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本の森を旅する(1) 『京洛の森のアリス』

読書が好きです。星読みと、緑と、もう一つ何か柱がほしいなと思っていて、考えるばかりでなかなかたどり着けなかったけれど、無理なくやっていることといったら読書でした。
ほんとうは、本を選んで並べて紹介して...なんてことも一時期やったりやらなかったり。意識しすぎると苦しくなってしまうので、呼吸するように自然にできる範囲で。というより、自分が心地よい本との付き合い方というものを、あらためて感じてみる機会として。

3月のカウアイ島旅行に行く時、羽田空港で買った本。飛行機内で読むかもと、出国ゲートを出た後に免税店で購入したので、ビニール袋にシールで封印されて、結局そのまま開けることなく持ち帰ってきた。
ちょっと異次元ぽい経緯を経て私の手元にやってきた現代版アリスは、貨幣の存在しない京都のような町異次元の世界が舞台。ちょうど仕事に悩んでいた時期に買って、無職の状態で読むという、個人的にはなんともシュールなファンタジー。

お金は必要ないけれど、人から必要とされないと消えてしまうなんて、ある意味で現実よりもシビア。
私は今、誰かから必要とされてるだろうか?

物語の主人公「ありす」は京都とそっくりの異次元世界「京洛の森」に、舞妓になるつもりでやってきた。けれど経済的に苦しい家から出て自立するための手段として選んだ舞妓という道は、心からやりたいことではなく、ワクワクする心も持てなければ競争心も湧かない。
貨幣がない代わりに、自分の存在意義に疑いもないことがその世界で生きるルール、心に嘘をついたり誤魔化していると、見た目に老いていくなど本来の自分の姿でいられなくなってくる。
反対に、心から望むことで人様の役に立てているなら、自分が一番充実している時の姿のまま何年も何百年(?)も生きていける世界。
ありすは世界のルールを一つ一つ理解しながら、本当に望むものを手に入れていく。

ファンタジーだけど、妙に現代的なリアリティのある設定。ちょうど友人と、もしもベーシックインカムが導入されたら何をしたいかという話をしていたところ。
それでも人の役に立ててるという実感を求めるだろうと思ったけれど、お給料をもらって仕事をしてることとイコールにならないのはどうしたものか?
私が京洛の森にいたとしたら本来の姿でなくなったまま働いていたような状態、いやもうとっくにその世界から追放されてたようなものだったかもしれない。

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