杭州アジア大会 野球中国代表総評

Teams & Rosters - XIX Asian Games 2022 | Men's Baseball (wbscasia.org)
大会公式のサイトがさっそく爆破されたのでWBSCからデータを参考


総評

結果的に見ればいつも通りアジア4強の中で4位という戦績なのだが、13年ぶりの地元開催である今大会では内外にそれなりのインパクトを残せたのではないか。

ハイライトはやはりA組での日本戦勝利である。U15以上のカテゴリで日本のチームを中国が破るというのは史上初とされている。日本は例年通りプロではなく社会人選抜を代表として送ってきたが、それでも勝ったことは無かった。前回のジャカルタ大会では2-17でコールド負け、その時のメンバーのうち6人が今回の日本代表にも引き続き参加していた。その他面々を見てもかつて或いは今もドラフト候補に挙げられるようなエリートが集っている。それを打ち破った10月3日は大学生中心の韓国代表を破った2019年BFA大会をはるかに超える中国野球史に残る一日となった。

その原動力となったのはやはり守備面、特に投手陣の奮闘である。WBC日本戦では緊張かボール対応に苦しんだのか四球を連発して降板した王翔が今大会ではいとも簡単に直球、変化球双方でストライクを取っていく。ランナーを出しても固い内野陣が何度もダブルプレーで救う。若い投手がピンチを作って降板しても蘇長龍や鄭超群のベテラン投手陣が見事にシャットアウトする。WBCでは出し切れなかった持ち味が存分に発揮された大会だった。

一方で打撃は打率3割越えのバッターが数人いたにもかかわらず繋がりに欠けていた。終盤では打順の上位に調子のよいバッターを固める作戦に出て多少効果はあったが、打てる回と無抵抗で終わる回のギャップが目立った。ランナーを出しながら後続が三振することで進めることができず、或いは打てないあまりにバントを試みるが失敗して簡単にアウトを相手にあげるという場面が何回も見られた。首脳陣も今大会の課題を打撃面に求めていた。

大会全体の盛り上がりは好調であった。5000人のキャパがある球場に毎試合3000人超が来場、関係者用か何故かいつも開いているバックネット裏上段の存在を考えると上々の客入りといえる。単に試合を行うだけでなく、ルールをあまり知らない観客のためにプレーごとに説明がアナウンスされ、投球間のちょっとした間に効果音を流し、5回終了後のグラウンド整備ではチアリーディングのショーが行われた。これらの演出は棒球協会の推薦により雇われた台湾人の王雲慶によるものである。彼は国際大会での実績が豊富でWBCの演出も担当したことがある。初めて野球の試合を見る観客を飽きさせない雰囲気を作り上げることに成功していた。
台湾体展导演:增添“氛围感” 收割“棒球粉” - 台胞人物 - 华夏经纬网 (huaxia.com)
また、試合中継ではCBLの中継でおなじみ威風科技のスタッフが長年の経験を活かし質の高い映像を提供していた。
记录第19届杭州亚运会荣耀时刻!星拓视联为最高制作标准赛事转播护航_动作_团队 (sohu.com)

将来への投資の観点から見れば、今大会のために建設された紹興球場の存在は大きい。国内での野球普及の大きな足かせになっているのは試合を行う環境の不足であるが、近年標準規格を満たした球場が各所に建設されるようになり、本球場もその流れの一つに挙げられるだろう。今大会用に建設された施設の中では最大規模であるこの球場は、二つの大型ディスプレイを外野に設置、グラウンド下には強力な排水設備を完備、アメリカの球場で使われるものと同じクレーが使用された国内最高級の野球場で、今後は国内外の大規模大会や国家隊の訓練地として使用される見通しである。
また、绍兴棒球未来社区という都市開発プロジェクトにおいて球場はコミュニティの中心として位置づけられている。紹興市全体においても市内の学校では野球活動が推進されるなど球場建設をきっかけとして普及活動が進んでいる。
亚运城市|探访绍兴棒垒球社区,杭绍同城化的一次测试 (yicai.com)

来年にはこの紹興棒塁球体育中心で中国初のWBSC大会となるU23選手権が開催される。今回選考された選手のうち10人がその出場要件を満たし、代表候補の筆頭となるだろう。梁培や楊晋といったトップチームの攻守の中心選手が参加できない状況下で新たなスターが誕生することを祈っている。

前進!前進!前進!進!

