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【弟系・添い寝】わけあり幽霊カレシ~甘口編~ ─シチュエーションボイス台本

主にVtuber/Youtuber/声優さん向けに制作した、アトリエPPシナリオ事業部制作の無料台本です。利用規約をご一読の上、お気軽にご利用ください。


あらすじ

最近引っ越しをしたあなた。ところが、新居であるその部屋に住んでいたのは、あなただけではなかったのです……。わけあり儚げカレシとの、ちょっぴり切ない添い寝の時間。

登場人物

  • 幽霊くん(演者)…色白でかわいい、弟系の男の子。自分が幽霊であることは自覚しているが、なぜ幽霊になってしまったのか、死因などは覚えていない。ただ、「とてもとてもつらいことがあった」、という感情の記憶だけがある。謝りグセがある。

  • お姉さん(聞き手)…家と職場を往復するだけの忙しい日々を送っている女性。かなりお疲れ気味。幽霊くんとはなにか通じ合うものがある。

注意事項

  • 幽霊くん→聞き手の呼称は「お姉さん」で統一していますが、演者様のほうで独自のものに変更いただいて構いません。

  • 幽霊くんの語尾も、演者さんのキャラ付けなどがあればアレンジいただいてOKです

  • 囁き推奨のセリフにはそのように記載してありますが、演者様のほうで適宜囁き箇所を作っていただいても問題ありません

  • その他、台本のご利用にあたっては利用規約をご覧ください

本文

◯部屋(夜)

衣擦れの音。お姉さんが寝苦しさに唸っている。
ハッと目を覚ますお姉さん。すぐ目の前に色白の少年の寝顔。

幽霊くん「(寝息)」

幽霊くん「んん……(寝ぼけつつ)」

幽霊くん「ん……あれ? お姉さん、だぁれ……? ここ、僕の部屋……僕のお布団……」

幽霊くん「……あ、違うや……。これ、僕のお布団じゃない。でも、どうしてだろ……すごくすごく、安心する……」

寝ぼけて無意識にお姉さんにすりよる幽霊くん。

幽霊くん「(無声囁き)あったかぁい……」

お姉さんが顔面蒼白になって身体を固くしていることに気づく幽霊くん。

幽霊くん「え……? お姉さん、大丈夫? 顔、真っ青だよ……」

幽霊くん「身体、動かせないの? なんで……?」

ややあって、幽霊くんはすべてを思い出し、申し訳無さそうに言う。

幽霊くん「ああ、そうか……。ごめんなさい。それ、僕のせいです。僕が、お姉さんの前に姿を現しているから」

幽霊くん「僕が消えれば、金縛りも解けると思うんですけど……。(ためらうようにもじもじ)……」

どういうこと? あなたは誰? と問いかけるお姉さん。

幽霊くん「怖がらせちゃったら、ごめんなさい。僕……幽霊……なんです。……たぶん」

固まるお姉さん。

幽霊くん「ごめんなさい、ごめんなさい! いきなり、変なこと言って……」

幽霊「あ、でも安心してください。僕はあなたを怖がらせようとか、とりついてやろうとか、そんなつもりはなくて。あなたを困らせるようなことは、したくなくて……」

が、現に困らせていることを思い出し。

幽霊くん「って、今のこの状態じゃ、全然説得力なかったですよね。ごめんなさい……」

ずいぶん柔らかい感じの幽霊の印象に、思わず目を丸くするお姉さん。

幽霊くん「え……本当に幽霊なの?って……」

幽霊くん「(考えて)はっきり、そう言えるわけじゃないんですけど……たぶん、そう、です。お姉さんの前にこの部屋に住んでいた人が、僕を見たとき、そう言ったので」

幽霊くん「それまでは、なんで僕の部屋に知らない人が住み始めたのか、なんで僕の姿が見えてないのか、よくわからなかったんです。でも、言われてちょっと納得がいったというか。……ほら。肌もちょっと透けてるし……」

どうして幽霊に?と問いかけるお姉さん。

幽霊くん「どうしてこうなったのかは、わからないんです。なんだかもうずっと、頭の中にモヤがかかってるような感じがしてて……覚えているのは、ここは僕の部屋だってことくらいで……」

つらいきもちを思い出し、自然と声のトーンが落ちる幽霊くん。

幽霊くん「それ以上のことを思い出そうとすると……すごく……すごく、胸が痛くなって。身体が、千切れそうになって……。首が、ギリギリしまって、息が……息が、つまる、ような……(だんだん苦しげに)」

