20-2 ポリエチレンの成形不良対策(後編)
ポリエチレンは押出しやすい材料の一つで、パイプ、異形品、モノフィラメント、電線被覆、フィルム、シートなど、広範な用途に使用されます。そのため、ポリエチレンの押出し条件は多岐にわたります。
ポリエチレン・ラミネート加工の不良現象と対策
ラミネート紙との接着が不完全である。
ダイから出たときの樹脂の温度が低すぎる。
出口での樹脂温度の調整が必要です。
ダイリップと冷却ロールとの距離が長すぎる。
ダイリップと冷却ロールの距離を短縮して接着時間を増やします。
コーティングが基材と接触する前に、気流によるか、冷却ロールへくっつくことによって冷却されてしまっている。
冷却前に接触することを確認するために、プロセスの流れを見直します。
基材に糊、ラッカー、油などが塗られている。
基材のクリーニングと適切な処理が必要です。
基材に含まれている水分が多すぎる(5~6%以下であればよい)。
基材の乾燥度合いを確認し、水分コントロールを行います。
基材の予熱不足。
基材の予熱を増加させることで接着性を向上させます。
寸法がいちじるしく変化する
サージング現象をおこしている。
サージングの原因を特定し、対策を講じます。
ダイの寸法が不均一である。
ダイの寸法を均一に調整します。
樹脂がダイから不均一に引張られ、樹脂の温度が変ってくる。
引き伸ばし過程の樹脂温度を調整し、均一な引き伸ばしを実現します。
ポリエチレン・モノフィラメント加工の不良現象と対策
繊維の破断がひどすぎる
樹脂の温度が低すぎる。
適切な樹脂温度を確保します。
樹脂またはスクリューの波うちが、繊度の変化をひき起こす。
スクリュー設定の見直しとスクリューの清掃が必要です。
樹脂を延伸しすぎる。
適切な延伸条件を設定して、繊度の変化を最小限に抑えます。
金型にデッドスポットがあり、部分的に樹脂が分解している。
金型の清掃と修復が必要です。
原料のM.I.が不均一である。
M.I.の均一性を確認し、原料供給を安定化させます。
延伸する際の繊維の温度(延伸温度)が低すぎる。
適切な延伸温度を設定します。
延伸度が一様でない。
均一な延伸度を確保するために設備の調整が必要です。
繊維の強度が弱い
延伸が不充分である。
延伸度を増加させて、繊維の強度を向上させます。
繊維を高温で延伸しすぎている。
適切な延伸温度を設定して、強度を最適化します。
アニーリングが不充分である。
アニーリングのプロセスを見直して、繊維の強度を向上させます。
低発泡ポリエチレンの加工における不良現象と対策
低発泡製品の表面が荒れる
ダイランドが長すぎる。
ダイランドの調整が必要です。
温度が高すぎて過発泡になっている。
適切な温度設定で発泡をコントロールします。
サイジングに完全に接触していない。
サイジングの設定を見直し、十分な接触を確保します。
セルが荒れる
シリンダ(バレル)内で発泡している。
シリンダ内での発泡を防ぐために、発泡剤の均一な混練を確認します。
発泡材が多すぎるか、または少なすぎる。
適切な発泡剤の使用量を確認します。
助剤の使用量が間違っている。
適切な助剤の使用量を設定します。