試合評

ラオス戦 ラオス0-15中国(5回コールド)

予選ラウンドを勝ち抜いてきたラオスとの初戦
相手のエラーに乗じてヒットを重ね最終的にはコールド勝ち
投手陣は5人の継投で無失点と地元開催の初戦を快勝で飾った
登板した投手の中で先発の崔恩庭と甘泉の調子がいまいちであったのが不安材料

フィリピン戦 フィリピン0-2中国

事前予想では最大のライバルだったフィリピン相手に完封勝ち
2019年BFA選手権で敗れた際と同じ先発Romeo Jasminと対戦
球速は遅いが緩い変化球を多投、時に下手から投げるのらりくらりとした投球の前に中盤まで抑え込まれる
6回、先頭の梁培が2本目のヒットを放つと寇永康の打球をセンターが捕球できずタイムリー三塁打に
次の回もエラーが絡んで追加点を挙げるとそのまま逃げ切った
先発の王唯一は5回無安打5奪三振の完ぺきな投球、二番手の黎凝佶は高めに浮きがちだったが要所を抑えて無失点リレー

日本戦 中国1-0日本

前回大会では2-17でコールド負けしている社会人代表を破った今世紀最大のアップセット 
打線は今季好調で150超を連発する森田駿哉を序盤から攻め、2回に満塁から梁培のタイムリーで先制
先発はWBC日本戦で四球連発により降板した王翔
この半年での成長ぶりを見せつけるように5回を無四球無失点に抑えた
二番手の索旭迪が回跨ぎで崩れると蘇長龍を投入、捕飛と二つの三振で最大のピンチを切り抜けた
最終回には黎凝佶が走者を二人出して降板したが鄭超群が三振とダブルプレーで試合を締め会場の盛り上がりは最高潮に達した
3回の併殺完成で内野陣も試合を守り立てた
実力差を成長により4年前より縮め、要所での締めと運で乗り越え掴み取った勝利
一方で5回以降走者を出せていない打撃面での不安が残った

台湾戦 台湾4-1中国

点差だけ見ると接戦だが内容は今大会ワーストの試合
試合テンポが悪くダラダラとした展開
先発甘泉が乱調で1回2失点
その後も投手陣は球審の狭いゾーンにも苦しめられ11四球(+3死球)
打線は相手と同じく6安打を放つも高速投手陣の前に15三振
一方で華旦才譲の好投や古林睿煬から粘った末にヒットを打った寇永康の打撃など見どころはあった
もう少し何かやりようがあれば勝てた可能性もある

韓国戦 韓国8-1中国

WBCの悪夢のリベンジならず最大戦力の前に力負け
王唯一、王翔、黎凝佶の若手投手陣は2本塁打を含む10安打で6失点
選球眼を備え、追い込まれても粘り、鋭いスイングから安打を重ねる強力な韓国打線を抑えることができなかった
攻撃陣も淡々とアウトを奪われ陸昀のタイムリーによる1点のみ
前日の登板での汚名を払拭した伊健の4回2失点(自責0)の好投で試合の体を保つことができたのが救いか

三位決定戦 日本4-3中国

運命の一戦も終盤のミスにより逆転負け
初回に曹傑のタイムリーで先制するもすぐに逆転される厳しい展開
3回に寇永康が堀誠から2ランを放ち試合を優位に進めた
先発黎凝佶は一時逆転を許すも粘り4回2失点4奪三振
2番手王翔は3イニング目まで完璧な投球だったが7回に崩れ同点に
ピンチの場面で前回と同じく蘇長龍を投入するが四球と投手強襲で満塁とされる
ここで5番南木寿也はボテボテの当たりも不可解にも定位置のままだった守備陣が一つもアウトを取れず勝ち越される
中盤以降は打撃も繋がりを絶ち、6回は明らかに本調子ではない田澤を攻めきれず、7回には嘉陽から先頭安打も二者連続送りバント失敗で無得点と拙攻が続いた
最後は佐竹功年の圧倒的な投球に手も足も出ず2回4三振で終了
中盤まで優位な展開であっただけに勝ちきれなかったのが痛い

