自分だけの音色
6月最終日。
この3日間、ちょっと停滞気味である。
一昨日、歯科で、右の上歯の神経を抜く。歯茎が腫れて、筋肉痛になった。
同じ日の夕方、玄関から降り際に右足を捻った。捻挫こそ免れたが、どこか筋を違えたらしい。その筋は、どうやら右半身全体につながっていく筋だったらしく、足だけではなく手も痺れてきて、腰から背にかけての筋に影響し、右半身に力が入らない。
そうして右半身に強襲を受けた私は、昨日も今日もその影響を受けている。
症状は軽くなってきたが、ピリピリ感が右半身に残っていて、気分はダダ下がりである。
右側に体の症状が集中しているなぁ。
昔を思い出す。数えたらきりがない。
思春期特発性側弯症(右胸部凸)、乱杭歯、肩の捻挫、耳のメニエール病様症状と聴覚過敏、人差し指の骨折、仙腸関節炎、腰の捻挫(ぎっくり腰ともいう)、半月板損傷、変形性膝関節症、足首捻挫。
病名になるものは思い出すだけでもこれだけあるが、左半身にはほぼ大きな症状はない。
そして、右半身の故障時には、いつも、母や姉妹関係のことを思い出す。
霊能者という、感覚が敏感すぎて色々なものが視えてしまう人(と理解している)の話だと、右側には、母方の先祖や女性が関係しているらしい。どの本で読んだか忘れてしまったので、確認しようがないが、スピリチュアル的に、体の部分は、人生の色々なことと関係しているらしい。
いつもの動きが制限されると、じっとしていることが多くなるため、嫌でも自分の心と向き合うことになる。
あんなことがあったなぁ、こんなこともあったっけ。
体や心の痛みの感覚につながって思い出される人生の数々の思い出は、時に、嫌というほど現実を停滞させる。
解決したいって思っていることが出てくるんだよ、なんていう事を聞くが、出てこられると本当に辛い。科学的な視点で解決しても、心では納得がいかず、ぐるぐると同じところを回る。いくら理性的に判断しても、納得できないし、納得したくないことは、たくさんある。
雨は、古傷を洗い流してくれるかのように、心も体も“痛む”ことを思い出させる。
どれだけの傷が私にはあるのだろう。
私は女性なので、女性に絡む関係のことが多く思い出される。
本当に久しぶりに、漫画を大人買いした。
漫画については、これもまた、母の一言で、家庭の禁止事項だった。私の育った昭和時代は、過激な描写が多かったことも事実なので、その辺を心配した母の気持ちはわからないでもない。だけど、そればかりではない内容もあったはずだし、絵でしか見せられない感覚もあったと思う。姉が、内緒で買った少女漫画雑誌が母に見つかり、母に、鬼の形相で、ものすごい剣幕で叱られて、漫画没収、捨てられる、そんな一連のことを見てきた私には、漫画は、罪悪感どころか、要らないのに付録に母の鬼の形相の思い出がいつもついてくる。
今現実に母は目の前に居ないので、誰に咎められるわけでもなく、私は読み耽る。
漫画でも、胸を打つ話はたくさんある。活字本だけが書物ではない現在、本当に色々な物語に触れられることに感謝する。
右半身の故障から出てきた思い出と物語が被る。
高校生ライフ、私は満喫できなかった。常に家庭の問題がつきまとっていて、子供らしい子供で居てはいけなかった感覚から思い出す出来事が連なって出てくる。
あれって親の問題じゃん。
私に八つ当たり!?
私の抱えてる何がわかるのよ、勝手なこと言うなよ。
いい思い出が出てこないことに私は焦る。
人の脳の機能として、記憶と感覚をセットとして思い出すために、理性的には、感覚と出来事は別物で関連がないこととわかっていても、どうしても結び付けてしまう自分が居る。
音楽はどうか。
私の原点、自分の心情を語るツールでもあった音楽に触れられなかった。
16歳、進路変更を迫った母に思いっきり否定された音楽、その後に起こった人生の数々の痛い思い出に、私は、好きなことをしていると、いつか他人の事情で否定されて、痛い思いをするという出来上がった物語に翻弄されて、大好きだったピアノには触れなくなったどころか、興味あるものにある程度取り組むと、ぱったりやめてしまう傾向が続いた。
本来、ピアノと進路は関係ないことなのに、関連づけてしまっていた。
それ以外のことに、自分の“好き”を見出そうとして、パステル画や、カードリーディング、占星術、ずいぶん色々と取り組んだが、心は晴れない。それなりに技術は上達したが、自分の心の音色、心音(こころね)、を表現するツールとしては何か足りないのだ。
本当は、音を奏でたいのではないのだろうか?
私だけの音を、言葉ではなく、音色(ねいろ)で表現したいのではないのだろうか?
その漫画は、私の根っこの想いを見事に描いてくれていた。
色々な出来事には、様々な積み重ねがあって、良くも悪くも壊れにくい。
年月が長ければ長いほど、強固な土台となる。
ピアノが目に入った。
私の何か言葉にならない言いたいことを代弁してくれるのではないかと思った。
幸い、反対する人はもう居ない。目の前には居ない。
古びた楽譜、捨てられなかった。それを引っ張り出して、今、音楽が友達だった頃の想いを感じている。
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