【サーブ病(イップス)についてマジメに考えてみた】
サーブ病・・・。(正しくは“サービス”ですが,あえて“サーブ”病といいますね)バウンドテニス界では,悩んでいる方が少なからず周りにいるのではないでしょうか。
一回かかると,人によっては克服するのが難しく,バウンドテニスから遠ざかってしまったり,試合に出るのが楽しくなくなったりしてしまいます。
私もサーブ病になりそうになったことがあります。私の場合は,トスを上げる感覚がわからなくなり,「あれ?トスってどうやって上げとったんやったっけ?」ってなりました。その時,左手がモヤモヤとした感覚になり,そのせいで全体的に変な感じになり,サーブが思ったところに行かなくなりました。
その時はサーブを打つのはやめて,しばらく間を置きました。再び打った時には,そんなことがあったのをすっかり忘れていて,普通に打った後で,そういえばそんなこともあったなーと思い出したのでした。忘れっぽい性格がこの場合はよかったのかもしれないです。。。
もし,このまま私が“変な感覚”を覚えていて,練習し続けていたら,サーブ病にまで発展していたかもしれません。このように,サーブ病は誰にでもなる可能性はあると思います。
そんな経験もあって,私が心理学を勉強した中で分かったことは,サーブ病になった人は,きっかけはその時の体調や心の状態など様々であること,また,仮にメンタルだったとしても,メンタルが“弱い”わけではないということです。だから,自分がメンタル“弱い”人だって思いこまないようにしてください。
ここでは,サーブ病で悩んでいる人に少しでも役立つ情報を,心理学や書籍などで学んだことからお伝えできないかなと思っています。
【サーブ病とは】
まず,サーブ病とはどういう状態を言うのかを私なりに定義してみると,
「競技経験が長くて技術レベルも初心者以上の選手が、サーブを行う時にだけ手がこわばって、自分の意思とは全く違った方向にボールを打ってしまい,狙った枠内に入らない。また,その現象が連続して起こること。」ではないでしょうか。
具体的には
・サーブを打とうとすると打ち方が分からなくなる。
・自分の身体が思うように動いてくれない。
・狙ったコースとは全く違うところにボールが飛んで行く。
・トスの上げ方が分からなくなる。など
また,症状の程度は
・練習でも全く入らない
・試合になると入らなくなる
・大事なポイントでミスしてしまう
など,人によって様々です。
上記の症状と似たような症状を表すものに“イップス”があります。ご存じの方も多いと思いますが,イチローやタイガー・ウッズもイップスに悩んだことがあるそうです。
では,イップスの定義は,
「無意識的な筋活動の乱れで,ゴルファーにみられ、パッティング中に腕が痙攣するのが特徴、処置が非常に困難である。」(オックスフォードスポーツ医科学辞典より)
とされています。
もともとゴルフのパターで起こる症状で、短いパットを打つ時にプレイヤーを襲う異常な筋肉の緊張、痙攣や震えの症状、あるいはその状態によって生じるパットのミスを意味していたそうです。最近では,他のスポーツにおいても似た現象が見られ,イップスという用語が適用されるようになりました。
他にも,
・意に反する動きが定着してしまった状態
・何も考えずにできていた動作ができなくなってしまうこと
だと言われています。
サーブ病と似ていませんか?
【イップスになる原因】
心理学の分野ではイップスを研究している人はとても少ないです。
その研究の中で推測されている,イップスになる原因は大きく2つに分けられます。
イップスになる原因①
◎脳の問題説◎
イップスと似た症状で,“局所性ジストニア”という病気があります。よくあるのが“書痙(しょけい)”という症状で,書く行為の間,手や腕の筋肉が異常に収縮し,動かすことができなくなることを指します。ペンや鉛筆が手から離れるとすぐ手はリラックスして動かせるようになるそうです。
ジストニアは,同一動作を繰り返し過ぎた結果,脳の構造が変化し,動作の誤作動が起こるため発症するとされています。だから練習のしすぎは逆効果だともいわれています。
サーブ病に当てはめると,サービスを打つ動作を何度も繰り返すことで,脳の腕の筋肉を動かすところが,何かのきっかけで他の体の部位を動かすところと一緒に動いてしまう(誤作動)ということが考えられます。
そのため,自分の意図と違う動きになって,本来の打ち方ができなくなってしまうことになります。
イップスになる原因②
◎メンタル説◎
緊張する場面では,意識していなくても心拍数が上がり,いつもと体の状態は違います。そこで意外なところにボールが飛んで行った時,「あれ?なんであんなところにボールが行ったんだろう?」と,自分の意図と結果が違いすぎて,ショックや違和感が強く残ります。その違和感にとらわれるほど,おかしい感じが強くなって,ますます注意が違和感に向いてしまいます。
そして,また繰り返すのではという不安や恐怖心が大きくなります。
また,指導者の強制や,自分自身への高い理想から,「こういうフォームで打たなければ」「このコースに決めなければ」という固定観念が強くなりすぎて,緊張してしまって筋肉が固くなることもあります。
以上の,心理学などで言われている原因にプラスして,バウンドテニスの技術的な面での原因を,私なりに考えてみました。
①グリップの持ち方
コンチネンタルグリップ(薄いグリップ)で持っている場合,ボールがラケット面に当たった時に,厚いグリップよりも面がぶれやすい。そのため,緊張などでタイミングがずれたり,力が入ったりすると,予想通りのところに飛ばないことがある。
②トスの位置
トスを上げる位置が一定していない場合、毎回打点とラケット面の向きが変わるので,狙ったコースに飛びにくい。試合になると,緊張して上手くトスが上がらないこともあるかもしれません。
さて、自分はサーブ病かもしれないと思う方は,今まで読んだ中で当てはまりそうなことはありますか?自分のサーブ病の原因は何か,なんとなくつかめましたか?
大事なのは,自分がなぜサーブ病になっているのかを理解することだと思います。そこから改善策を考えていきましょう。
次回はサーブ病対策をいくつか挙げてみたいと思います。
<参考図書>
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