アトリエミストラルに関するオーナーの想い その2 なぜプレイエル?
みなさんこんにちは。群馬県高崎市のコンサートサロン、アトリエミストラルのオーナー櫻井です。
さて、前回、なぜ「金庫室の扉」を撤去しない選択をしたのか?について記事を書きました。
今回は、お客さまや演奏家の方から幾度となく質問のあった「なぜピアノをプレイエルにしたのか?」について書いてみたいと思います。
プレイエルとは
アトリエミストラルにはフランスのパリで作られたプレイエルModel.3bis(1905年製/85鍵)のピアノを導入しています。
前述のご質問の裏には「ヤマハやスタインウェイというメジャーなメーカーではなく、なぜわざわざプレイエルというマイナーなメーカーを選択したのか?」という疑問があってのことだと思います。
プレイエルはピアノの詩人ショパンが愛好したピアノとしても有名です。プレイエル社は「ピアノは演奏者の声としての楽器であり、芸術品であるべき」という信念の元、多くのピアノを製造しました。
アトリエミストラル所有のプレイエルModel.3Bisは、1905年当時のプレイエルのグランドピアノの中で最も人気で、グノーやマスネ、フォーレなどにも愛用されました。
プレイエル導入のきっかけ
私自身はピアノを習ったこともないし、好んでピアノ曲を聴いたこともない人間でした。しかしある時、テレビで見た番組にくぎ付けになってしまったのです。YouTubeで抜粋したものがこちら↓
ピアニストの仲道郁代さんがショパンの足跡をたどるというような番組で、実際ショパン時代のプレイエルを弾いたときに、指使い、ペダル使い、楽譜の読み方など、そのピアノを弾くことで仲道さんご自身が「発見」したさまざまなことが、非常に興味深く映像に残されています。
当時、私は「プレイエル」をショパンが愛好したという知識はありましたが、ピアノによってこれほど理解が深まるのか、ピアノはみんな同じではなく、個性があり、その個性を作曲に生かしたのだと分かったのです。
偶然の出会い
アトリエミストラルとしての仕事を始めるにあたって、ピアノはぜひ入れたいと考えていました。当時はメーカーや製造国には全くこだわりはなく、中古の小さいグランドをと考えていました。一方でプレイエルのことはずっと考えていて、そんなときに近くのピアノプラザ群馬さんでプレイエルを聴く機会がありました。テレビではなく生の音を聴き、私のふわっとした憧れが確信になりました。
「プレイエル」を迎えたい。と思う一方で、メジャーとは言えないメーカーのピアノを弾きたいという人がいるのだろうか?という不安もありました。そんな時に「プレイエルが好きな人は全国にたくさんいるので、もし導入すれば、全国からこのプレイエルを弾きに来ますよ」と担当した方に言われ、それを信じて購入を決めたのでした。
蓋を開けてみたら
実際、その通りになりました。それどころか、お披露目コンサートがきっかけて自分の天職(コンサートの企画や運営をすること)に出会い、私の人生も関わる人も考えることも、それまでとガラッと変わりました。
プレイエルが合言葉になり次々とピアニストさんとのご縁がつながり、なんと有名コンクール優勝の外国人アーティストの主催までやってしまいました。
音色が柔らかいため、独奏はもちろん、伴奏楽器としてもすばらしいバランスです。アトリエミストラルの空間には、この164センチの小柄なグランドがちょうどいいことも後から分かったことです。
アトリエミストラルのプレイエルの特徴とは
なんといっても繊細で柔らかい音色は、ショパンが好んだということが良く分かります。ペダルを踏んだままにしても、モダンピアノのように音が混ざり合わない、ピアノからインスピレーションが次々と湧く、というのは多くのピアニストが感じるようです。
そして驚くべきことに購入当初から、音色が変化してきています。幾多のピアニストに弾かれ、年に数回の調律&メンテナンスを重ねていることで、出現した現象だと思います。具体的に言うと、プレイエルらしい柔らかさはそのままですが、もやもやとした音の周辺がそぎ落とされて、よりクリアになった感じ。ピアノは生きているのですね。
しかし残念ながら
このプレイエルと相性が合わない人もいます。そしてこのプレイエルの良さを出せない人もいます。プレイエルを知らないピアノの先生もいるのです。
私は日本で一番このプレイエルを聴いているので、プレイエルらしさを出せる人にぜひ弾いていただきたいと思っています。
今年の主催シリーズ「サロンで聴くプレイエルの詩(うた)」
そんなプレイエルを主役に、2024年のシリーズを考えました。
3回シリーズの第2回は9月8日(日)
小田裕之さんによるベートーヴェンとショパン
第3回は11月2日(土)
第1回ショパン国際ピリオド楽器コンクール第2位の川口成彦さんによるオール・ショパン
プレイエルの音、生の音を間近で聴く機会でもあり、プレイエルらしさを十分に表現してくれるピアニストの演奏を間近で聴ける機会でもあります。
是非、ご予約お待ちしております。
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