【講演記事】「アスリートサポートの現状と未来(Athlity第1回ウェビナー)」より栄養サポート②
2022年1月21日金曜日に第1回Athlityウェビナー「アスリートサポートの現状と未来」を開催しました。その時の内容を、今回は記事として再構成し、公開します。
第2回の今回は、障がい者競技のナショナルチームの栄養サポートを担当されている片岡さんに、身体組成の測定について話していただきました。
身体組成計測とタイミング
エネルギー消費量と摂取量の評価を行うためには体重測定が一番重要になります。
しかし、車いすに座ったまま競技する選手は、立位での測定が難しい場合が多いにも関わらず、座った状態で体重測定できる機械を日常的に使用できる選手は少なく、頻繁に体重を測定している選手はいませんでした。
そこで栄養サポートでは、車いすに座ったまま測定できる体重計や、座位で身体組成を測定できる機械を用い、定期的に測定しました。
本来であれば、起床時排尿後に測定することが望ましい条件でしたが、合宿中は同じタイミングで全員の体重測定を行うことが難しかったため、食後2時間以上経過した状態で測定を行いました。
栄養サポートにおいて体重を測定するまでは、定期的に体重を測定している選手がいなかったのですが、所属先や日常の練習場所において、車いす体重計が使用できる選手もいたため、測定が可能な場合は各拠点においても測定を実施してもらいました。
身体組成データのサンプル
障がい者競技選手の身体組成に関するデータは公になっていなかったため、身体組成の測定によって、ナショナルチームのみなさんの除脂肪量と体脂肪量がどの程度なのか把握することが出来ました。また同じ競技クラスの選手でも、身体組成が大きく異なるという事がわかりました。
疾患の影響により、体重が20㎏程度の選手や体脂肪率が50%程度と表示される選手もおり、測定機器によって数値が異なる可能性もありますが、全体的な特徴として様々な身体組成の選手がいるということが考えられました。
定期的・継続的な測定がカギ
現状では、車いす体重計が各選手の練習拠点に設置されていないこともあり、特に近年は合宿の開催が難しかったために、クラス関係なく、選手によって体重の増減が大きくありましたが、今後、各選手の練習拠点や所属先において体重が測定できる環境になることで、エネルギー消費量と摂取量を定期的に評価することができるのではないかと考えております。
健常者の競技であれば、起床時排尿後に体重を測定するというのはコンディション管理の上で基本になりますが、障がい者競技についてもできるだけ定期的に体重や身体組成の測定を行うことで、コンディションの評価や、パフォーマンスの変化の要因が体重の変動によるものかを確認することが出来るのではないかと考えています。
そのため、各選手の身体組成の目標設定については、選手やスタッフとその都度状況を確認しながらサポートを行いました。
いかがでしたでしょうか?第3回となる次回は、尿比重についてのお話になります。
講演者紹介
片岡 沙織(かたおか さおり)
神奈川県立保健福祉大学 栄養学科 講師、公認スポーツ栄養士
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