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230126_ヴァロットンの判断

2023/01/26

夕方に集中力が切れたので三菱一号館美術館にヴァロットン展を観に行く。

ヴァロットンは油彩の色彩が好きだから、白黒の木版画が中心の展示はあまり期待していなかったのだけど、これがとても良かった。

偉そうにも、ヴァロットンの判断が適切だなと関心した。白地に黒の線で表される図像と、黒地に白の線で表される図像の切り替えが一見シームレスになるように調整されている。輪郭を描く部分と描かない部分、面的に表現される部分と線的に表現される部分、こうした区別が適切で違和感が少ない。

例えば、Photoshopで実際の写真を二階調化してみると白と黒の境界のスライダーを横に移動するだけではなかなか良い線が現れない。翻ってヴァロットンの木版画を考えると、彼の判断が光学的な処理ではなく、純粋に平面の中で考えた図像的な操作だとわかる。本当に見事だ。

展示全体でいえば、ヴァロットンの絵を用いたアニメーションがあり、引き伸ばされたモチーフが壁に貼られ、そうした今時の展示でよく見るものが少し邪魔に思えた。同時代の作家たちの紹介もあまり目的がわからなかった。

結局、その感じを反映した展覧会図録は買わずに、三菱一号館がコレクションするヴァロットンの木版画を淡々と紹介する作品集を買った。ちなみにショップで売られてるグッズは作りが安っぽくないし、かわいい。

美術館を出ると、丸の内のそこら中でウェディングフォトを撮る人々を見かけた。改めて三菱地所というか、三菱の力を感じて、家に帰った。

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