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秋の訪れ

大きな台風がひとつ過ぎ去った次の日の朝、外に出ると「秋が来た」と1人つぶやいた。

夏のように、雲や空が高く大きくない。白い雲は空にふわりと浮かび、青空は夏の喧騒から少し落ちつきを取り戻した、少し深みを帯びた青色をしている。

特にここ2、3日はいっそう、秋が来たことを実感している。

川沿いに植えられている木々の葉は少しずつ色づきはじめ、空も澄んでいたり、雲が糸や波のように広がっていたりしている。

商店街を歩けば、魚屋には秋刀魚、八百屋には林檎や梨が整列している。

街を歩く人の顔も、心なしか表情がやわらかい。
夏にはない良さが秋にはある。

気がつけば、今年も残り3か月。近ごろ、年を重ねるたびに、秋が短くなり、あっという間に冬が訪れているような気がする。

秋は短いのだろうか?
秋が短くなったということは、秋を味わえる時間が少ないということだ。

秋を味わわなければ……同じ秋は2度とこない。できる経験もその秋だからこそのものだ。

今年は1人だけでなく、大切な人と一緒に秋という季節を味わおう。

きっと、今までにないくらい幸せな秋を迎えられるような気がするんだ。

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