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「器用」ってなんだろう


『器用だね』と言われるとモヤモヤ


「なんでも器用にこなすよね」


こどもの頃からよく言われてきた。
自慢をしたいわけじゃない。(まぁ…自慢に聞こえる人もいるだろうけど)
初めの頃は、素直に褒められて嬉しなと思っていた。
だけど言われ続けているうちに、どこかモヤモヤした感情が…

(自分はそんなに器用じゃないのにな…)
(器用といっても得意と言えるレベルじゃない…)
(器用だねの言葉のウラに「努力しなくても簡単にできるからいいよね…」というニュアンスを含んでるよな…)

最初から器用にこなせたことの方が少ない。
不器用だからこそ工夫をしてきた。いろいろ試して自分に合った方法を探してきた。
その工夫や過程を無いことにされ、努力しなくても簡単にできるからいいよね…と思われていることにモヤモヤしているのかも。

このモヤモヤの原因は「器用」の解釈なのではないか。
辞書に載っている、細かい仕事が上手いとか要領が良いって意味だけだとモヤモヤが残る…
表面に現れてくる結果だけに「器用」という言葉があてられている。


器用=「器」×「用い方」


「器用」を訓読みしてみると
うつわもちいると読むことができる。 

器には入れ物や道具、才能、心の広さなどの意味がある。
ということは、器用とは持っている才能(強み)を上手に使いこなしている状態だと言えるのではないか。
逆に、不器用とは持っている器やその用い方の解像度が低い状態。
例えるなら、穴の開いたお玉で平たい器にスープを入れているようなもの。
上手くすくえないし、器に入る量も少ない。

器の形は…?大きさは…?深さは…?材質は…?色は…?いくつ持ってる…?
まずは、今の自分が持っている器を知ること。

あなたの持っている器は?

でも、器を知るだけでは十分ではない。
手に入れたいもの、なりたい状態(例えば、要領がよくなりたい…とか、結果として表面に現れる器用)の解像度を上げることも必要なのではないか。

穴の開いたお玉と平たい器を持っていると知っていたする。
でも入れようとしているものがスープだと理解していなければ、何度やっても上手くいかない…自分は不器用なんだと思い込むことになる。
スープの解像度を上げる(液体であると理解する)ことができれば、お玉の穴を塞いでみたり、器を深くしてみたり、器の用い方を探ることができる。


器用は技能である


器用には属人性があると思っています。

人それぞれ持っている器は違う。
表面上は同じ器用なことに見えるけれど、使っている器や使い方は人によって違っている。
器用になるには自分の器を知り、器を用いる経験を積み重ねていかなければならないのではないか…

器用になるための画一的な方法(=技術)は無くて、人それぞれの器に合わせて経験で築き上げていく技能なのだと。


折り紙を例に考えてみると、端をキレイに揃えて折ることができれば器用な人だと言えますよね。
紙をキレイに折る方法(=技術)はいくつもあります。
でも方法を知ったとして、キレイに折れるとは限らない。
実際に紙を折ってみて、失敗や成功を経験し、自分にとってキレイに折りやすい方法を探していく。
その結果、キレイに折るという技能が身に付くのではないでしょうか。

端をキレイに揃えて折るという器用は同じに見えるけれど、人によって方法は違う。
その人なりの器用がある。


器用だねと言われる人は、この自分にとってを探し出すのが早い人なんだと思います。もしくは、諦めずに探し続けられる人。
自分の器を理解し、器の上手な使い方を知っている。
これが僕の考える「器用」です。



‐Next‐|器用になるための4つのヒント

ここまでに、器用になるためには

持っている器を知ること
・手に入れたいものを知ること
・器を用いる経験を重ねること

が大切だと書いてきましたが、具体的にはどうすればいいのでしょう?


僕自身が不器用だからこそ工夫をしてきたことを振り返り言語化してみると

「観察」 「真似」 「取捨」 「組替」

この4つを繰り返していました。

次の記事で、1つずつ詳しく書いていきます。
自分のことを不器用だと思っている人が、少しでも器用に近づくヒントになればと思います。



▼器用について考えた記事のまとめ▼


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鈴木健太|工房ベル
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