20-1 ポリエチレンの成形不良対策(前編)

ポリエチレンは押出しやすい材料の一つで、パイプ、異形品、モノフィラメント、電線被覆、フィルム、シートなど、広範な用途に使用されます。そのため、ポリエチレンの押出し条件は多岐にわたります。


ポリエチレンフィルムの不良現象と対策

製品の強度が弱い

  1. 原料の選定が悪い。

    • 適切な原料の選定が必要です。

  2. フィルムの膨張率が小さく、タテ方向に引張りすぎる(ダイの直径とスリットを小さくする)。

    • フィルムの膨張率やダイの設定を調整することで強度向上が期待できます。

  3. 樹脂の混練効果が悪い(スクリューのL/Dと圧縮比を大きくする)。

    • スクリューの設定を見直して混練効果を向上させましょう。

  4. 加工温度が低い。

    • 適切な加工温度を維持することが重要です。

 透明度が悪い

  1. コンパウンドが冷たすぎる。

    • コンパウンドの温度を適正に保つことが必要です。

  2. 加工温度が低い。

    • 適切な加工温度を設定することで透明度向上が期待できます。

  3. 樹脂の選定が間違っている。

    • 適した樹脂を選定することで透明度の向上が可能です。

  4. 冷却が不充分である。

    • 十分な冷却を確保するために冷却条件を調整します。

鉄がよる

  1. ダイと引取装置の配列が不正確である。

    • ダイと引取装置の配置を正確に調整する必要があります。

  2. インフレーションチューブの膨張形状が不均衡である。

    • インフレーションチューブの膨張形状を均衡させるために調整が必要です。

  3. プロワーによる空冷が不均一である(空冷リングの空気圧と量が一定でない)。

    • 空冷の均一性を確保するためにプロワーの調整が必要です。

  4. ピンチロールの手前でガイドロールやガイドプレートにひっかかっている。

    • ガイドロールやガイドプレートの位置を確認し、適切な調整を行います。

  5. ダイから冷却部分までの寸法の変化がひどすぎる。

    • 寸法の変化を最小限に抑えるためにダイの設定を見直します。

  6. 冷却が不十分である。

    • 十分な冷却を確保するために冷却条件を調整します。

  7. 安定板との摩擦が大きすぎる。

    • 安定板との摩擦を減少させるための対策が必要です。

  8. インフレーションの膨張率が大き過ぎる(ダイの直径を小さくする)。

    • インフレーションの膨張率を適正に調整することで改善が期待できます。

フィルムに筋や線がつく

  1. ダイリップが汚れている(ダイリップを掃除する)。

    • ダイリップの清掃を行い、汚れを取り除きます。

  2. ウエルドラインかスパイダーマークがついた(ダイの検討)。

    • ウエルドラインやスパイダーマークの原因を特定し、ダイの調整を行います。

  3. ダイの中に分解した樹脂が滞留している。

    • ダイ内の樹脂滞留を防ぐために、ダイの定期的な清掃が必要です。

  4. 安定板からピンチロールあるはガイドで引掻き傷がつく。

    • 安定板やピンチロール、ガイドの調整を行い、引っかき傷の発生を防ぎます。

  5. 押出機での混練効果が不十分である(内圧を増す)。

    • 押出機の混練効果向上のために内圧を増加させます。

フィルムの厚みが著しく変化する

  1. 加工温度が不均一である(サーモカップルの点検)。

    • サーモカップルの点検を行い、加工温度の均一性を確認します。

  2. サージング現象をおこしている。

    • サージング現象の解消を図るために適切な対策を講じます。

  3. チューブの周囲の冷却が不均一である。

    • 冷却条件を見直して、チューブ周囲の冷却を均一にします。

ポリエチレンパイプと異形品の不良現象と対策

タテ方向に線が入る

  1. ダイリップが汚れているか、ダイの中に樹脂が滞留している。

    • ダイリップの清掃を行い、樹脂の滞留を防ぎます。

  2. サイジングダイの内面にキズがある。

    • サイジングダイのキズを修復するためにメンテナンスが必要です。

  3. ウエルドラインがついている。

    • ウエルドラインの原因を特定し、ダイの調整を行います。

表面がざらついている

  1. フィッシュアイか汚染のためである。

    • フィッシュアイや汚染の防止対策を講じる必要があります。

  2. 冷却水によるアバタキズである(サイジングダイで冷却水が沸騰する)。

    • 冷却水の沸騰を防ぐためにサイジングダイの冷却状態を見直します。

  3. 気泡のためのアバタキズがついた。

    • アバタキズの原因を特定し、気泡の発生を防ぐ対策を講じます。

  4. 樹脂が冷たすぎる。

    • 適切な樹脂温度を確保するために、加工条件を調整します。

  5. 含有水分のせいである。

    • 含有水分の排除を行うために、原料の取り扱いに注意が必要です。

  6. 原料の選定不適当(M.I.に注意)。

    • 適切な原料選定を行うためにM.I.(メルト指数)に留意します。

直径またはサイズが変化する

  1. サージング現象をおこしている。

    • サージング現象の解消を図るために適切な対策を講じます。

  2. 引取速度が一様でない。

    • 引取速度の均一性を確保するために、引取装置の調整が必要です。

  3. サイジングダイの冷却が不完全。

    • サイジングダイの冷却を最適化するための対策が必要です。

ポリエチレンシートの不良現象と対策

タテ方向に線が入る

  1. ダイリップが汚れているか、ダイまたはヘッドに樹脂の滞留箇所がある。

    • ダイリップの清掃と、樹脂の滞留箇所の除去が必要です。

  2. ロールによって引掻き傷がついた。またはロール面にキズがある。

    • ロールの点検とメンテナンスが必要です。

表面がざらついている

  1. 原料が冷たすぎる。

    • 原料の適切な温度管理が必要です。

  2. 混練作用が不十分である。

    • 混練作用の向上を図るために、スクリューの設定などを調整します。

  3. 樹脂の吸水分が多すぎる。

    • 樹脂の吸水分の管理を行い、適正な範囲に保つ必要があります。

表面にキズがつく

  1. 樹脂の吸水分のせいである。

    • 樹脂の吸水分の管理が重要です。

  2. ロールに粘着している。

    • ロールの清掃と粘着防止措置が必要です。

  3. ロールが冷たすぎる。

    • ロールの温度調整が必要です。

シートが湾曲する

  1. ポリシングロールの中央部と両端に温度差がある。

    • ポリシングロールの温度均等性を確保するために調整が必要です。

  2. ポリシングロールの過冷。

    • ポリシングロールの温度を適正に調整します。

  3. ポリシングロールの第1ロールと第2ロールに温度差がありすぎる。

    • ロール間の温度均等性を確保するために調整が必要です。


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