチューニングを施しているため、両者のメリットは矛盾しません。
ワンキルするタイミングが訪れるまでの間、ギミックで耐久を行えるデッキだと認識してもらえると、デッキのイメージも掴みやすいのではないかと考えています。
このように「転生炎獣」デッキは、自身がゲームレンジを自由自在に調整できることを強みに、対戦相手の苦手なゲームレンジに合わせて自分のデッキをチューニングし直し、自分の得意なゲームレンジに相手を引きずり込んで勝利することを目指します。
「デバッガー」型と「バッファロー」型の違い
今現在、世に出ている「転生炎獣」デッキには「レディ・デバッガー」に召喚権を割く「デバッガー」型と「フレイム・バッファロー」に召喚権を割く「バッファロー」型の2つが大まかな分類として存在していると感じています。
個人的には「レディ・デバッガー」を採用した「転生炎獣」と「レディ・デバッガー」を不採用とした「転生炎獣」という2つのくくりがあると考えており、後者に「フレイム・バッファロー」を必ずしも採用しなければならないと考えているわけではありません。
しかしながら、今回は話をスムーズに進めるために、敢えて、「デバッガー」型、「バッファロー」型という呼称を使っています。
各種カードの必要性については、本記事の中で触れていきます。
また、余剰スロットを手札誘発に充てるか、罠に充てるかは最終的な各自の好みと環境読みに依存するため、別段型として分類するほどの必要性があるとは考えていません。
基本的には、これら2種類のカードのどちらに重きを置くかを決定した後、構築の細部を好みに合わせてチューニングしていくことになると考えています。
さて、両者は同じく「転生炎獣」というテーマを主軸に据えたデッキであり、パッと見は似たようなデッキです。
しかし、私はこれらのデッキは構築理念に天と地ほどの差があると考えていますし、なんなら構築理念に差があるべきだと考えています。
端的に言うならば、「デバッガー」型の構築は、ワンキルを行うにあたって「バッファロー型」よりも有利です。
1枚初動からゲームを決めることができるという性質を「バッファロー型」よりも強く持っているため、手札誘発や各種サイドカードで相手の手数を削ってからのワンキルを狙う場合、デバッガー型に利があると考えています。
つまり、短期戦により強いチューニングをする際に好んで採用するべきカードの筆頭が「レディ・デバッガー」であり、合わせて採用されるカードが「パラレルエクシード」その他 である、という考えです。
これらのことから、ワンキル性能以外の面で明確な差別点がなければ、「フレイム・バッファロー」を採用する意義は薄いと考えています。
では、私が今環境の「バッファロー」型に見出した「デバッガー」型に勝る価値とは何かといいますと、それは「相手からの妨害への強さ」です。
分かりやすくいうならば、手札誘発への耐性です。
前期終盤(12月頭あたり)は、メインから採用される手札誘発は「PSYフレームギア・γ」が主流になり始めたあたりでしたが、今期はそれらに加えてメインから「屋敷わらし」「スカルマイスター」までもが採用されるようになっています。
「転生炎獣」はデッキのギミックを回すことで無限のリソースと妨害を獲得できるデッキですが、そのためには墓地を経由した展開が不可欠です。
そのため、先ほど挙げた「屋敷わらし」「スカルマイスター」といった墓地を経由する展開へのメタが当たる場面にしばしば遭遇します。
この時、「転生炎獣」ギミックを細く回していた場合、どこかでギミックが止まり、展開が不十分なものとなってしまいますが、「転生炎獣」ギミックを太く回していた場合はそれらの妨害を物量で乗り越えて展開を完遂できるようになります。
この「転生炎獣」ギミックを太く回す、という観点で墓地に「転生炎獣」モンスターを置きつつ、追加のドローソースとなり、デッキのパワーを上げる「フレイム・バッファロー」は非常に有用です。
従来は「転生炎獣」ギミックを太く回して展開を行っても得られるリターンが少なかったため、このようにギミックをフル回転させることを主目的とする構築は流行しなかったと考えています。
しかしながら、今期の「転生炎獣」は前述の通り、サイバース族でリンク値を伸ばす、という行為がワンキルルート形成に繋がるため、ギミックとして無駄がありません。
従来は展開力を増した際に、ネックとなりがちだった「増殖するG」も、積極的なGつっぱを視野に入れられる攻撃力を手に入れた今では、以前ほどリスクのあるカードではありません。(※)
※「増殖するG」は「転生炎獣」にとって未だに非常に重いカードではありますが、ワンキルの選択肢が増えただけ従来より数倍マシ、という認識。
このように、「転生炎獣」ギミックを太く回す、という観点において、現在の「フレイム・バッファロー」は「レディ・デバッガー」にも負けず劣らずの価値を持つデッキのパーツになっていると考えています。
その他の「フレイム・バッファロー」の価値、使い方は各カードの個別解説にて行います。
「デバッガー」型を否定するわけではなく、各構築には、それぞれメリットがあり、環境によってどちらに優位性があるのかも変化するので、固定観念に囚われず、どちらの型も触って最終的にどちらを優先するのかの判断をしてほしいと考えています。
各種採用カード解説 メインデッキ編
サンプルリスト(2回目)
・転生炎獣ガゼル×1
デッキ内最重要カードであり、ギミックの強さを支えるキーカードです。
効果の成立で1枚からあらゆる方面へゲームメイクができるため、ガゼルにアクセスすることがデッキのパワーを引き出すことに繋がります。
効果の成立がゲームメイクにおいて非常に重要であるため、従来は最も妨害を受けやすかったカードです。
しかし、「エフェクト・ヴェーラー」系の手札誘発の数が環境から減っているため、「ガゼル」へのアクセス成功=展開の成立、に繋がりやすくなっており、環境の変化によって相対的に強化されています。
「ガゼル」の効果の通りが良いことは、「転生炎獣」が環境デッキとして活躍できる1つの大きな要素であると言えるでしょう。
制限カードなので1枚のみの採用。
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