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ロマン派の時代とピアノの技術革新と。

みなさんこんにちは。群馬県高崎市にあるコンサートサロン「アトリエミストラル」のオーナー櫻井紀子です。
さて、私は4月から「放送大学」の「西洋音楽史」を勉強しているのですが、この講座があまりにも素晴らしくて連日感動しております。

アトリエミストラルのピアノは1905年製プレイエルです。お客様やピアニストの方々から「どうしてプレイエルを選んだのですか?」と聞かれることが結構あり、その都度「音色が好きだから」と答えていて、それは本当なのですが、「西洋音楽史」の授業で腑に落ちたことがあるので共有したいと思います。

アトリエミストラルとプレイエルピアノ

ロマン派とピアノの技術革新

ショパンは、地震でプレイエルを所有し、作曲をプレイエルで行いました。同時代のリストはエラールを愛好したようです。
この時代、同時進行的にピアノの技術革新が目覚ましく進み、作曲家たちは最新のピアノを駆使して自分の目指す音楽を創り上げていったのですね。

リストは

「高音連打」と「力強い音」が可能な「ダブル・エスケープメント・システム」を備えたエラール製のピアノで作曲され多代表的な曲が、「ラ・カンパネラ」。この技術革新により、力強さ、重厚感、そして高音連打が可能になったのです。このアクションは改良を重ねられ現代のピアノにもつながっています。

ショパンは

力強さや高音連打を得意としたリストとは違い、ショパンの目指す音楽はイタリアオペラの「歌」でした。伴奏と、歌のような息の長い旋律によって構成される叙情的な性格の音楽です。まさにオペラのハイライトで歌われるアリアをピアノで再現したといってもいいでしょう。その歌うようなピアノを可能にしたのが「プレイエル」でした。

ピアノと歌

歌は声帯を震わせ声(音)を持続させるのに対し、ピアノは打鍵したあと減衰してしまいます。ダンパーペダルにより多少減衰の速度は遅らせることができますが。持続した声を、減衰するピアノで再現することに挑んだショパンを理解することは、当時のピアノの構造や特徴を知っていないと難しいのではないでしょうか?
また歌のフレーズ感やブレスのタイミング、クレッシェンドやディミヌエンドなどの鍵盤楽器での再現も同様です。

アトリエミストラルのプレイエルでいつも感じること

それは、まるで「歌」のようにまろやかな音だなぁということ。思えばピアノ屋さんでプレイエルの音を聴いた時に、この「歌のような音」に惚れたんだった(笑)
そんな私は、過去に(アマチュアではありますが)合唱や、(短い期間でしたが)声楽を習ったこともあり、その人にしか出せない声の色、質にとても興味がありました。
プレイエルを弾いてくださるピアニストの演奏で、いつも私が気にしているのは「歌」のニュアンスがあるかどうか?で、超絶技巧やパワーは割とどうでもよかったんですね(笑)

キーワードは歌

ということで、アトリエミストラルがプレイエルを導入したキーワードも、
ショパンがプレイエルを愛好したキーワードも、『歌』。
今まで「好き嫌い」「直感」「なんとなく」でプレイエルを選択したと思っていましたが、ちゃんと理論的に裏付け出来た気分になりました。

そして、ピアノ購入のとき、自分の「好き」を優先してホント良かったとも思います。あの時別のメーカーを購入していたら、アトリエミストラルの雰囲気は違ったものになったでしょう。

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ということで、この1905年製プレイエルをブゾーニ国際ピアノコンクールの優勝者である「エマニュエル・イワノフ」が弾きます!
バロックのスカルラッティ、古典派のベートーヴェン、そして(プレイエルを愛好した)ロマン派のショパンというプログラム。
イワノフがどのように弾き分けるか?ピアノがどんな反応をするか?ぜひ皆さんと見届け、聴き届けたいと思います。

7/15 エマニュエル・イワノフ ピアノリサイタル

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