ブックカバーチャレンジ6日目
ブックカバーチャレンジ6日目
『氷点』/三浦綾子
この本には、人生で二度出会っています、
一度目は小学6年生の時。担任の女性の先生が、授業を2コマ分くらい使ってストーリーを語ってくれました。黒板に登場人物の相関図を書きながら非常にドラマチックに。活弁士状態。その後、自分で読破するクラスメイトも出てきて、しばらく皆その物語の虜でした。大人の読み物に一歩足を踏み込んだ興奮があったと思います。でも私はこの時は読まなかった。
2度目の出会いは、アメリカで暮らし始めて、ボストン日本語キリスト教会を訪ねたとき。私はクリスチャンではないですが、聖書に興味がありその輪読会の知らせを知ってケン先生の元を訪ねました。そこにずらりと並んでいたのが三浦綾子シリーズ。ーああ、ここで。ー
何か流れに納得して、この時、初めて自分で読みました。塩狩峠もこの時同時に。
登場人物の心の機微、物語の奥に流れる著者の信仰の厚み。その本を置く教会と、輪読会、そこに集まる人々との交流(信仰のある人もいれば、私のような人もいました)。私の中でそれらが全て紐付いてとても立体的な思い出となっています。
...と、つい本にまつわる思い出話が先行しがちですが。
氷点は、一筋縄では行かない人間のドラマとしてとても興味深い。そして、その奥にあるものに触れた時、また別の学びがある本だと思います。キリスト教でいう人の“罪深さ”について、おのずと意識の向く一冊かもしれません。