デンマークで見つけたヒュッゲに暮らすコツ
HYGGE(ヒュッゲ)という言葉をご存知ですか?日本語で当てはまる言葉を探すのは難しいのですが「心地よい空間」「くつろげる時間」などを指すデンマーク語で、幸福度の高いデンマークの生活に根付いた言葉です。
留学前にこの言葉を知った私は、本場のヒュッゲを楽しみにしていました。
日常に溶け込むヒュッゲ
私はてっきり、デンマークの人たちがヒュッゲしよう!と言いながらヒュッゲタイムを楽しむものだと思っていたのですが、デンマークで暮らし始めて数ヶ月しても一向にデンマーク人の口からヒュッゲという言葉を聞くことがありませんでした。
なんだ、ヒュッゲヒュッゲと言っているのは北欧好きな外国人で、実際にはヒュッゲという言葉を使わないのかな、なんてぼんやりと思っていました。
そんなある日の朝、校長先生が教卓に一本のキャンドルにを灯して「Hyggeligtでしょ?」と言ったのを聞いて、はたと気がつきました。
このヒュゲリという言葉、デンマークに来てからたびたび耳にしていたのですが、実はヒュッゲの形容詞だったのです。
私はスウェーデンのフィーカのようにコーヒーとお菓子を楽しむ時間そのものをヒュッゲと言うと勘違いしていたのですが、ヒュッゲは暮らしの至る所に見つけることができる「感覚」に近いもの。なので、名詞ではなく形容詞で使われることが多かったのです。
ヒュッゲな夜の思い出
ヒュッゲについて、心に残っているエピソードがあります。
クラスメイトのDorteとフランス映画を観る約束をした時のことです。
私たちはいつも生徒たちが使うテレビルームではなく、朝礼をする広いホールのスクリーンで映画を観ることにしました。
約束の時間にホールに着くと、そこにはコーヒーと紅茶、お菓子、花瓶、キャンドル、そして他の部屋から集めてきたクッションとブランケットがありました。
母親ほど歳の離れた彼女は、約束の時間より少し早くホールに来て、見慣れたホールを素敵なシアターに仕上げてくれていたのです。
ただ映画を観るだけと思っていた私は、ちょっとしたひと手間でこんなに特別な空間が作れることに驚き、そんな空間を用意してくれた彼女の心遣いに温かい気持ちになりました。
ローズメーカーというそのフランス映画は日本語字幕も英語字幕も見つからず、結局はデンマーク語字幕で鑑賞をしたので、正直内容は半分も理解できなかったのですが、ブランケットに包まれて紅茶を片手にクラスメイトたちと映画を観たその時間は、私にとって最高にヒュッゲで特別な夜となりました。
ひと手間で作るヒュッゲな時間
ちょっとしたひと手間でヒュッゲな空間や時間を作ることが、デンマークの人たちはとても上手です。
食卓にキャンドルを灯すこと。
晴れた日にガーデンでご飯を食べること。(デンマークの人たちは外に出て太陽の光を浴びることがとびきり大好きです。)
気分転換に散歩をしたり、サイクリングをすること。
それはインスタ映えする丁寧な暮らしをするためではなくて、自分たちが心地よく過ごすためのちょっとした工夫です。
自分がご機嫌になれるようなヒュッゲな時間を自分で作り、それを家族や友達や恋人や、ときには一人でも楽しむことが、心地よくヒュッゲに暮らすために必要なマインドなのだと思いました。
日本に帰国してから2ヵ月が経ち、デンマークでの日々が恋しい今日この頃ですが、どこにいても気持ち次第でヒュッゲな暮らしができることを思い出し、楽しい毎日を過ごしていきたいと思っています。
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