力が抜けない
技の習得は力を抜くことにある。
かどうかは、わかりませんが、少なくともガチガチに力んだ状態ではゴルフの上達が今イチ効率良く進まないようです。
この「力を抜く」というのはなかなかに厄介です。
単純に筋力をゼロにすればよいのかといえば、そうでもなく、
多くのスポーツ愛好者が最初に突き当たる壁と言っても良いでしょう。
「力む阿呆に力まぬ阿呆、同じ阿呆なら力まにゃソンソン」
という、名言を残した人物がいます。
ゴルフ漫画を愛する人ならこの言葉に救われた人もいるはず。
しかし、熟練者のゴルフに目を向ければ「なんとスムーズで力みのないスイングか」、と自分のスイングと比べて愕然としてしまった人もいるでしょう。
結論から言うと、初心者は力が抜ければ抜けるほどよいです。
ただし、完全に力みを取ることは難しいのです。
ボールとクラブを性格にヒットできる限り、力を抜いておくことが重要です。
スポーツにはそれぞれの競技特性があります。
ゴルフは、道具を駆使して行うスポーツですから、道具の扱いが重要なスキルの要素になります。
大事なことなので、もう一度書きます。
ゴルフは、道具の扱いが重要です!
私は、大学まで野球に打ち込んでいましたら、「ボールを投げる」ということに関しては、少し自信があります。
現役を退いて、20年以上立ちますが、それでも目一杯投げれば、30㍎くらいは飛んでゆくでしょう。
しかし、ゴルファーにとって30㍎なんて、それこそ「チョコン」っと打った程度でしょう。
つまり、いくら鍛えた身体でボールを投げても、ゴルフクラブを使ってボールを打ったほうが断然飛ぶのです。
どれくらい飛ぶかって?
人によっては人力の10倍以上飛びます。
私でも、投げて30㍎、ドライバーショットで270㍎程度ですから軽く9倍の物理的な力を発揮できるのです。
いかに道具を扱うかが重要なスポーツであるかはご理解いただけたかと思います。道具にはそれぞれ、形状からなる重さや扱い方があります。
これをアフォーダンスと呼ぶ人もいますが、難しいことは抜きにして、道具を上手く使った者勝ちなのです。
ジュニアの頃のメジャースポーツで考えてみましょう。
それぞれの経験者に伺います。
卓球を初めてやったとき、「スマッシュ」の練習から始めましたか?
サッカーを初めてやったとき、「フリーキック」の練習から始めましたか?
野球を初めてやったとき、投球練習から始めましたか?
テニスを初めてやったとき、上から振り下ろすサーブから始めましたか?
しつこく書きましたが、初めてやったときは、道具に慣れるために短い距離で打ち合ったり、パスをしたり、キャッチボールからやったりと、まずは簡単な課題からはじめましたよね。
ゴルフも同じように、簡単な課題から徐々にレベルを上げていったほうが良いのですが、あなたはマックスの練習に練習時間の何割くらいを割いていますか?
ゴルフ経験者、特に上達に悩んでいる人にこの質問をすると、「近い距離のアプローチはちゃんと練習しています」って答えることが意外と多いです。
先程書いた、「簡単な課題はちゃんとやってますアピール」でしょうか。
私の20年のレッスンの経験では、この「簡単な課題」をしっかりと習得していない人が上達に悩んでいる人が多いようです。
例えば、You Tubeチャンネル「ゴルフハックス」では、下のような課題を出すことがあります。
詳しくは、動画を御覧ください。
https://youtu.be/Asic7OovUCk
①9番アイアンで8時-4時の振り幅のショットをする
②ダフらず、トップせず、クリアにヒットした距離をまとめる
(例えば、15㍎にまとまったとしたら)
③次から15㍎±1.5㍎以内にキャリーさせる球を5球連続で打つ(10%以内誤差)
④③が達成するまで、繰返し挑戦する
※8時-4時スイングについて、ご理解がない方は、「クロックスケールメソッド」といろいろとググってみて下さい。
この課題は、(やってみるとわかりますが、)簡単な課題のはずなのに意外と難しさを感じると思います。
ポイントは「簡単なはずなのに難しい」という点です。
そして、できるようになったら距離を広げてゆくわけですが、
基本的にはスイングの振り幅(クロックスケール)の
8-4時から始めて、
9-3時、
10-2時へと、広げてゆきます。
力ではなく、あくまでも振り幅です。
そして、誤差は常に10%以内に収めるように心がけましょう。
この練習を繰り返してゆくと、力んで行うと成功率が下がる、ことに気づくようになります。
また、自分の身体の感覚としては「振り幅」だけが動きの意識(目的意識)になり、力加減の意識が不要であることを感じられるようになるはずです。
平凡でも、そこそこのクオリティのショットを100%に近い精度で行うこと。これが重要です。
道具を巧みに使えば、力は不要だと気づくようになります。
100切りを目指す、スコアが伸び悩んでいる等のゴルファーにはとても有効なレッスンになります。
ぜひ試してみて下さい。