専門分野の壁を越える
私は、スポーツトレーナーになりたくて身体の勉強をしました。高校を卒業して取った進路が教育系大学だったので、「教えること」のカリキュラムを取りながら、研究を深めました。すると、トレーナーとして学んだことが教育学部の授業でとても役に立ち、また、学校の授業が自分の研究に役に立つことを実感しました。
一つのことに意識を取られてしまうと、俯瞰的な学びの広げ方ができにくくなる。
アスリートのウォーミングアップやクーリングダウンでよく行われるストレッチング。これは、もともとリハビリテーションの手技です。トレーナーの間では広く用いられる、PNFトレーニングもリハビリから生まれたテクニックです。
ショットのデータを取るうえで欠かせない「トラックマン®」も元々は軍事技術から生まれました。ロケットやミサイルの弾道測定の技術をゴルフ用に転用したのです。
ゴルフ用のトラックマンを更に野球用に技術転用した「スタッドキャスト®」はアメリカのメジャーリーグの全球場に設置され、球速データだけでなく、球の回転数や角度、各選手の動きや反応速度まで詳細にデータが取れるようになりました。
専門的なノウハウが他の分野に持ち込まれたときにイノベーションが生まれる。
大学を卒業するころ、私はこのように強く感じるようになりました。
学生当時、ゴルフのトレーニングといえば、腹筋とランニングがメインでした。すこし進んだところでは、スタビライゼーショントレーニングもやっていましたかね。今でも必要なトレーニングだとは思いますが、それで十分でしょうか?海外のツアー選手に目を向ければ、キレッキレの体つきに、日本人との差を感じずにはいられませんでした。
今から約10年ほど前、「4スタンス理論」といわれるトレーニングスキルがゴルフ界で流行していました。私が、4スタンス理論に初めて触れたのは、それよりさらに数年前「キミは松井か、イチローか」廣戸 聡一【監修】(池田書店)という本で、野球のトレーニングために書かれたときに知りました。
また、インナーマッスル(※解剖学上は「インナーマッスル」というものは存在しませんが、現状に即して敢えて使用します)という言葉は最近では広く知られるようになりましたが、もともとは肩回りのスポーツ傷害の医療から持ち込まれた考え方やトレーニングです。
ある研究の成果が専門分野という壁に阻まれて何年も放置されることがあります。もったいないと思いませんか?今やスマホに、当たり前についているカメラ機能だって、最初に携帯にカメラをつける、と考えた人は携帯の科学的な進歩とカメラの小型化の開発があって初めて実現できたわけです。まさか、電話とカメラが合体するって、少なくとも開発当時はごくほとんどの人には、思いつかないアイディアだったことでしょう。
専門性の高い研究者こそ分野の壁を乗り越えて、たくさんの交流を持つべきだと思っています。そうすることで、私たちの暮らしはゴルフを中心に更に豊かになると信じています。
専門分野の壁を越えて、各専門家が集まることができるコミュニティーがあれば、すごいイノベーションが生まれると思いませんか?
無ければ作ればいい。そう考えて生まれたのが「ゴルフレッスン研究所」です。今後の拡大は「どれだけの専門家が集まるか」にかかっています。ぜひ、皆さんの周りにレッスンやゴルフ指導に関して独創的なアイディアを持っている人がいたら、このオンラインサロンを紹介してあげてください。