選手評

来年のWBSC U23出場可能な選手には☆を付けた

投手

☆王唯一 ワン・ウェィイー RHP 江蘇 

19年WBSC U18、23年WBCと着々と国際経験を積んでいる21歳の国家隊エース
直球は最速143(修正前-8~10kmガン)、151(修正後+3~5kmガン)で推定150弱と中国トップクラスの速球を誇り
その上カウントと三振双方を取れる多彩な変化球を備えた本格派
フィリピン戦では5回無失点と勝利に貢献
一方で、韓国戦では粘り負けて金周元に2ランを被弾するなど2回途中3失点
日本戦では最終回に登板するも乱調で2四球を出し1アウトも取れず降板と後味の悪い結果となった
全体的なレベルアップを果たして来年のU23でもエースとして上位国相手に大活躍することを期待している

☆王翔 ワン・シャン LHP 上海

実績が乏しい中で選出されたWBCでは四球連発で早々に降板する苦いデビューとなったが、CBLで結果を残し再び代表入り
二度の日本戦での好投を含む3試合10.1回でERA2点台、無四球の代表一の成績を残した
最速147(修正後ガンで推定144)の直球と台湾からのコーチによる指導で磨かれたスライダー、チェンジアップで打者を翻弄した
成長期が終わったばかりの19歳左腕、188cm68㎏(自己申告)という細すぎる体形
今後の伸びしろの大きさは相当なものと伺える

☆黎凝佶 リ・ニンジー LHP 江蘇

今年のCBLで防御率と奪三振の二冠の実績を引っ提げて代表入りした江蘇の若き左腕エース
4試合に登板して10回10Kと奪三振能力の高さを証明した
テイクバック動作を二回行う変則的なフォームから直球の球速は最速144(修正後で推定141)、平均130中盤ながらスピンが効いており空振りを奪える
一方で制球面で不安定さがあり5四球、時折ボールが高めに抜けて痛打される場面も目立った
王翔とはタイプの異なる左腕として使い分けることができそう

☆伊健 イー・ジェン RHP 広東

MLBDCからブルワーズ傘下でプレー、U18での経験も豊富なエリート投手
エース候補としてWBC代表入りもコマンド面の課題を露呈、CBLでも打ち込まれることがありアジア大会で結果を残せるか不安視されていた
初登板となった台湾戦では2回途中2安打3四死球と大乱調
評価が地に落ちた翌日の韓国戦では一転して4回5奪三振と好投
スライダー、カーブ、チェンジアップによる緩急を活かした投球で韓国打線を翻弄し、エラーがらみで2失点したとはいえ予想以上のピッチングを見せた
最速は145(推定142)とDC時代から変化が無く、国内環境で本格派としてレベルアップするよりは変化球中心の投球スタイルを確立したほうが今後の成長に繋がるのかもしれない

☆索旭迪 スォ・シューディー  RHP 北京

2021年の全運会でも登板した21歳右腕
ショートアームから投じる球威のある速球と落ちるスライダーが武器
大会前の台湾との練習試合では先発して2回完全投球
最速は148(修正後ガン)とチームで二番目の数字を残し、台湾の打者相手にも押し込めていた
2.2回で5四球(+1死球)の制球力が課題で、直球は高めに抜け、スライダーは引っかける傾向が強かった
全体的な精度の向上と共にカウントを取れる変化球を増やすことが成長のカギ

☆華旦才譲 ホァダンツァイラン LHP 広東

MLBDCのエースとしてアンダーカテゴリでの実績が豊富なチベット人左腕
アメリカに渡るも結果を残せず帰国して広東入り
台湾戦で甘泉の後を受け2回から登板すると5回まで無失点
6回に制球を乱し、狭いゾーンも相まって三者連続フルカウントからの四球を出して降板したが上々のデビューとなった
188cmの大柄な体格から最速146(推定143)の速球、カーブとチェンジアップを投じる
高校時代から球速が伸びておらず、フォームもまだぎこちなさが残る
素材としては一級品なだけに大成してほしいが伊健と同じく国内環境でどこまで伸びるのか考えてしまう

