17-1 汎用プラスチックとエンジニアリングプラスチック及びエラストマー


汎用プラスチック

定義

汎用プラスチックは、一般的に広く使用されるプラスチックの総称であり、例えば、塩化ビニル、ポリエチレン、ポリスチレン、ポリプロピレンなどが含まれます。これらは単独で使われるだけでなく、改質や改良が施された共重合体やブレンドも存在します。

代表的な汎用プラスチック

  1. 塩化ビニル樹脂 (Polyvinyl Chloride Resin)

  2. ABS樹脂 (Acrylonitrile-Butadiene-Styrene Resin)

  3. 低密度ポリエチレン樹脂 (Low Density Polyethylene Resin)

  4. 中・高密度ポリエチレン樹脂 (High Density Polyethylene Resin)

  5. 直鎖状低密度ポリエチレン樹脂 (Linear Low Density Polyethylene Resin)

  6. ポリスチレン樹脂 (Polystyrene Resin)

  7. ポリプロピレン樹脂 (Polypropylene Resin)

  8. AS樹脂 (Acrylonitrile Styrene Resin)

  9. EVA樹脂 (Ethylene-Vinyl Acetate Copolymer Resin)

  10. 酢酸繊維系樹脂 (Cellulose Acetate Resin)

エンジニアリングプラスチック

定義

エンジニアリングプラスチックは、主に工業用途や構造素材として使用されるプラスチックの総称です。これは汎用プラスチックとは異なり、高い性能と特定の技術的要件を満たすために設計されています。

代表的なエンジニアリングプラスチック

  1. AAS樹脂 (Acryle-Acrylonitrile Styrene Resin)

  2. ACS樹脂 (Acrylonitrile-Chlorinated Polyethylene-Styrene Co-Polymer)

  3. エチレンビニールアルコール共重合樹脂 (Ethylene Vinyl-alcohol Copolymer)

  4. フッ素樹脂 (Fluoroplastics)

  5. メタアクリル樹脂 (Methacrylic Resin)

  6. ポリアセテート樹脂 (Polyacetal Resin)

  7. ポリアミド樹脂 (6, 66, 11, 12) (Polyamide Resin)

  8. PET樹脂 (Polyethylene Terephthalate Resin)

  9. ポリカーボネート樹脂 (Polycarbonate Resin)

  10. ポリサルホン樹脂 (Polysulfone Resin)

  11. メチルペンテンポリマー (Methyl Pentene Polymer)

  12. ポリアリレート樹脂 (Polyarylate Resin)

  13. PBT樹脂 (Poly Butylene Terephthalate Resin)

  14. PPS樹脂 (Poly Phenylene Sulfide Resin)

  15. 変性PPO樹脂 (Poly Phenylene Oxide Resin)

  16. 変性PPE樹脂 (Poly Phenylene Ether Resin)

  17. PEEK樹脂 (Polyether Ether Ketone Resin)

  18. アイオノマー樹脂 (Ionomer Resin) 

ポリマーブレンド(ポリマーアロイ)

一般に、ポリマーブレンドは異なるポリマー材料を混合して、新しい性能を有する材料を作るプロセスです。これにはPVC系樹脂、スチレン系樹脂、およびオレフィン系樹脂の3つの主要なカテゴリがあります。

塩化ビニル系樹脂へのブレンド

主にPVC系樹脂の耐衝撃性の改善が目的です。耐衝撃性の向上には、A.S.B樹脂系、M.B.S.(M.M.A.-ブタジエン-スチレン)樹脂系、塩素化ポリエチレン、EVAなどのエチレン系ポリマー、特殊なVC共重合体、ゴム存在下でのPVCの重合体などが使用されます。

スチレン系樹脂へのブレンド

A.B.S、M.B.S樹脂はグラフト重合法の改良により、耐熱、透明、発泡グレードなどが向上しています。特に注目されるのはA.B.S樹脂とポリカーボネートのブレンドで、例として米国MARBON CHEMICAL社のCYCOLY800が挙げられます。

オレフィン系樹脂へのブレンド

ポリプロピレンの耐衝撃性向上の試みとして、古くからブチルゴム、ポリイソブチレンなどの炭化水素ゴムが使用されてきました。最近では、エチレン/ブテン、エチレン/プロピレンブロック共重合体とのブレンドが試みられ、耐衝撃性の向上が見られています。

エラストマー

一般的に、弾性が顕著な高分子物質をエラストマーと呼びます。最近では、ゴムに代わるプラスチックとして様々な種類が開発され、押出成形にも広く使用されています。

代表的なエラストマー

  1. シェル化学の「Cariflex」 - スチレン系エラストマー

  2. 三菱化成ビニール㈱の「クサンブレーン」 - 塩化ビニル系エラストマー

  3. 住友化学工業㈱の「住友TPE」 - オレフィン系エラストマー

  4. 東洋紡績㈱の「ペルプレン」 - ポリエステル系エラストマー

  5. ダイセル・ヒュルス㈱の「ダイアミッドPAZ」 - ポリアミド系エラストマー

これらは市販されており、それぞれ異なる特性を持っています。

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