『守ってあげたい』

まず、『やさしさに包まれたなら』のお話。

その前に。私は浅いユーミンファンではないので(相当深いと思っている)、皆様にご紹介したいユーミンの名曲は、有名どころからシングルカットされていないような隠れた名曲まで沢山あるので、『やさしさにー』で足踏みしている場合ではないのだが、誰かがユーミンの曲について何か語っていたなら、やはり黙ってはいられないわけで、それは、彼氏の話を溢れる想いのために延々と友達に話している感じにちょっと似ていると思う。友達はそれほど興味を持ってくれていないのに。

それは置いておいて、最近知ったこと。

『やさしさに包まれたなら』が好きだという人の中に割と共通しているらしき感想として、大人になっても奇跡は起こると信じて生きて行きたいよね、というものがあるらしい。

たぶんこの曲でユーミンが、

「おとなになっても 奇蹟はおこるよ」

と、歌っているためだと思われる。そう信じていれば頑張れるよね、ということかな、きっと。

で、この解釈が私とは違ったので、面白いなと思ったのだ。もちろん、正解なんてないのだろうけれど。

ワタクシ的解釈としては、先に記した一文は、この曲の冒頭

「小さい頃は神さまがいて 
不思議に夢をかなえてくれた」

をより際立たせるフレーズのように思う。

小さい頃の夢って、毎日よく叶っていませんでしたか?
四つ葉のクローバーを見つけたり、空に虹を見つけたり。

ある程度成長してから見る壮大な夢じゃなくて、他愛ない、こうだったらイイなぁ、こうなったらイイなぁというささやかな夢が、そう言えば叶っていたなと思う人は多いはず。

この歌はおそらく、大人になってもそういうちょっとした夢が日々叶っているんだよ、それが奇跡なんだよと歌っているのではないかと思う。

そういった些細な幸せに心をとめられなければ、どんなに大きな幸せが来ても見逃しちゃうよというメッセージ。

小さな夢が叶って、「嬉しい」という感情だけがワーッと込み上げて来るあの感じ。そんな瞬間は大人になってもあるんだから、というのがワタクシの解釈。

そういう幼い頃の感覚を思い出させる曲がもう一つ。

長々と書いてきたが、今回取りあげたいのはユーミン12枚目のアルバム『昨晩お会いしましょう』5曲目収録の『守ってあげたい』。前置きが長過ぎたので、今回の肝は簡単に。

『昨晩お会いしましょう』というアルバムタイトルからしてお洒落で大好きである。また、収録曲も良い曲ばかりなのだが、その中でもやはり『守ってあげたい』は誰もが知っている名曲であろう。

昨年の紅白歌合戦でも披露され、その良さを改めてしみじみ噛み締めた。好きな人を守ってあげたいと願う女の子の強さがテーマの曲だが、この時私が聞きたかった歌詞は2番だった。

「日暮れまで土手にすわり レンゲを編んだ
もう一度 あんな気持ちで
夢を形にして」

同じメロディーで1番の歌詞になっている息をころしてトンボを採る感覚もよくわかるのだけれど、女性の私にはやっぱり2番。このフレーズが、あの、何とも言えない気持ちを思い出させる。何とも言えない気持ちとしか表現できず、的確に表すことのできない自分に歯痒さを感じてしまう。

小さい頃を過ぎて、神さまの力ばかりに頼っていてはいけないんだと気付き始めたら、思い出したいワンフレーズ。

大人になってからの壮大な夢にこそ、レンゲを編んでいたあの頃のあの気持ちで挑みたいもの。

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