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恩師の言葉

1997年2月に全日本新人王を獲得、
プロボクサーとして二年半が経った頃、
伸び悩み、苦しい時期に直面した。

11戦して負け知らず、
傍から見たら順調に見えたかもしれない。
でも僕の心の中では、
「苦しい…、辛い…。
 周りの期待にこれ以上耐えられない…」
そんな苦悩の日々が続いていた。
引退して地元に帰ろうと考えていた。

そんな折、高校時代の恩師の元を訪ね
心境を打ち明けた。
恩師はこんな言葉を授けてくれた。

「いいか竜平、
 『三日三月三年(みっか・みつき・さんねん)』
 という言葉がある。
 三日辛抱すれば三ヶ月は耐えられる、
 三ヶ月耐えられることが出来れば
 三年頑張れるという意味だ。

 竜平は今三年目、
 この三年目を乗り切れば
 波に乗れるかもしれない。
 だからもう少し頑張ってみな。
 それでも限界を感じたら
 飛騨に帰っておいで」

恩師の励ましと
受け入れの言葉で心が軽くなり、
僕は引退を踏み留まることができた。

それから半年ほどして帝拳ジムから
日本タイトルマッチの打診があり、
デビューから三年三ヶ月で
僕は日本の頂点に立った。

『三日三月三年』という言葉、
特に大それた言葉ではない。
でもその時の自分には響いた。
あの励ましがなければ今の自分はない。

恩師は七年前に亡くなった。
生前、事あるごとに相談に乗ってもらった。
先生の言葉はいつも心に響いた。
感謝の気持を忘れることはない。
本当にありがとうございました。

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