天の川は腹の中!?
京都は伝統を重んじるあまり、さぞかし保守的風土なのだろうと思いきや――さにあらん、実に新しいモノ好きで革新的柔軟性をも併せ持つ。
かの《スターウォーズ・サガ》を、頂点に達した総合的映画芸術と捉えた展覧会やら…
〈三日月宗近〉〈へし切長谷部〉を中心に据えた、《刀剣乱舞》とのコラボ展やらを――なにげに‘国立の’博物館でヤッてしまう。
旧・帝国京都博物館、現・国立京都博物館。
ま、両展とも漏れなく足を運んだのは言うまでも…茄子B。
そのお隣サンは、千成瓢箪・秀吉公を祀る豊国神社。大坂冬の陣の火種、方広寺梵鐘があるトコ。
狸オヤジ・家康が、梵鐘表面に彫られた[国家安康 君臣豊楽]の文字を見て――「よくもワシの首を切りおったなッ」とイチャモン、結果豊臣を滅亡に追いやった曰くの鐘。
今は、とーらぶ刀〈鯰尾藤四郎〉の方が人気っぽいか。
…てな感じなご近所サン。
…と外堀から埋めつつ、豊国神社参道に建つ和菓子の老舗が今宵の主役。
むかーしむかし、慣れぬ和菓子作り体験をしたのがこの老舗。
何を隠そう友からの、時ならぬ贈り物がこの和菓子司の“ようかん”だったのさー。
名は《天の川》。
その名のとおり、織姫と彦星の逢瀬を分かちたゆたう――星の河。
漆黒の、奥深き宙の闇に流れる蒼き清流。
“うんうん、たしかに天の川!”
包丁でスライスしながら、ネーミングの妙に頷く。
さてそれではひと口…って間際、脳内にアラート…アラート!
{{{銀歯注意!銀歯注意!}}}
…そ、そうだった!
昔、某老舗の羊羹を喰らった時さね!
壁に投げればくっつきそうな勢いの甘さに、銀の被せがシュポっとモッテかれた黒歴史!
[羊羹]≒[ミ○キー飴]!?
…とゆー、準トラウマを思い出すも。
ひと口寸前まで運んできたスイーツの――甘露の法則…否、慣性の法則には抗えず…
…パクっとな。
“…うまっ!しかも甘さ、ライト!”
あと引かぬ、軽くて爽やかな甘露風味――まさに口から喉を〈天の川〉が流れたよう…。
ふふ、銀歯も無事に――完食。
もはや天の川は腹の中、天を見上げても見えませぬぞよ?