蘇長龍 スー・チャンロン LHP 天津

今年のWBC代表にも選出された41歳のベテラン左腕
今大会ではリリーフの切り札として起用されていた
日本戦では無死1、2塁で大ピンチで登板、2つの三振と捕飛で切り抜け勝利に貢献した
続く三位決定戦では同じくピンチで登板も再現ならず勝ち越しを許した
テイクバックを隠すようなフォームから140弱の速球で空振りを取り、変化球でカウントを取る熟練の投球
天津では兼任コーチとして出番が少なくなる中での代表入りも納得の活躍

鄭超群 ヂュン・チャォチィン RHP 江蘇

17、23年WBCや前回のアジア大会代表にも選ばれた30歳右腕
独特のオーバースローから140前半(計測最速は修正後ガンの143)の直球と落ちる球が武器
日本戦では最終回無死1、2塁の場面で登板すると三振とダブルプレーに抑えて勝利を決めた
韓国戦では粘りの投球で無失点、三位決定戦では王唯一の作ったピンチを処理するなど若手中心の投手陣を支えた

崔恩庭 ツィ・オンティン RHP 天津

前回のアジア大会でも代表入りした天津の主戦右腕
190cm110㎏の巨体ながら130前半の直球と緩い変化球を多投する軟投派
ラオス戦で先発したほか台湾戦では華旦才譲の作った無死満塁のピンチを死球押し出しの1点に抑えた

甘泉 ガン・チュアン RHP 四川

17年のWBCで日本戦に先発した右腕 前回のアジア大会代表
初登板となったラオス戦ではいきなり二者連続四球を与え先行き不安な投球となり、台湾戦での先発でその懸念が的中
狭いゾーンや味方の落球などの不運もあったが、あらゆるボールが抜けたり引っ掛かりと初回2安打3四球
運よく2失点に留めたが大荒れの投球で1回限りでの降板となった
長身オーバースローからの球筋の良い直球が売りだが最速は143(修正後+3~5kmガン)で、スライダーはほとんどストライクに入らなかった
この調子だと似たタイプの上位若手投手がいる中でなぜ選出されたのが疑問
四川から投手を選ぶにしても、同タイプなら若い周鴻亮がいる上、貴重なサイド右腕の李富龍や軟投派左腕の趙偉などバラエティを考えると他にも候補はいたはず
経験を買われたにしろ他のベテランが結果を残す中で不甲斐ない結果となった

野手

☆寇永康 コウ・ヨンカン LF 上海

マイナー経験のある左打ちの外野手
北京大成→MLBDC→ブルワーズ傘下と同期の伊健と同じキャリアを歩んだ
WBCでも活躍を期待されたが結果を残せず
CBLでもチームに左打者が揃う中であまりプレーが目立たなかった
一方でファン投票により「最人気球員」に選ばれ、一部界隈では「人気だけの男」と称されることも
アジア大会では一転打ちまくりチームトップの打率.391と大活躍
放った9本のヒットのうち6本は最後の上位国3連戦のもの
台湾戦では古林睿煬から粘った末にヒットをもぎ取り、韓国戦では速球派投手の球をはじき返し、三位決定戦では一時逆転となる2ランを右翼へと放り込んだ
この調子を維持できればU23での4番筆頭となるだろう

梁培 リャン・ペイ CF 北京

日本生まれ、東海大菅生卒の右打ち外野手
WBCでは戸郷からホームランを放ったことで有名
走攻守ともに替えが効かないレベルで、日本戦では決勝点となるタイムリー、守備では難なくフライやライナーをさばいた
流石にマークされていたのか台湾、韓国戦では外角攻めによりノーヒットも
最終的に打率.368、チームトップのOPS 1.057という成績を残した

陸昀 ルー・ユン 2B/3B 北京

中国生まれ香川育ち
三重の四日市大4年時には二つ下の村川凪(現・DeNA)と共にリーグ優勝に貢献、打点王とリーグMVPに輝いた
WBC代表にも選ばれたが来日前の強化試合でファールを打った際鈎骨を骨折、早期回復に賭け帯同するも出場無しに終わった
実質的な代表デビューとなった本大会では攻守ともに躍動
韓国戦では唯一の得点となるタイムリー二塁打、大会を通してチーム3位の打率3割、6安打を放った
守備面では日ごとに二塁と三塁を守る流動的な起用だったが、強いスローイングから4つの併殺に絡み、日本戦では最後のアウトとなる補殺を記録した

