【サーブ病(イップス)についてマジメに考えてみた。その2】
前回【サーブ病(イップス)についてマジメに考えてみた。】で,サーブ病(イップス)の原因について考えてみました。
今回は,それを踏まえてどのように改善していったらいいのかを考えてみたいと思います。
【技術的な面で改善できること】
まず,バウンドテニスの打ち方の面で改善できる方法を考えてみましょう。先ほど出てきたジストニアの場合は,ある特定の動きにだけ症状が出ますが,違う動きをすれば症状は出なくなるそうです。
そのため,普段のサーブとは違うサーブを打てるようになっておくと,いざサーブ病が出た時の安心材料にも,さらに攻撃材料にもなり一石二鳥です。
実際すごいバックサーブを打つ方もいますよね。他にはスライスサーブやカットサーブ,スピンサーブも練習したらよいと思います。握る強さを変えて打つ練習をするのもいいかもしれません。
また,使う道具を変えると症状がでないことが分かっているので,グリップの持ち方を変えたり,持つ長さを変えてみてもよいかもしれません。
きっと,ほうきで打ってみたらいつものスイングができるはずです!
なので,コンチネンタルやウエスタンで持ったり,フレームに近いところを持ってみたり,いつもと違う感じになるよういろいろ試してみて下さい。
あとは,自分がどこにトスを上げているかを確認してください。
一度,打たずにボールを床に落としてみて,自分の打点とそのトスの位置が合っているかどうかを確かめます。自分の打ちたい打点とトスの位置がずれていれば,イメージと現実がずれていることになるので,そのせいで打てなくなっている可能性もあります。
いい位置にトスが上げられるように何度か練習してみて下さい。
【メンタル面で改善できること】
では,技術的には何も問題がないよーという方。
どうしてサーブ病になったのでしょう?
自分では分かっているつもりでも,もっと深く考えてみると気付くことがあるかもしれません。
まず,サーブ病になったきっかけは何ですか?思い出してみて下さい。
〇どんなことがきっかけで起こったか?(はじめてなった時)
具体的な場所・誰がいて・どんなシチュエーションで・どのようになったか。
〇その時の気持ちは?
どう感じた?
〇なぜそうなったと思いますか?
考えてみましたか?きっかけやその時どう思ったか,なぜそうなったのか,人それぞれ違うと思います。なぜそうなったか分からないという方も多いかもしれません。
次に,現在,サーブを打つ時には
〇どんな気持ちになりますか?
〇どんなことが頭に浮かびますか?サーブを打つことについてどう考えますか?
架空の☆さんの場合の事例を考えてみました。
【☆さんの例】
〇きっかけは ➡交流試合の時に,上手な人とペアになり,サーブについて指導してくれた。試合中,その人に迷惑を掛けられないという思いと,言われた通りに打たなければならないというプレッシャーから,どうやって打っていいのか分からなくなった。
〇気持ち ➡焦っていた。
〇なぜそうなったか ➡プレッシャーを感じて緊張してしまったのではないか。
<現在は>
〇どう考えるか ➡打ちたくない。入れなければと自分にプレッシャーをかけてしまう。ペアに迷惑を掛ける。
〇気持ち ➡また入らないのではという不安。
・・・これ,すごく共感できます!特にマジメな人には起こりがちかもしれません。
では,サーブを打つ時にこのように考えたり感じたりしている☆さんに,あなたならどうやって声を掛けてあげますか?
例えば,
“その人に迷惑を掛けられない”
➡「上手な人だから自分がミスしても助けてもらえばいいよ」
“言われた通りに打たなければならない”
➡「その指導法が必ずしも正しいとは限らない。すぐにできたら苦労はしない。別にできないやつだって思われてもいいやん!」
そう考えると,気持ち(焦り)はどう変化すると思いますか?
そしたら結果(なぜそうなったか)はどう変化していたでしょう?
そして,現在,
“打ちたくない。入れなければと自分にプレッシャーをかけてしまう。”
➡「ダブルスだったら,サーブミスしても4点失点するだけ。他でカバーできればいい。他の人だって,リターンとかボレーで4点はミスしてるよねー。」
そうすると,気持ち(不安)はどう変化するでしょう?
この,現在不安を掻き立てている考え“入れなければ”や“迷惑がかかる”について,第3者の視点に立って客観的に見てみると,「なーんだ,そんなに難しく考えることなかったな」って思えることがあります。
違う考えもあるんだと分かることで,サーブを打つ時の気持ちも変わるかもしれません。
また,ダブルスの場合は,ペアが声掛けをしてあげるともっと効果的です。
実際なっている人は,本当にしんどいと思います。こんなので変わるか!って思うかもしれません。
今までのことは,サーブを打つ時に限らず,日ごろの自分の考え方のクセがとても影響します。例えば,“人に迷惑を掛けられない”などは,試合に限らず,小さい時から親にそう言われて育った固定観念であることが多いです。だからこそ、サーブ病は簡単に治すことが難しいと思います。
でも,自分がなぜサーブ病になったのか,自分の考え方のクセはどんなのかを知ることが第1歩だと思います。そこから少しずつ,自分が楽になる考え方ができるようになればいいのかなーと思います。
だから,サーブ病になった人は,メンタルが弱いのではないのです。クセが強いだけです。そのクセがどんなのか,一度自分の心や頭に聞いてみてください。
個人的な考えとしては,まずは,技術的な面を確認し,いろいろなサーブを打てるようにするのがいいのかなと思います。メンタル面でも自分のことについて考えてみたい方や,どうしても以前のようなサーブが打ちたいという方は,きっかけや現在の気持ちについての,違う見方を考えるのもいいと思います。
サーブ病については必ず治るとは言えませんが,違う見方や自分の気持ちについてどうしても分からないという場合は,一緒に考えるお手伝いはできると思うので,またお声がけしてみてください。
今回は,いろいろなサーブの打ち方を動画でまとめました。詳しい打ち方についてはまた今度説明したいと思います。
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