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別に7番アイアンが悪いわけじゃないけど...①

「7番アイアンが使いこなせるようなったら他のクラブも扱えるようになるから、初めは7番アイアンだけで練習しなさい」

懐かしいです。今はこんなことをいう人はいなくなりましたね。少なくとも私の周り、ティーチングプロや指導者では、いなくなったと思います。
私がゴルフに出会った、20年くらい前はこんなことをいうおじさんがたくさんいました。
「3番アイアンで1本で練習しろ」っていう人もいたかな…理由を聞いたら、「3番アイアンがセッティングの中では一番難しいクラブだから、それが打てるようになれば他のクラブが簡単だから。」って言ってました。
野球の初心者がバッティングセンターで140㎞/Hでいきなり打つようなもんでしょうか。

このブログでは、レッスンに科学的な視点を持つことを目的としているのでいくつかの考察をしてみたいと思います。

今でも、練習場を覗けば7番アイアンばかり練習している人を多く見かけます。初心者のゴルフバックを見ると、7番アイアンばかり汚れている人もたくさんいます。きっと、レッスンを受ける前に知り合いや先輩に、7番アイアンで教えてもらったのでしょうね。

レッスンに初めて来た人に聞いてみると大抵の人が「普段は7番アイアンを中心に」練習しているそうです。私の聞き取り調査では8割以上が、7番アイアンがメインだそうです。
中には、練習のほとんどを1W(ドライバー)に費やしている、というツワモノもいます。

そこで、初心者を少し脱したアマチュアにこんな質問をしてみます。
「7番アイアンでハーフショットの練習はしますか?」
答えは「はい」がほぼ9割以上

ここで、「なぜ?」って疑問を持つことが科学的な視点の始まり!

多くのゴルファーがハーフショットを練習しているのに、あまり上手じゃない。フルスイングはそこそこ打てるのに、ハーフショットをやってもらうと、結構できない。。。

私の好奇心はさらに深まり、質問を続けます
「どれくらいハーフショットを練習しますか?」
これはあまりきちんと統計を取っていないのですが、1回の練習で10~20球程度。だそうです。

でも、よく観察していると7番アイアンでハーフスイングで練習している人って、レアです。

聞き取り調査から考察を組み合わせて考えると、
・7番アイアンの練習量が多い
・7番アイアンでハーフスイングの練習は実はあまりやっていない
→7番アイアンではフルスイングのショットばかり練習している
という、アマチュアゴルファーの実態が浮かび上がってきます。

話題が少し飛びますが、ゴルフのスコアアップのカギは「ショートゲーム」と言われています。
いわゆる120ヤード以内のアプローチは何を使って練習するのですか?
と、質問を続けると、
「アプローチ(ショートゲーム)は、ウェッジを使って練習しています」っていう答えが返ってきます。

そして、皆さんウェッジのフルスイングとハーフスイングは意外と上手なんです。ただ、1ラウンドの中でウェッジのフルスイングというのはどれくらいの頻度なのでしょうか?数えてみると少ないのがわかります。

ちなみに運動学習の観点からいうと、
フルスイングのみで練習するのよりも、
フルスイングとハーフスイングなどを組み合わせて練習する方が、学習効果が高いです。※

更に想像力を働かせてみましょう。
Q.足場が良くないライ(斜面等)でショットをする場合、フルスイングと少し抑えたスイングとでは、どちらの方が成功率(ミート率)が高まるのでしょうか?
おそらく、ほとんどの方が、「抑えたショット」と答えるでしょう。

皆さんがいつも行くゴルフ場は平たんで、短く刈られた芝が広がる(フェアウェイが広い)ゴルフ場でしょうか?

勘のいい方ならお気づきかもしれませんが、ゴルフをするうえで、フルスイングをする機会というのはそれほど多くありません。

多くのゴルファーは練習場で7番アイアンのフルスイングを一生懸命、毎回練習しているのです。ハーフスイングなどの効果的なドリルと引き換えにフルスイングばかりということです。
実際のところ、7番アイアン自体が初心者にとって、ハーフスイングをするのには少し難しいクラブなのです。

理由は長さです。

ゴルフクラブは短いほど扱いやすいので、多くの人はウェッジを使ってフルスイングやハーフスイング、その他の抑えたショットを練習します。

つまり、初心者こそ、少し短めのクラブでフルスイングやハーフスイング、1/4スイングや3/4スイングを練習するべきなのに、7番アイアンで練習しているからフルスイングに偏ってしまうのです。

ああ、7番アイアンばかりを振り回すことの弊害が少し見えてきましたね。

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