18-1 製品設計と材料の選び方


押出成形用材料の性質

押出成形用のプラスチック材料は、製品の用途に合わせて選択する必要があります。以下に、一般的な押出成形用プラスチック材料とそれらの性質について簡単に説明します。

汎用プラスチック

  1. 塩化ビニル (PVC):

    • 耐候性があり、化学的に安定している。

    • 機械的強度があり、耐熱性も優れている。

    • 軽く、耐久性があるため、建築や電線などに使用される。

  2. ポリエチレン:

    • 軽量で、耐薬品性があり、絶縁性が高い。

    • 低密度(LDPE)は柔軟で、高密度(HDPE)は硬い特性がある。

  3. ポリプロピレン:

    • 軽量で、耐熱性があり、化学的に安定している。

    • 優れた強度と剛性を持つ。

  4. ポリスチレン:

    • 透明性があり、表面が滑らか。

    • 電気絶縁性があり、低コスト。

  5. アクリル:

    • 透明度が高く、耐候性があり、耐化学性がある。

  6. 繊維素系樹脂:

    • 天然繊維や木材繊維などを配合し、軽くて強靭な特性を持つ。

エンジニアリングプラスチック

  1. ポリアセタール:

    • 優れた機械的強度と硬度を持つ。

    • 滑りが良く、耐摩耗性がある。

  2. ポリカーボネート:

    • 高い耐熱性と透明性を兼ね備えた強靭なプラスチック。

  3. ポリアミド (ナイロン):

    • 優れた引張強度と耐摩耗性。

    • 潤滑剤を添加することで摩擦係数が低減する。

  4. A.B.S (アクリロニトリル・ブタジエン・スチレン)

    • 強度、硬度、耐衝撃性がバランスよく調和したプラスチック。

  5. FRTP (強化プラスチック):

    • フィラメントや繊維で強化され、特定の特性を強調したプラスチック。

これらの性質を考慮して、製品の要件に最適なプラスチック材料を選択することが重要です。

成形材料の選び方

耐寒性を必要とする場合

  • 軟質塩化ビニルの耐寒性向上:

    • 可塑剤の選定が重要。DOA、DOZ、DOSをDOPと併用。

    • 高重合度のPVCレジンの使用も耐寒性向上に寄与。

  • その他耐寒性の樹脂:

    • E.V.A (エチレン酢酸ビニル共重合体)

    • クロロプレンゴム、ニトリルゴム、シリコーンゴム

透明性を必要とする場合

  • 完全に透明な場合:メタアクリル樹脂 (P.M.M.A)

  • 透明製品には塩化ビニル(透明配合)、酢酸繊維素、GPポリスチレン、ポリカーボネートも使用可能。

  • ただし、酢酸繊維素とポリカーボネートは吸水性があり、予備乾燥が必要。

耐絶縁性を必要とする場合

  • ポリエチレン

  • ポリスチレン、酢酸セルローズ、ポリカーボネート、ふっ素樹脂なども選択可能。

耐薬品性(酸、アルカリおよび溶剤)を必要とする場合

  • 耐酸、耐アルカリ性:

    • ほとんどのプラスチックは濃硝酸を除いて耐える。

    • ポリアミド、酢酸繊維素、ポリアセタールは酸に弱い。

  • 耐溶剤性:

    • ポリエチレン、ポリプロピレンはほとんどすべての溶剤に耐える。

    • 耐溶剤性は樹脂ごとに異なるため、使用する溶剤に対する性質を確認してから選択。

耐衝撃性を必要とする場合

  • A.B.S、ポリカーボネート、ポリアミドなど。

  • ポリマーアロイも使用可能。

柔軟性と弾性を必要とする場合

  • EVA、シリコンゴム、N.B.R (ニトリルブチルラバー)など。

  • 塩化ビニルの柔軟性向上には可塑剤の増加と合成ゴムの使用が必要。

発泡製品を必要とする場合

  • 化学発泡剤を使用して押出発泡 (ADCAなど)。

  • 揮発性液体を使用して押出機で発泡 (石油エーテルなど)。

無毒性を必要とする場合

  • ポリエチレン、ポリプロピレンなどのオレフィン系樹脂、ポリスチレン。

  • 塩化ビニルの場合は可塑剤、安定剤の選定に注意。

  • F.D.A認可のCa-Zn系の安定剤の使用が推奨。

これらの条件に合わせて適切な材料を選択することが、製品設計において重要です。

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