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「もも上げ」をやると足は速くなるのか?
最近四日市の競技場やYouTubeなどでもも上げをトレーニングとして取り入れているのをよく見かけるようになりました。
そもそもなんのためにもも上げをやるのでしょうか?
確かに、ジャマイカやアメリカの黒人スプリンターの動きを見ると、ももがよく上がっていている...🤔
ももを上げて高い所から地面を叩くことによって強い反発をもらって前に進んでいるように見えます。
しかし、それをそのまま捉えてトレーニングとして導入してよいのかどうか考えてみます。
伊藤章ら(1998) 『中間疾走局面における疾走動作と速度との関係』の研究によると、
「もも上げの高さ、およびもも上げ速度は疾走速度と有意な相関関係が認められなかった」
としています。
2007年の大阪世界陸上でのタイソン・ゲイ、アサファ・パウエル選手らを対象に行った分析においても、同じ結果が出ており、もも上げの高さ(実際にはもも上げ角度と表記されています)は疾走速度と有意な相関関係は認められなかったとしています。
むしろ、海外のトップスプリンター達よりも、
日本の塚原直樹選手のほうがもも上げ角度が大きかった
と分析結果が出ています。
ここからは私の考察ですが、
黒人選手とは違って、骨盤が後傾している黄色人種である私達日本人が、海外の選手達の
"形だけを真似て"
トレーニングしても、決して外国人選手達には対抗できないのではないでしょうか?
❗️日本人には日本人に適した身体の動かし方がある❗️
そう考えて日々のトレーニングを実施しています。
そこで、
「もも上げの高さも速度も足の速さに関係ないんだったら、じゃあ一体なんの要素が関係しているんだ!?」
そう思うでしょう。
伊藤ら(1998)、福田ら(2010)『一流短距離選手の疾走動作の特徴-第11回世界陸上競技選手権大阪大会出場選手について-』によると、
「脚全体の最大後方スイング速度は、疾走速度が高いほど高い値を示していた」
としています。そして加えて重要ことが、
「優秀選手ほど膝関節を伸展しないため、股関節の進展速度を脚全体のスイング速度に効果的に転換していることを明らかにしている」
と述べられています。
つまり、
①股関節・膝関節・足関節の3つを結んだ足全体の後ろへのスイング(足が接地して身体が前方に移動する速度)が速いほど疾走速度が速い。
かつ、
②膝は身体の後ろで伸びきらず、すぐに前方に送ることができる。
①と②が足の速さに関係していると言えるのではないでしょうか?
「いやいや、でも足を思いっきり後ろに(地面に)叩きにいくのと、でもその足は後ろには流さないって矛盾してない?」
私はそう思いました。
そこで言えるのが、
💡「意識は違うところに置くべきである」💡
ということではないでしょうか?
バイオメカニクスの結果や数値としてそう出ているが、その通りに意識して動こうとしても身体は動かない。
よって、アスリートYでは
2022年11月20日の投稿でも述べましたが、
❶背伸びをして正しい姿勢(骨盤前傾の姿勢)を作る
❷上半身を前に傾けて倒れそうになったら足を出す
❸足は叩いたり後ろに蹴ったりせずに無駄な力を使わずに進む
ということを基本として小学生の初心者から高校生の全国トップクラスの選手まで一貫して同じことをやっています。
小学生のまったくの初心者の子達でも難なくこの動きができています。
(筋力は全く必要ありません❗️)
「もも上げ」は効果があるかどうか疑わしい。
とおよそ25年前に研究結果として表れています。
日常のトレーニングとして導入する場合は、目的をしっかり考えて行う必要があるのではないかと考えられます。
2023年5月5日(金)こどもの日に
「誰でも1時間で足が速くなる!走りのプロが教えるかけっこ教室」を開催します!
(小・中学生対象)
詳細は後日こちらのInstagramアカウントやアスリートYのホームページにてUPいたします!
たくさんお友達を連れてご参加ください✨