あけましておめでとうございます
皆様あけましておめでとうございます。大変な年明けとなりましたね。
こんな時にnoteで自分事を綴るのも憚られる思いがありましたが、自分が2024年へ踏み出していくために言葉を残しておきたい・そしてできれば気にかけてくださる誰かに知っていてほしいと思ってしまったので久しぶりにnoteにログインしました。最後の更新からは最早自分が別人のようで恥かしいです笑
遡ること2022年、金沢21世紀美術館での音楽家蓑輪紀人との二人展がございました。このインスタレーションは準備に2年以上かかっており、大変な節目でした。蓑輪氏のラブコールに加えきめ細やかなバックアップがなければ成しえなかった企画です。
二十代の私には何か大きな仕事がしたいという強い思いがあり、上京後のがむしゃらに日々を生きていく中でそのチャンスを自分なりに模索してきました。自分にとっての幸福を考えてみると、それは選択肢があることであり、未来に選択しなかった・できなかった後悔を感じないことが重要なイメージでした。選択の機会自体を見送りながら穏やかに生きるよりは運命のドアをノックし続けて怪我をするほうが幸せだと思っていましたし、今もその考え自体は変わってません。
なので、私が実現したいイメージを形にするチャンスを与えられてそれに取り組めたことそのものが金沢での二人展までの日々の私の幸福でした。自分の至らなさ不甲斐なさを痛感する瞬間は山ほどあったけど・・・!でもそれが大きな誇りになりました。
それが2022年末に一区切りして、2023年からはその誇りを胸に頑張っていたつもりですが、下半期からは大変な徒労感に苛まれて、秋には布団から起き上がれない日々を送っていました。(布団から起き上がると、背中から生えてる針がヒリヒリしてどうしようもないみたいな体感)
原因は、作家活動にまつわる関係者との足並みのそろわなさ・双方向の期待が悪循環となってしまった悲しい事故だったと思います。詳しくはここでは伏せますが、結果として11月に予定していた作品集の出版記念展に向けて作品制作に取り組み、そして展覧会場でお客様をお迎えできるような状態ではなくなってしまったために中止せざるを得ませんでした。
個展中止が決まった後は、今まで生きてきた日々では不条理ややるせなさを昇華させる行為が作品制作だったのに、アトリエに行こうとすると足がすくむようになってしまい、初めてのことに途方に暮れていました。
元々無い才能だったのだから、このまま廃業した方が良いのかなとも思いましたが、不幸中の幸いか作品集のたたき台が出来上がっていたことで少しずつ気持ちを持ち直して、今は2024年を前向きに迎えることができています。(大変なご迷惑をかけたのに出版社様の寛大な対応には頭があがりません)
それにこうして倒れこんでみる事で気づけたこともありました。根気強く次の発表を楽しみに待っていてくださるお客様・励ましてくれる同業のアーティスト・何もできなくてもゆるしてくれるパートナー。積み重ねたことは消えてなかったし、元々無い才能と思うなら自分の思い描く理想と比べて落胆するよりもこの人達と良い時間をすごすために日々を受け止めていきたいと思えました。がむしゃらに運命のドアをノックすることは少しお休みします。今の自分を見てくれる人を向き合う時間の中でゆっくり元気になっていきたいです。恐らく私にはこの今現在の日々とぶつかっていく覚悟が足りていなかったのも一因だと思います。今まで使ったことのない筋肉を見つけたみたいな感覚です。いきなりは大怪我しちゃうから、2024年はゆっくりストレッチからはじめます。
”死への欲動”を提唱したのはフロイトですが、中沢新一先生の著書ではこれをある意味で「早く答えを出したい」という欲望とされていました。(ポケットの中の野生という本です)
死は終わりです。完結で結果で答えです。その欲望を押しとどめて、答えを出すことを先延ばしにすることが希望であり生きていくことだと言えるのだそうです。
廃業したほうが良いんじゃないかとか、ずっと昔から感じる死んでしまいたい気持ちは答えをだしたい、考えることをやめたい欲望だったみたいです。
でもこの世には残酷さと同じくらい人間の作り出した美しいもの尊いものがあることを大人になった私は知ってしまっていて、きっとそれらは先延ばしの過程でないと生まれないんだろうと感じています。
だからどんなことでもやってみて、どんどん答えを先送りにしていきます。よかったら一緒に悩んでくれると嬉しいです。
というわけで2024年は低空飛行でもちゃんと飛び続ける!を目標にがんばります!ここまで読んでくださったあなたありがとうございます。
美術こそ世界全体が幸福にならない限り本当の幸せではないでしょう。低空飛行の私は最後で良いので、どうか楽しく愉快な一年を送ってくださいね。
村上仁美
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