11-1 被覆押出成形技術

被覆法の基本原理は、被覆対象物を押出機に装着されたコーティングダイ(被覆用ダイ)を通し、外部に均一に樹脂をコーティングし、冷却・固化させて製造するものです。この技術は電線被覆をはじめ、金属パイプ、繊維ひも、耐圧ホースなど、幅広い用途で利用されています。それぞれの応用においても、基本の原理は同じです。


代表的な電線被覆技術

電線被覆技術は被覆対象の電線をコーティングし、外部からの環境刺激や電気的な影響から保護します。この技術は電線の信頼性を向上させ、耐久性を確保するために重要です。

折り曲げスチールへの被覆技術の応用

この技術の応用例として、折り曲げスチールへの被覆が挙げられます。スチールに均一に樹脂を被覆することで、スチール製品の耐摩耗性や耐腐食性を向上させ、その寿命を延ばすことが可能です。

被覆押出成形技術はその原理が共通しており、異なる用途において幅広く応用され、製品の性能向上に寄与しています。

電線被覆装置の仕組み

電線被覆、またはワイヤーコーティングは、送線機から送りだされたワイヤー(単線または撚線)を、押出機のクロスヘッド内に通すことで行われます。このクロスヘッド内で、押出機から供給される溶融プラスチックがワイヤーの周囲にコーティングされ、その後、冷却されて巻き取られます。

装置の構成

  1. 送出装置: 芯線となる導線をドラムに取り付け、ダンサーローロールで導線の張力を一定に保持します。

  2. 歪取装置: 矯線機とも呼ばれ、導線の曲がりを取って真直にします。

  3. 押出機: プラスチック材料を加熱して溶融し、クロスヘッドに供給します。操作は配電盤兼作業盤から行われます。

  4. 冷却と巻取り: 金型から押し出された被覆線は冷却水槽を通り、引取装置で引き取られ、計尺装置を経て巻き取られます。

  5. 製品検査: 被覆線の外径は製品検査台で連続測定され、測定結果は電気信号に変換され、引取機の変速装置に影響を与えて外径を一定に維持します。

注意点

  • 電線の構造は千差万別で、太物と細物の2つに大別できます。太物は低速度高張力で、細物は高速度・低張力で操作されます。

  • どちらの場合も均一な速度と張力の維持が重要です。

電線被覆用ダイの内部構造と注意点

電線被覆用ダイは、ダイ本体、雄型ダイ、雌型ダイなどから成り立っています。ワイヤーは雄型ダイの後部から導入され、円錐状頂部から引き出されます。一方で、樹脂はダイ本体内部で流れを変えながら雌型ダイに入り、雄型ダイの頂部から出てくるワイヤーの外面を被覆します。雄型ダイと雌型ダイのセンタリングは一般的に雌型ダイで行われ、雄型ダイは通常固定されています。

雄型ダイは被覆されるワイヤーにピッタリと適合することが重要であり、そうでないと被覆が偏心してしまいます。特に、ワイヤーに薄くポリエチレンを被覆する場合は、通常よりも長く、かつテーパーのあるランドを持たせるようにします。

また、雄型ダイの尖端部の内面はワイヤーが通過するうちに摩耗します。この摩耗が原因で偏心が生じやすくなります。したがって、高炭素クロム鋼やタングステン鋼など、特に耐摩耗性の優れた材料を選ぶことが必要です。約100kmの通過で摩耗が生じるため、定期的な点検とメンテナンスも不可欠です。

電線の同時2層押出

電線に絶縁と保護シースを同時に2層に被覆する際には、2台の押出機が共通のヘッドを使用して同時に押出しが行われます。通常、2台の押出機はV字形またはT字形に配置され、その頂点に2層ダイが取り付けられ、ポリエチレンと塩化ビニルの2層被覆や2層の架橋ポリエチレン電線が押出されます。この手法は、電力ケーブルの内部に導電性ゴムを同時に押出成形する場合にも利用されます。

折り曲げ鉄芯への被覆異形押出技術

金属にプラスチックを被覆する異形成形品では、帯鉄または折り曲げられた鉄板に硬質PVCを被覆するものが一般的です。以下はその具体的な工程です。

  1. 準備段階:

    • 一定幅にカットされた帯鉄板またはステンレス帯板がアンコイラーにセットされます。

  2. 成形プロセス:

    • ループゲージ、脱脂槽、ロールホーミングマシン、反応型接着剤を用いた接着剤塗布槽、高周波加熱機を経て、被覆用ダイに導入されます。

    • 被覆用ダイでは、押出機No.1が硬質PVCを鉄芯に被覆し、出口近くで押出機No.2が軟質PVCをコ・エクストルージョンして所望の形状が形成されます。

  3. 圧着力の調節:

    • マンドレルは位置調節ボルトにより前後にアジャストでき、これによって鉄芯と硬質PVCとの圧着力を調節することが可能です。

  4. 製品の冷却と切断:

    • 被覆とコ・エクストルージョンされた製品は冷却水槽で冷却されながら引き取られ、最終的に定尺に切断されます。


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