幽霊くん「はぁっ……はぁっ……はぁっ……!(荒い呼吸)」

と、お姉さんの手が動き、幽霊くんの肩にそっとそえらえる。

幽霊くん「……あ」

さすさす、幽霊くんの肩を優しく撫でるお姉さん。

幽霊くん「お姉さん……動けてる……? 僕の肩、さすってくれるの……?」

さすさす。

幽霊くん「……ああ……(あたたかさが嬉しくて)」

幽霊くん「(深呼吸、吐息アドリブ)」

ややあって、ようやく落ち着いた幽霊くん。

幽霊くん「ごめんね、びっくりさせて。でももう大丈夫。もう落ち着いたから……。それに、これ以上僕なんかにさわってたら、あったかいお姉さんの手が冷えちゃうよ……」

それでもさすりつづけるお姉さん。

幽霊くん「お姉さんは、どうしてそんなに優しいの……? 僕のこと、怖くないの?」

答えず、さすりつづけるお姉さん。

幽霊くん「ねぇ……お姉さん……」

少し距離を詰める幽霊くん。

幽霊くん「(有声囁き)もうちょっとだけ。もうちょっとだけ、そばに行ってもいい?」

衣擦れ音、近づく距離。

幽霊くん「(無声囁き)手、握って……」

互いに手を握る2人。

幽霊くん「(安堵して吐息)」

幽霊くん「(有声囁き)お姉さんの手……ほんとにあったかい。やわらかくて、ちっちゃくて……。すごく安心する……。できることなら、ずっとこうしていたいな……」

お姉さんの手をすりすり触れたり、頬を寄せる幽霊くん。

幽霊くん「(有声囁き)こんな気持ちになるのは初めてだ……。こんなにも安らいだ気持ちになるのは、きっと、生まれて初めて……。ふふっ。幽霊になってから生まれて初めての体験するなんて……変、だよね……」

幽霊くん「(有声囁き)でも、幽霊にならなかったら……お姉さんとこんなふうに触れ合うことも、なかったかもしれない……」

幽霊くん「(無声囁き)そっか……僕はきっと、お姉さんと出会うために……」

キス音。お姉さんの手に幽霊くんが無意識にキス。

幽霊くん「あっ……!!」

衣擦れ音。慌てて顔をあげる幽霊くん。

幽霊くん「ち、違うんだ! 今のは、その……! たまたまお姉さんの手に、僕の唇が当たっちゃっただけ! ごめん、ごめんね。こんな冷たい唇なんかで……!」

幽霊くん「……(照れて目をさまよわせる)」

幽霊くん「ごめん。嘘、ついた。今、無意識にキス、してた。なんか、止められなくなって……」

幽霊くん「……(照れて顔を真っ赤にして)」

お姉さんから距離を取る幽霊くん。

幽霊くん「ごめん。僕、もう消えるね。このまま僕がい続けたら、お姉さん、凍え死んじゃうかもしれないし」

起き上がろうとする幽霊くんの袖を引っ張り、ダメ、と引き止めるお姉さん。

幽霊くん「ダメ、って……」

幽霊くん「(照れて)……」

お姉さんの子供っぽい引き止め方がなんだか愛おしくなってしまい、顔を赤らめる幽霊くん。

幽霊くん「……ずるいよ、お姉さん。そんなかわいい引き止め方されたら……消えるに消えられないじゃん……」

消えなくていいよ、ここにいたらいい、とお姉さん。

幽霊くん「ほんとに……ここにいていいの?」

頷くお姉さん。

幽霊くん「……さっき、『お姉さんを困らせるようなことはしたくない』って、言ったよね。あれ、早速嘘になっちゃうかもしれないよ。こんな姿してても、僕、男なんだから」

幽霊くん「そのうちキスだけじゃ済まなくなっちゃうかもしれない……それでもいいの?」

ちょっと考えたあと、キミならいいかも、なんて答えるお姉さん。

幽霊くん「(照れて目をそらし)……。知らないからね」

布団に潜り直す幽霊くん。やや思案して。

幽霊くん「(なぜか少しむくれて)……お姉さん、変だよ。絶対ヘン。僕みたいなのを、簡単に受け入れちゃってさ……」

ヘンと言いつつ、お姉さんに心を救われていることを実感する幽霊くん。

幽霊くん「ねぇ。もし、迷惑じゃなかったら……これからも、たまに、お姉さんの前に現れていい?」

幽霊くん「僕はこの先もずっと、この家に縛られたままになる……。夜、ひとりでいるのは、とても寒くて怖いんだ。だから……」

もちろん、と答えるお姉さん。

幽霊くん「(微笑み)……やっぱり、変な人。(心から嬉しそうに)……ありがとう」

衣擦れの音。幽霊くんがお姉さんにまた少し近づく。

幽霊くん「(有声囁き)うん。ちゃんとここにいるよ。お姉さんの手、握ってる。朝になったら、僕の姿は見えなくなってしまうかもしれないけど……それまでは」

幽霊くん「(無声囁き)ずっとずっと、お姉さんのそばにいるからね……」

【了】


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