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待つことは祈り
彼は今日も池の畔にいるだろう。
ほら、やっぱり!
タンプはゆっくり近づいていく。
「やあ、タンプ!」
ヘイワニはすぐ気づいて声かけてきた。
「やあ、ヘイワニ!そばに行ってもいいかい?」
「もちろんだよ。
ちょうどお茶をしたいと思ったところなんだ」
タンプは、慣れた手つきでお茶を用意する。
「あのね、ヘイワニ。
キミに聞いてみたいことがあるんだ」
ヘイワニが、何だい?という目で見る。
「待つことが魔法って、どういうこと?」
ヘイワニは美味そうにお茶をすすってから
「タンプはどうやって生まれた?」
と質問を返した。
タンプは、長―い自分の誕生秘話を話した。
それと自分の質問がどう関係するのかしら?
と思いながら…
ヘイワニは、タンプの話をうんうんと
ごはんを噛みしめるように頷いて聞いていたが、
最後にこう言った。
「タンプ、キミはもうそれを体験しているよ」
タンプは一瞬キョトンとしたが、
ヘイワニの眼差しが自分の体を突き抜け
内側を照らしているのに気づいて目を閉じた。
そして、そこに在るものに気づいた。
「待つことは…明け渡すこと。無我の祈り。
魔法は…天の采配」
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