ガガガ大賞18歳の話

ガガガ大賞って呼んでるけど小学館ライトノベル大賞なんだよな……

はいこんにちは。

誰だお前となるので一応書いておくと私は18回のガガガ大賞、てれびくん編集部受賞枠の人で猫文字隼人と申します。18回って18年続いてるってことですから18歳、そろそろ成人や。

仮面ライダーの2号のもじりPNなのでてれびくんの偉い人に「その名前でうちに応募するとは良い度胸だ(ククク)」と言われてタマキンがヒュンてなりました。


さて、小学館ライトノベル大賞の受賞作が全部出揃ったので何か書きます。
(いや正確には書きかけて放置されていたのを思い出したのですが)


先述の通りガガガ編集部とはまた別なのですけどね!
(この辺の悲哀も19回発表の時期あたりにぼんやり語りたい)
別でも同期受賞者なので楽しみにしてたんですよ。

新人賞って大体大賞だけ読んでたんですけど、その回の受賞作を全部読んでみると見えてくるものもあるかもしれません。(ありました)

※以後出た順番(プラスあいうえお順)


①砂の海のレイメイ 七つの異世界、二つの太陽

バイクのジャンルでネオクラというものがあります。
クラシックスタイルなんだけど、中身は最新の装備。
私はこれ大好きなんですよね。

……なんかそんな感じの作品でしたッ!

私自身はライトノベルってあまり読まない人なので分母はかなり少ないんですけど、それでも懐古的な王道の面白さという枠組みながらも細部は新しい時代に受け入れられる物を採用している感じで非常に面白かったです。ネオクラ。
ギミックとかもこだわりが詰まっていてワクワクします。
何より明るい!
キャラクターも強い。男キャラがしっかりしている作品好きだわ。
そして意外性もいっぱい。爽快感マシマシ。
敵役ですら魅力的で、設定の根幹で使われた神曲ネタもちらほら見えて「男の子ってこういうの好きでしょ」というのを各所に散りばめられていて、いやー面白かった。
ワナビ時代よく見かけた「女性主人公は鬼門」っての、当時から関係ないだろと思ってたけどまさに関係なかったです。
もしそこで悩んでる人はぜひ読んでみてほしいなと思います。
レイメイのぶっ飛んだ野望に最初は面食らいますが、終盤になると素直に受け入れて応援している感覚面白いですよね。

②夏を待つぼくらと、宇宙飛行士の白骨死体

感想を書くのがすごい難しい作品です。
下手したらネタバレに繋がりかねない……!ということでぼんやりしたりブラフを混ぜつつ書きます。

まず旧校舎に宇宙服を着た白骨死体があるんですよね。
もうこの時点で勝ちでしょ。
超キャッチー!ただ書き手目線だと凄いシチュエーションすぎてこの時点で解法がかなり絞られる。当然これをオチまで持っていくには扱いの難しいSFさんの登場になるでしょう。
なんでも解決できるけど、説得力がなければ雑に感じるのでここが作者の腕の見せ所。
シチュエーション的にSFの金字塔「星を継ぐもの」のオマージュなのはわかる。そしてその上で受賞している。
だったら同じようなネタをなぞるはずがない。真似っこが受賞できるほど甘いとは思わない。
そして幕間の存在。
この辺り考えながら読んでいったのですが……

……これ、オチ部分とか予想できた人いたら天才です、褒めて遣わす(混乱&何様

全く想像つかなかったんだけど、むちゃくちゃ地に足ついてるので解決した後の「ずるくない?」感が皆無です。
なんだろ、こう河川敷でタイマンはって「お前やるじゃねえか」みたいな完敗感。
いやそんなのしたことないけど。もやしなので。
予想を裏切れ、期待は裏切るな!頭皮ごと脱帽ですわ。

これ書くと勘の良い人にはオチを絞らせてしまうかもしれないけど実写ドラマ向きなんじゃないのかなと思いました。


③夏に溺れる

才能だか努力だかは言っても言われても面白くないと思うので横に置いておきますが、出てきたものがとにかく凄いの一言。
不景気な時はハッピーエンドが求められ、好景気の時にはバッドエンドが求められる、なんて本当か嘘かわからないお話があります。
実際最近はハッピーで咀嚼しやすい物語が多いし、そういうのが受けている。

通常ならオチを絞ってしまうのでネタバレになってしまうかもしれないけど本作に関してはあらすじの時点である程度予想できると思うのでちょっと書きます。
いやあらすじ読んで「だ、大丈夫か小学館!?」ってなったよね。俺はなった。

一応世間的にはバッドな路線にはなるんですけど、ただこれをバッドと一括りにして良いもんかと思います。個人的にはしんみりしたラブストーリーとして納得しつつ。もちろん寂しさも感じましたけど、感じてる時点で良い作品なのだと思う。

小説において主人公や登場人物に共感が必要とか熱弁する人もいるけど私は共感できなくてものめりこめると思っている。
実際某キャラの選択に共感はできなかった。でも、その上で良かったのでしゃーない。

この時代にこの内容で読ませる内容ってのが凄いなと思うし、個人的にはこういうの書きたくて今まで落とされまくってたので完敗した気持ちがある。クヤシイ(笑


④嫉妬探偵の蛇谷さん

ご本人のエンタメのルーツの話、過去応募作のお話とかちらっとお聞きしてたんで勝手にちょっと重い感じなのかなと思っていたのですが……

章タイトルがすでに面白いし挿絵のぞいて4ページくらいでサクッとヒロインのイメージが覆るというか、あらすじ回収早い!
その後のテンポ良い会話が続き日常の中のミステリ要素を軽快に解決していく流れなんですけど、お話単体でちゃんと面白いだけじゃなく本編のコア部分の下地作りになっている。
で、しっとりした背景なども見え隠れしだす。

作風やキャラ的に邪悪ワールドに行ってしまうとしょんぼりするかもしれないぞと思っていましたが心配無用、作品にぴったりの終わり方でもやもやしたものを残さない。更にエピローグでふふッと締める。
変わり種ヒロインの蛇谷さんは可愛らしく、とても満足感のあるライトノベルでした。

最近のエンタメで求められるスピード感とキャラ強、読みやすさなどなど高次元でまとまっているので(妬ましい……)ワナビの人にも是非お勧めしたい。



というわけで一つの新人賞、全部読んでみるとジャンルとかバラバラでその回の各ジャンルの最高峰が受賞したんだなっていうのがよくわかりますね。

ワナビというか、作家志望で新人賞チャレンジしている人がいれば是非本命新人賞の作品は全部読んでほしいなと思います、言語化できないけど糧になるものがあるので。
実際自分はなんで今までダメだったのか察するとこがありました(真顔


え、普通読む?

……そ、そうか……だから俺は受賞まで10年もかかったんだ……(オチ

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