王斌 ワン・ビン DH/1B 上海

上海で4番を打つ右の大砲 
北京大成出身で18年 BFA U18代表にも入り、今年CBLでは打点王のタイトルを取った
辞退した栾臣臣の代役だが、練習試合から4番DHに座り主軸として期待されていた
ラオス戦では早速二塁打を放つもその後は大苦戦
190cmの体格を活かしクラウチングスタイルからゆったりと体重移動してボールを強く叩くバッティングは中国野球に最適化されすぎていた
日本戦では球速もフォームも速い森田に全くタイミングが合わず5回で代打を送られ、打順を下げた台湾戦では2死走者なしからセーフティーバントを試みるなど迷走
終盤2試合ではスタメンを外れた
それでも最後の打席となった田澤との対決では足の上げ方をシンプルにする等タイミングの取り方を工夫する姿が見られた
今後の成長に期待だが、残念ながらギリギリ2000年生まれ(1週間早い)のためU23でのリベンジは叶わない

李寧 リー・ニン C 上海

29歳と国内ではベテランの域に達した正捕手
今大会でも全試合でスタメンマスクを被った
コンタクト力に優れた左の好打者で、19打席で2安打と結果は物足りなかったが三振は2つだけで上位起用されるだけの実力は見せた

楊晋 ヤン・ジン SS 上海

歴代最高クラスの守備力を誇るショート
前回のアジア大会にも19歳で出場し、WBCでは大谷からヒット
華麗な守備は健在だが送球が高めに抜ける場面が見られ、実際に悪送球が数回
その際は観戦していた無錫DC監督の張小天に日本のショート中村迅と比較して捕球動作に問題があるとダメ出しをされていた
打撃は絶不調で14打席連続ノーヒット、韓国戦でようやく初安打を打ったが復調は遅かった
それでも全試合でショートを守り、替えが効かない人材であることに変わりない

曹傑 ツァオ・ジエ 1B 江蘇

190cmを超える大砲も今大会は不調
WBC後半で見せたような豪快な打撃は鳴りを潜めた
韓国戦あたりからフォームを修正したのか当たりが戻り三位決定戦では先制タイムリー
結果チーム4位の5安打も全試合を通して一塁で出場し続けたため打率は.227に留まる
WBC時に見せた酷い守備は無く、長身を生かし高めの送球を捕球、自らもゴロを華麗にさばいて併殺を取るなど成長が見られた

陳嘉績 チェン・ジァージー 3B 天津体育学院

協会発表では天体所属となっているが、CBLでは天津隊の一員として出場した23歳
当初は控えだったが日本戦では三塁スタメン、韓国戦、三位決定戦では王斌に代わってDHで出場した
ガッシリとした体格だがバットを寝かせて足をあまり上げずにタイミングを取るスタンスは上位投手への対応力があった
規定打席未到達だが3安打で打率3割
三塁では守備機会が無かった
打撃の好調ぶりからしてもっと起用されても良かったはず

☆張文韜 ヂャン・ウェンタオ 2B/SS 上海

U18ではショートとして好守を連発したDC出身の内野手
CBLでは最多安打のタイトルを取ったが、打撃面でのパワー不足が懸念されていた
フィリピン戦と韓国戦で二塁スタメンで出場したが、大会を通してヒットを放つことはできなかった
期待の守備もゴロ捕球エラーで伊健の好投に水を差し、一塁への送球も弱弱しさが目立った(下動画参考)
楊晋の後継者筆頭と見られていただけにパフォーマンスは期待以下
U23での正ショートの座も怪しくなってきたか

杜楠 ドゥ・ナン RF 天津

19年BFAの代表で今年のWBCでもリザーブとして帯同した外野手
動きが小さくバットを降るというよりトップから倒すように出す左打者
大会を通してライトを守り続けた
打撃の評価が難しい選手
日本戦では下位ながら森田の落ちる球を見極め梁培に繋ぐ四球、片山の外角球を流し打ってヒットと活躍
台湾戦では上位に昇格したが速球に全くタイミングが合わず酷い打席を繰り返していた
守備はファールゾーンへのフライを落球、ライン際のフライも取り方が怪しかった

