アトリエミストラルについて #3 リードオルガン
みなさんこんにちは。アトリエミストラルのオーナー櫻井紀子です。
アトリエミストラルはグランドピアノとリードオルガンを常設しています。グランドピアノは1905年製プレイエル3bis、これについては#2をご覧ください。
今日はリードオルガンについてご紹介します。
1.リードオルガンて何?
若い方はご存じないかもしれませんが、40年ほど前までは小学校に必ずリードオルガンがありました。YAMAHAが大量生産したリードオルガンは全国の学校に購入され、音楽の授業に使われたのです。
指揮者の小澤征爾さんはリードオルガンを全国の小学校に設置したことで日本の音楽教育は一気に飛躍したといういことをおっしゃっていました。
リードオルガンとは、足踏みオルガンともいわれて、足ペダルで空気を送り、リードを震わせて音にする機構を持った鍵盤楽器です。鍵盤楽器といっても打鍵により音を出すピアノや、撥弦により音を出すチェンバロとは機構が異なります。
2.パイプオルガンとの違い
風をパイプに送り音にするパイプオルガンは、例えるならば何百本ものリコーダーを従えた鍵盤楽器。パイプオルガンはリコーダーの音一つにパイプ1本が相当するので、莫大な数のパイプが必要となり必然的に大型になります。
リードオルガンは鍵盤の奥に小さなリードが並んでいる構造のため、小型化でき、持ち運びも可能でした。
音色も大きく違います。パイプオルガンは基本的に微妙な強弱はつけにくいですが、リードオルガンは足で踏んで送風することにより音色を作るので、微妙なニュアンスが可能です。
上の写真はYAMAHA 5号オルガンです。
3.アトリエミストラルのリードオルガン
アトリエミストラルのリードオルガンは、1930年製西川の4ストップ。非常に柔らかい音色です。西川製は、リードが舶来もの(イタリア製)なので、当時は非常に高価だったと思われます。
ペダルの絨毯も美しいですね。当時は畳の部屋で足袋で踏んでいたため、このようなペダルになったそうです。アメリカのリードオルガンはラバーです。ちなみに。
4.リードオルガンの音色
2019年12月にアトリエミストラルでリードオルガンのコンサートを開催し、上記西川オルガンをはじめ、YAMAHAや米国製の棚付き大型オルガンの音もお楽しみいただきました。
リードオルガンは金管のファンファーレや木管アンサンブルのような、いわゆる管楽器の響きに似ています。
アドラー製リードオルガン(1916年製)で、タンホイザーから巡礼の合唱をどうぞ。演奏は筒井一貴氏です。
小学校の時にバタバタ踏んで遊んだ記憶がある方もいらっしゃるかもしれませんね。でもリードオルガンという楽器は、歴史や文化の面からも、きちんとした感傷に耐えうる楽器だと思います。
教会などでも、最近は電子オルガンに代わってしまうところが多いですが、素朴でかつ人々の心に寄り添うリードオルガンの魅力も発信していきたいと思います。