2-1 押出成形機とその種類
一軸スクリュー押出機
一軸スクリュー押出機は、アメリカで生まれた押出機で、シリンダ(バレル)に1本のスクリューを備えています。シンプルな構造で、ほとんどのプラスチックを成形でき、世界で最もよく使われています。一軸スクリュー押出機は、駆動装置、シリンダ(バレル)、スクリュー、加熱・冷却装置、温度制御装置などで構成されます。
ベント式とノーベント式
ベント式
シリンダ(バレル)の途中にベント孔があり、真空吸引して、成形材料(プラスチック原料)に含まれている揮発分や混じっていた空気を取り除きます。
ノーベント式
ベント孔のないタイプで、より広く使われています。
サイズ
一軸スクリュー押出機のサイズは、スクリューの外径寸法で表され、6mmφ~500mmφまで様々なサイズがあります。ただ、一般的なサイズは40mmφ、50mmφ、65mmφ、90mmφ、120mmφ、150mmφです。
二軸スクリュー押出機
二軸スクリュー押出機は、ヨーロッパで開発された押出機で、シリンダ(バレル)に2本のスクリューを備えています。一軸スクリュー押出機との主な違いは以下の2点です。
二軸スクリュー押出機には、定量供給装置(フィーダ)が装備されている。
二軸スクリュー押出機は、2本のスクリューが組み合わされているため、シリンダ(バレル)の横断面が蚕の繭形をしている。
材料樹脂の移動は、2本のスクリューが絡み合うために複雑で、スクリュー回転数は遅いですが、成形材料はより多く混練されます。
同方向回転形と異方向回転形
同方向回転形
二軸スクリューが同じ方向に回転し、成形材料を移動させます。
異方向回転形
二軸スクリューが逆方向に回転します。この場合、低温度での押出成形が可能で、硬質PVCなどの熱安定性と流動性の悪い材料の押出に適しています。PVC製パイプ、シートなどに使用されています。
コニカル型二軸スクリュー押出機
2本のスクリュー軸が斜めに交差しており、供給部(フィードゾーン)の直径は大きく、計量化部(メタリングゾーン)の直径は小さいため、軸受(ベアリング)や歯車を大型化し、機械強度を高めることができます。硬質PVC窓枠など、高精度・高品質な中形異形品の押出成形に幅広く使用されています。
特殊押出機
特殊押出機として実用化されているものには、以下の種類があります。
コ・ニーダー(ko-kneader)
コ・ニーダーは、成形材料(プラスチック原料)のペレット製造に用いられる特殊な押出機です。
スクリューは円周方向に回転し、同時に前後(スクリュー軸方向)に往復運動します。内部には固定歯(ニーディングティース)が取り付けられ、スクリューのねじ山と固定歯の間で強力な混練が行われます。シリンダ(バレル)とスクリューは段階的になっており、各部はスチームまたはオイルで加熱・冷却されます。スクリューの往復運動のため、直接カッタに接続することはできず、押出機(グラニュレータと呼ばれることもあります)に接続し、ペレット(粒状)に加工されます。
遊星ねじ押出機(planetary screw extruder)
遊星ねじ押出機は、一軸スクリューの下流に遊星ねじ部を持つ特殊な押出機です。
遊星ねじ部は、一軸スクリューと一体のねじ付主軸、遊星スクリューがかみ合いながら遊星運動をする多数の遊星スクリュー、遊星スクリューとかみ合う溝付きシリンダ(バレル)で構成されます。主軸の回転に伴い、遊星スクリューは噛み合い自転しながら成形材料を歯の側面と歯先端クリアランスで薄い層にロールアウトさせ、均一な混練を行います。この特性から、PVCなどの混練やコンパウンドペレット製造に適しています。
インスタメルト押出機(instamelt extruder)※スクリューレス押出機
インスタメルト押出機は、スクリューレス押出機の一種で、ロール式押出機を改良したものです。
シリンダ(バレル)内に偏心したロータ(回転体)があり、成形材料(プラスチック原料)はロータの回転によってシリンダとロータの間で溶融(可塑化)され、供給口から約3/4回転した位置に設けられた穴(オリフィス)から排出されます。これにより、マニホールドを経てメルトポンプから吐出されます。ダイを取り付けることで、高密度ポリエチレン(HDPE)やポリスチレン(PS)などのシート成形に適しています。