15-1 発泡押出成形装置
発泡押出の概要
発泡成形品は高発泡体から低発泡体まで幅広く存在し、成形法も化学発泡剤やガス発泡などが利用されます。高発泡製品は主にポリスチレン(PS)やポリエチレン(PE)からなり、建材や包装部材などに使用されます。一方、低発泡製品はPS、PVC、ABSなどを使用し、合成木材として土木、家具、建設部材などに利用されます。この節では、高発泡PSシートのガス注入法による成形と、低発泡異形押出法について述べます。
PS高発泡シートの押出成形
PS高発泡シートの押出成形は一段法と呼ばれ、以下の手順で行われます。
原料の用意: ペレット(粒状)原料またはビーズが押出機に供給されます。
加熱・溶融: 押出機で原料が加熱され、溶融されます。
発泡剤の注入・混練: 第一押出機でPSが溶融された後、シリンダ(バレル)中間からペシタン、ブタンなどの物理発泡剤が定量ポンプにより注入され、均一に混合されます。なお、フレオンは地球環境の問題から使用が中止されました。
第二押出機での押出: 第一押出機からのポリマーは低速・大口径の第二押出機に送られ、冷却と均一化が行われた後、ダイから押出されます。
第二押出機の機能: 第二押出機は昇圧と冷却が主な機能であり、余分な発熱を防ぐためにスクリュ山幅が狭く取られ、低速運転が行われます。
ダイと成形用プラグ: シートは膨張しやすいサーキュラダイを使用し、ダイ内の樹脂通路は急激な圧力変化を避けるように設計されます。成形用プラグはシートの冷却を行う冷却装置で、熱伝導が良いアルミニウム製であり、内部から冷却できる構造です。
ダイリップ径とプラグ外径の比率: シート成形においては、ダイロ径とプラグ外形の比率が重要です。一般的なPSPの成形では、シート幅1,900mmに対して、ダイロ径200~220mmφ、プラグ外形665~675mmφの組み合わせが一般的です。
シートの切断: プラグを通過したシートは、プラグ出口に設けられたカッタにより切り開かれて引き取られます。シートの幅により、1ヵ所を切り開いて1枚取りや2ヵ所を切って2枚取り、4ヵ所を切り開いて4枚のシートを取るなどの方法がありますが、一般的には2枚取りが多く使われます。
低発泡異形押出成形
発泡剤と押出機
低発泡異形成形品にはアゾ系の化学発泡剤が使われ、1軸または2軸の押出機が利用されます。1軸機の場合、スクリュL/Dは26~28で、圧縮比は発熱を抑えるために2~2.6程度が良いです。2軸機は異方向2軸機が一般的です。
ダイとサイジング
ダイの形状には注意が必要で、発泡樹脂は内部にガスが含まれているため、急激な流路断面積の変動があると不均一な発泡状態が生じます。したがって、ダイ内の樹脂流路は徐々にしぼり、ダイリップのランドは短く、クロームメッキは高度に研磨されている必要があります。サイジングダイも成形品の形状や引取速度によって異なりますが、概略25~300mmほどダイから離して設置され、冷却水槽で使用されます。サイジングダイの長さは250~300mmで、冷却水槽は3~8mが必要です。最近では真空を利用する方法も開発されています。