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私たちの仕事、大切なもの②

私たちの仕事、大切なもの①で書いたように、私たちの仕事の目的は「幸せな人を増やす」ことに貢献することです。

これまで、セッションや研修を通じて、コーチングという方法でたくさんの人の目標達成を促進するお手伝いをしてきました。しかし、その一方で目標設定が適切でないと「目標達成」しても幸せではないということに気づくようになりました。

では、適切な目標を設定するにはどうしたらよいでしょうか。ビジネスの世界ではSWOT分析という手法が有名です。これは、自社のビジネスについてStrength(強み)、Weakness(弱み)、Opportunity(機会)、Threat(脅威)を列挙し、それをみて今後の戦略を考えるという手法です。

また、よく知られている格言に「敵を知り、己を知れば、百戦危うからず」という言葉があります。これは、古代中国の兵法家孫子の言葉です。その部分を引用してみますと、「彼を知り己を知れば百戦危うからず。彼を知らずして己を知れば、一勝一負す。彼を知らず己を知らざれば、戦う毎に必ず危うし」となっています。

ビジネス成功の基本は、自社の強み、弱みを知ることです。また、兵法でも「自分を知らなければ必ず負ける」と言われています。私たちは、これまでの経験から、自分を知るということについて、「強み」、「弱み」だけでなく「価値観」や「コミュニケーションのくせ」も含めておく必要があると考えています。これは、技術革新やグローバル化の進展で社会の変化早く、先が見通せない時代に、意思決定の基盤となるのは自分自身の「価値観」であり、それがコミュニケーションのくせに現れていると考えています。

では、自分を知るにはどうするか。他人を見ているように、自分を客観的に見ることができたら良いのですが、それが大変難しいのです。ギャラップ社が開発したストレングスファインダーのように、用意された質問に答えるとその人の資質を強いものから順に示してくれる便利なシステムもありますが、これも資質の読み取り方が適切でないと正しく使えません。

自分の行動や言動に対する他者のフィードバックが素直に受け取れると良いのですが、プライドや恐怖が邪魔をして、そう簡単にいかないものです。「ちょっと誤解されている」という言い訳が世間で良く聞かれるはその現れでしょう。また、他者からのフィードバックにも、思惑や利害関係によるゆがみがあることも否定できません。

これまでの経験でたどり着いた答えは、客観的な他者と対話することが自己理解に最も有効な手段であるということです。

客観的な他者とは、生身の人間で言うと「本物のプロフェッショナル・コーチ」があげられます。国際コーチング連盟の倫理規程をきちんと遵守するプロフェッショナル・コーチであれば、真にクライアントのためになるフィードバックを受け取りやすい表現で返してくれるでしょう。でも、そんなコーチは、広告を出していないし、クライアントの空きも出ないでしょう。

それに代わる一つの方法は、古典との対話です。古典と言われる書物が、長く読み継がれてきたには理由があります。それは、いろいろな解釈ができるということです。ですから、作品が世に出てから、今日まで多くの学者が内容を研究し、いろいろな解釈を加えています。例えば、論語にはたくさんの解釈が付いています。すなわち、同じ言葉でも時代や人によって受け取り方が違ってくるということです。それは、読み手の価値観の違いから生じます。古典の解釈の違いが価値観の違いによるのであれば、数人で同じ古典を読んで、感じたことを述べ合う対話を行い、自分の感じ方とほかの人の感じ方の違いに着目すれば、そこから自分が大事に思うことと他者が大事に思うことが違うことに気がつき、どうして違うのかと心の中を探る。それが自己理解につながります。

でも、古典は取っつきにくくて無理という方も多いと思います。作品との対話という方法もあります。作品というは、絵画、音楽、建築物、家具、陶芸など、どんなジャンルでも、プロが作った一点ものであれば、そこに作者の思いが詰まっています。その作品と対峙し、作者どんな思いで作ったのか想像してみるとよいでしょう。また、作品のどこが良いか、どこが好きかについて、数人で述べ合っても良いでしょう。例えば、藥師寺の東塔と西塔が並び立つ姿を見て、何を感じるかは人それぞれ違うと思います。でも、そこで感じることが、自分の関心事など内面を映し出しているのです。

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私たちは、アトリエ宝来の開設を機に、会社のモットーを「コミュニケーションで『本物』と『未来』を作る」に改めました。ここで言う「本物」というのは、自分が何者であるかを知っている人のことです。

アトリエ宝来は、周辺に菅原道真生誕地、行基菩薩入滅の地、鑑真和上の墓所など歴史上の人物ゆかりの地がいくつもあります。偉人の足跡をたどることで、歴史上に人物と対話すれば気づくことも多いでしょう。

そして建物そのものがピラミッドパワーに関する著書もある有名な建築家渡辺豊和先生の作品で、今回の奈良の木を使った内装工事では大工さんの丁寧な仕事が光ります。また、ギャラリーには故冨田啓介画伯の抽象画を飾り、机や椅子など調度品も奈良県内の作家の作品を揃えています。このようにアトリエ宝来は、訪れた人が何かと対話できるようになっています。


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私たちは、このアトリエ宝来の力を借りて、上質な対話の場を提供することで、自分自身を知る人すなわち「本物」をつくり、さらにその方々の自己実現を促進することを通じて、幸せな「未来」をつくること貢献いたします。





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