羅錦駿 ルォ・ジンジュィン 3B/2B 広東

WBCに引き続き国家隊の隊長を務める28歳内野手
前回のアジア大会代表でもあり、4年前のBFA選手権では決勝タイムリーを打ち3位の立役者となった
WBCでは二塁起用が多かったが今大会では三塁のみ
陸昀が優先して使われることが多く、最後まで出場したのは台湾戦だけ
打撃も12打席で7三振ノーヒットと良いところが無かった

陳晨 チェン・チェン 3B 江蘇

WBCでは4番を務めた強打の左打ち内野手だが今大会では代打での3打席のみ
江蘇でも三塁を若手の王立子に譲ることが多く、おそらくWBC前に語っていた一時期引退を考慮する原因になった腰痛が今も残っているのではないか
起用に苦労していたDHでのスタメンもなかったことから打撃にも影響しているとみられる

☆李雨洋 リ―・ユーヤン 1B/LF 四川

2019年WBSC U18にも出場した22歳の左投げ野手
鋭いスイングを見せる左の強打者で150超の直球にも食らいつける
一方で国内レベルでも目立つ変化球対応の乏しさはそのままに3打席ノーヒット2三振に終わった
U18やCBLでは専ら一塁での起用が多かったが、韓国戦でレフトの守備に就いた
SSK賛助球員である

☆王帥 ワン・シュァイ C 天津

U18での代表経験もある天津の若き正捕手
栾臣臣の辞退もあって二番手捕手として起用される予定が基本的に李寧が出ずっぱりのため出場機会が巡って来なかった
3試合で1イニングずつマスクを被り、打撃では2打席でラオス戦での1安打に終わった
がっしりとした体格からかなり力強いスイングをしているので打撃面での活躍も期待できそう
数はいるがいまいち決め手に欠けるU23の正捕手候補としては一歩リードか

動画

ラオス戦での併殺完成


フィリピン戦で先発した王唯一の全5奪三振

フィリピン戦での王唯一 143km(修正前ガン)

フィリピン戦での併殺完成

日本戦勝利の瞬間

日本戦のシーンハイライト(ツリー)
2回 梁培の決勝点となる先制タイムリー
3回 曹傑の好守によるダブルプレー
7回 最大のピンチ 2死満塁で蘇長龍が三振に切り吠える
4回 羅錦駿(陳嘉績は誤り)と陸昀による併殺完成
6回 2死3塁でスライダーで三振を取る索旭迪
8回 黎凝佶が2者連続三振
9回 ピンチで登板した鄭超群が三振を奪う
9回 続くバッターを併殺に打ち取り試合終了 スロー映像

台湾戦 陸昀の頭部付近への投球に対する疑惑の判定とその打席で放ったツーベース(ツリー)

台湾戦で二番手として好投を続けた華旦才譲 三者凡退の2回の投球

伊健 韓国戦で4回2失点の好投 全奪三振

王唯一 韓国戦で151(修正後)

韓国戦 張文韜の残念なスローイング

韓国戦 楊晋の好守も一塁セーフ

韓国戦 不調だった楊晋の今大会初ヒット その後得点に繋がった

韓国戦 唯一の得点となるタイムリー二塁打を張玄錫(LAD Rk)から放つ陸昀

三位決定戦 三回寇永康の逆転ラン


三位決定戦の先発黎凝佶 全4奪三振

三位決定戦の二番手 王翔 143km直球

三位決定戦 5回 丸山壮史に対する王翔の全投球

三位決定戦 6回 不調の田澤純一からヒットを放つも無得点

三位決定戦 7回 嘉陽に対して先頭出塁も連続バント失敗 羅錦駿の捕飛を取る南木寿也

三位決定戦 7回 決勝点となったショートのプレー

三位決定戦 8,9回を投げた佐竹功年の前に4三振を喫する

大会でのチーム内打率上位三人の全安打(ツリー)
寇永康 .391 (23-9) 1HR OPS 1.043
梁培 .368 (19-7) OPS 1.057
陸昀 .300 (20-6) OPS .917

中国の野球動画クリエイターであり、現在MLB無錫DCに所属する中学生選手である徐嘉誠の日本戦観戦動画(日本語字幕付きバージョン)
MLBの動画プロダクションとの共作である


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