【若き料理人に伝えたい】ブラックな修行は意味がないから
”朝から晩まで休みもなしそのくらい平気で出来なきゃ一人前の料理人にはなれない”
自分が若い頃はそれが普通に言われていた事で常識でした
調理場のいじめも暴力も。それを修行と呼んでいた
残念ながらそれは嘘だと気がついた時は
すでに厨房から離れていた時
何度も後悔し何度も反省した
そんな昔話を若い人に押し付けていたのは
単なるいきがりでイジメだったと気がついたから
仕事が厳しいのはいくら厳しくても構わない
ただし教育に暴力は要らない
これに関しては若い日から気がついていた
なんとも幸せなことに自分の師匠は暴力やいじめを嫌う人で
仕事は厳しくともそれ以外で理不尽な命令や人として間違ったようなことは一切しない人だった。仕事は仕事としてわけそれ以外は社会人として恥ずかしく無いように人生を教えてくれる人だった
だから自分も師匠に教わったので暴力は一度も振るったことはないし
仕事以外のことでは一切後輩でも部下でも失礼となるようなことはしていない
また給料面で一度もただ働きをさせたこともない(残業も公休出勤もしっかりと付けてお金にした)
そのおかげもあり師匠の元を離れた後
いくら理不尽ないじめや嫌がらせにも耐えることができたし
先輩であろうが上司であろうが理不尽なものには反抗してきた
ただそれでもきちんと仕事を教えてあげられなかったことや
会社の規定とはいえ守ってあげられなかったことに
今頃になって腹が立ち本当に反省してる
はっきり言う
その時の言い訳が
”朝から晩まで休みもなしそのくらい平気で出来なきゃ一人前の料理人にはなれない”
単なるストレスの捌け口だった
管理職として会社の期待に応えようと成績ばかり追いかけて
その中で生じる上司との軋轢やプレッシャーに対する
単なるストレス。
その捌け口が部下に向かった自分の苦労を人に押し付けちゃダメだましてや
自分を信じてついて来てくれるスタッフに対しては。
料理の世界は厳しいのか?
そんなことはない
どんな仕事も厳しいし嫌なら辞めても誰も困らないのだから
気楽な仕事だ
ただサービス業であるので時間や休みは不規則で人様が遊んでる時に働く仕事だから当然その大変さはある。それは自分で選んだ仕事なのだから覚悟しなければならない
しかしながら理不尽な暴力やいじめが正当化されるはずはない
無茶苦茶なノルマも同様だ
どうでもいいことだがそんな無茶なノルマを部下に命令してきた経営者が
このコロナの中で万策尽きただの限界だ無理だなどと泣きを入れ
社員を守るためにと世間に助けを求めてる姿をよくみる
それが現実です
自分が救われたのは2つ
一つは最初にいい師匠に巡り会えたこと
もう一つは時間はかかったがそれに気がついたこと
どちらも師匠のおかげである
自分が師匠の年齢に近づいた時に師匠のおかげで気がつくことが出来た
だからこそ師匠の教えを当時の若い人に伝えられなかったことが悔しい
だからこそ今の若いシェフ達に伝えたい。
仕事はいくら厳しくとも良い。ただ自分達がされて嫌だったことや
無駄だったこと特に暴力やいじめは決して部下やスタッフに押し付けてはならない
余談だが・・・
師匠の元を離れ一から修行をやり直した時
当然一番下っ端で調理場に入る
まだまだ暴力もあった
自分は暴力に立ち向かうためボクシングジムに通い始めた
素質も根性もなかったのでプロボクサーにはなれなかったが
ボクシングが好きで9年間通いプロ選手たちと練習させてもらい
同じ指導を受け結果それなりに強くなった
強くなると理不尽な暴力なんてどうでも良くなり
殴り返そうなど微塵も思わなくなる。本当不思議と。
自分からボクシングジムに通ってるなんてアピールするようなこともなく
例え喧嘩になることがあっても絶対に暴力は振るおうとも思わなかった。
それでも火の粉は降りかかる。中には胸ぐら掴んでくる輩もいる。
そっと”自分ボクシングやってますけど
やりますか?本気出してもいいですか?”
と・・・笑顔で囁くだけでそういう輩は次の日からさん付けで呼んでくれて敬語で話しかけてくれる。
ファイティングポーズさえ取る必要はない。
そんなものです現実は。
さらに余談
若き日のこと
暴力を振るう上司や先輩への
決まり文句・・・
暴力で料理が上達するなら
マイクタイソンは世界最高のシェフであり
タイソンに負けたボクサーは最高の料理人になるはずだ
その後の決め台詞は流石にここでは書けない
まぁみんな何も言わずにその場から去って行ったし
こんなことばかり言っていたから敵ばかりだった(笑)