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親の愛

 感動的な映画を観た。
 自閉症の子を持つ親が、子と共にアメリカを発ち、モンゴルのシャーマンを訪ねる馬上の旅をする。
 子供はコミュニケーションが取れず、頻繁に泣き叫び、癇癪を起こすと止まらず、6歳になってもトイレで排便できない。
 親の苦しみは想像を絶するが、子供の苦しみもまた、心がいくつあっても受け止めきることなどとても出来ないくらい深く、辛い。
 親は「自分のせいで子供は自閉症になったのではないか」「自分は子供に良かれを押し付けているだけの悪い親なのか」「今やろうとしていること(シャーマンを訪ねる旅)に意味はあるのか」と何度も自問する。しかし信じたことを信じ抜いて旅を続ける。
 この親は愛情深く、謙虚で、前向きで、驚くべき信念と実行力を持っている。
 流石に僕も、シャーマンの祈祷によって自閉症が治るということは「ないだろう…」と思っていた。それでもこれは家族が何かを成し遂げたという貴重な記憶となってきっと後に残る。多分そこが映画の終着点だろうと思って観ていた。
 しかし予想を覆すことに、誰の目にもはっきりと見て取れる変化が最後に子供に表れる。シャーマンの力もあるだろうが、親の、子を助けたいという一心不乱の祈りとその実行が現実を動かしたのだと思った。

 あまりの気の毒、あまりの苦しさに頭が痛くなるほど泣きながら観始めて、最後には感動の涙と共に拍手している自分がいた。
 そして改めて思った。愛ほど尊いものはないと。

『ザ・ホース・ボーイ~奇跡の旅~』

https://asiandocs.co.jp/con/432


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