【“ミスを引きずってしまうこと”についてちょっと考えてみた】
これを読んで下さっているほとんどの方が何らかの試合に出場したことがあると思います。
ではここで質問!
今までで試合に出て負けた試合を一つ思い出してみてください。
誰に負けましたか?その時どんなミスをましたか?どんな気持ちでしたか?
では次に,勝った試合を思い出してみてください。
誰に勝ちましたか?どんなショットが決まりましたか?スコアはいくつでしたか?
どうですか?試合に負けたことと勝ったこと,どちらを鮮明に,たくさん思い出すことができましたか?
たぶん,負けた試合はすぐに思い出すことができるけど,勝った試合は負けた試合に比べて詳しく覚えていない方が多いんじゃないかなと思います。
それには人間の脳の仕組みが関係していると言われています。
人類の進化の過程で,いつ降りかかってくるか分からない様々な危険から身を守るために,私たちの脳内には,ネガティブなことに対して敏感に反応する習慣ができています。
昔ほど命の危険が無くなった現在でもその習慣は残っています。
このことを心理学では「ネガティブ・バイアス」と言います。
バイアスとは偏っているという意味です。
つまり,人間の脳はポジティブなことよりも,
ネガティブなことに偏って反応することが多いということです。
例えば,仕事で会議資料を作って発表した時に大事な商品名を間違えてしまったとします。
その晩,寝る前に間違ってしまったことをくよくよと思い出してしまった・・・
それに似たような経験,ありませんか?
そのプレゼン自体がとても有益で,仕事としては成功だったとしても,たった一つの間違いの方を人間はよく覚えているものなんです。
では,バウンドテニスの試合ではどうでしょうか?
勝負のかかった大事な試合中,5ゲーム目にリターンミスをしてしまいました。
そのたった一つのミスを忘れられず,次のポイントもリターンが返らない・・・
焦りを感じ体が固くなり,他のプレーにも影響が出て,結局その試合に負けてしまった。・・・私はめちゃくちゃあります!
1ゲーム目も3ゲーム目もいいリターンが返っていたのにもかかわらず,
ネガティブなことばかりに意識をとらわれてしまうのが人間の脳の特性なんです。
では,どうすれば「ネガティブ・バイアス」を変化させることができるんでしょうか?
脳は,いろいろなことを学習しながら変化していく器官だと分かっています。
もし今「ネガティブ」に偏っていても,
自分で意識的に「ポジティブ」なことに注目して,よいことを取り込む習慣を作ることで,脳を新しく作り変えることができる
と言われています。
ここで大事なことは,「習慣にする」ということです。
普段の練習の時にミスしたら,ミスをしてダメだったことに注目するのではなく,「次はこうすれば入る,今のミスがあったから修正できる」というようにポジティブに捉え直すようにする。
例えば,私はいつも練習の時の試合では,0-3になった時は,そこまでのミスよりも,そこから挽回してゲームを取るにはどうするかを考えるようにしています。
普段の生活でも同じで,ダメだったことや嫌なことを思い出し始めたら,「今ネガティブに偏ってるぞ」と分かるので,「このミスがあったからよかった」ことをほんの小さなことでもいいので考えるようにする。
自分だけが,自分のミスに焦点を当ててくよくよ悩んでいるだけで,他の人は意外に気にしてないんだって思えば楽になりませんか?
いざ試合中だけミスに注目しないように頑張るのは難しいです。
普段から例えミスしてしまったとしても引きずらないような習慣を作っておくと,試合にも反映されますし,自分が生きやすくなるかもしれません。
今日のお話は,大学院の研究で読んだ心理学の論文や書籍にあったものです。
出典:リック・ハンソン(著)「幸せになれる脳をつくる」
自分も頭では分かっているけど本当の試合でまだ試していません。
私も普段からちょっとずつ考え方の癖を変えていきたいと思ってます!
みなさんは試合で負けそうになった時,どんなこと考えてますか?
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