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家づくりと「登記」

家づくりを計画していると「登記」という言葉に出会います。
土地家屋調査士とか司法書士とか、聞いたことはあるけど・・・
「具体的に何をする仕事なのかピンとこない」
という人も多いのではないでしょうか?

今日は普段あまり身近にない「登記」とはどのようなものなのか
解説をしていきたいと思います。


①登記とは

登記には不動産以外にも、法人登記などいろいろありますが、
ここでは家づくりにかかわる不動産登記のみを説明します。

ものすごく大雑把なことをいいますと、つまりはこういうことです。
自分の持ち物は盗られないように、ちゃんとしまって管理しますが、土地や建物は大きいのでしまっておくことができません。そのため
「この土地(あるいは建物)は、僕のものだよ」
と国(つまり法務局)に記録して権利を主張しておく。
それが「登記」という手続きです。

登記簿とは「こんな土地、建物があって、誰の持ち物だ」
ということが書いてありますので、
誰もが自由に閲覧できないと意味がありません。
例えば、通りがかりに空き地があって「これは誰の土地だろう?」と思えば、誰でも法務局で登記簿を取得して、土地の持ち主を調べることができます。

このサンプルには「乙区(所有権以外の権利)がありませんがこんな感じです。
実際の登記簿から情報を消して掲載しています。

②表題登記(土地家屋調査士)

表題登記とは
「ここにこんな土地があるよ」
「ここにこんな家があるよ」
という、対象物の存在を届け出る登記です。

登記されるのは

<土地の場合>
地名地番・土地の面積・土地の用途(宅地、田、雑種地)などの土地に関する情報

<家の場合>
構造(木造など)、規模(2階建てなど)、面積などの建物に関する情報

これは登記簿謄本の「表題部」という欄に記載される内容になります。
またこの登記をするのは土地家屋調査士です。(司法書士にはできません。)この手続きによって法務局の中に登記簿が作成されます。

③保存登記(司法書士)

保存登記とは②の表題登記によって法務局の中に作成された登記簿謄本の「甲区(所有権)」と呼ばれる欄に権利を登記する手続きになります。
保存登記とは「これは僕の持ち物だよ!」という主張です。
具体的にはお施主様の「所有権」と持ち分(夫1/2、妻1/2)などを記載します。

<建物の場合>

実は工事中の「家」は「工務店の持ち物」です。
「現場に勝手に入らないでね」というお願いはそういう意味でもあります。
管理責任が工務店にあるので、無断でお客様が入ってケガをしたり、工事物に傷がついたりすると工務店はとても困るのです。

工事が完成すると「お引き渡し」ですね。
「お引き渡し」では工事費の残りのすべてのお支払いが済んだのを確認(着金確認といいます)の後に、司法書士さんが法務局にて新しくできた「家」に所有権を登記(保存登記)します。
これによってはじめて「家」がお客様の持ち物になります。

<土地の場合>

売主をAさん、買主Bさんとします。
土地を買う場合には、

BさんはAさんに土地代金を支払う
登記簿の権利部(甲区)の所有者をAさんからBさんに書き換える
土地がBさんの持ち物になる

という流れです。
建物の場合と同様に、土地代金のお支払いが済んだことを確認して、司法書士が法務局で登記をいれます。

④抵当権設定登記(司法書士)

お金を借りずに家や土地を買える人には関係がないのですが、なかなかそんな人はいないので、多くの場合は「住宅ローン」を借りるようになると思います。
③の保存登記によって所有権が登記され、晴れてお客様の持ち物になったお家や土地ですが・・・・住宅ローンを借りている場合には銀行はその土地建物を担保に取ります。
銀行が「僕がこれを担保に取ってるからな」と主張するための登記が行われます。それが抵当権設定登記です。登記簿の「乙区(所有権以外の権利)」の欄に記載されます・・・・むーん。早く完済したいなぁ。がんばるぞ!

⑤抵当権抹消登記(司法書士)

がんばって住宅ローンを完済すると、ほんとうに晴れ晴れしますよね!
住宅ローンが終わったら、もう抵当権はありません。
抵当権とおさらばです!抵当権抹消の手続きをします。

⑥滅失登記(土地家屋調査士)

古家を解体した場合には「建物を取り壊したよ」という証明書(取り壊し証明書)を添えて「もうその建物はなくなりました」という登記をします。
古家付きの土地などで必要となる手続きです。

まとめ

家の完成が近づくと、お引き渡しまでに
「ここにこんな家が建ったよ」
土地家屋調査士が表題登記をします。

お引き渡しの時に、「これは○△太郎さんの建物だよ」
司法書士が保存登記をすると、

すかさず「これはウチが担保に取ってるからな」
と銀行に依頼された司法書士が抵当権設定登記する。

という大雑把な流れのお話でした。

お店屋さんでお買い物をするときには、代金を支払って品物を受け取りますが、お家や土地はおおきいので「商品はこちらになります」と袋に入れて持って帰るわけにはいかないのでこのような仕組みになっています。

最後までお読みいただきありがとうございました。


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