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育てるキーキャップ

コンセプト

3Dプリンタで印刷したステム受けと、レザークラフトで作った上部を組み合わせたキーキャップ。使い込んで色が変化する革を使えば、タイピングしていくごとに”育って”いきます!

思いついた経緯

自作キーボード以外の趣味として、最近はレザークラフトも楽しんでいました。キーケースにはじまり、財布やクラッチバックなどもろもろ作っていくなかで、使い込むほどに味が出る(色が変化していく)ヌメ革も扱えるようになってきたので、これをキーキャップにしたらいいのでは!?と思いつきました。

育つのか否か検証

私自身、試作品を使い始めているところなので育ったものはまだお見せできません。ただ、わざと窓際に一週間ほど置いて日焼けさせる実験はしました。確かに飴色に変化しました!
ただ、タイピングだけですといつも指先で全面を触るわけではないので、こうなるのは難しいと思います。そういった意味では「フラット」や「ヘラジカ」の方が均一な色変化になりやすいかと思います。

この窓際で日焼けさせる方法はレザークラフト制作やレザー製品購入時によく行われるようです。日焼けさせることで表面に革内部の油が浮き出しコーティングの役割もされるのだとか。
今回作ったものはあえて日焼けさせていません。色変化は未使用品からの変化が一番大きいです。先に日焼けさせてしまうと、醍醐味である色変化を感じづらくなってしまうからです。ただ、表面のコーティングとしてミンクオイルを薄く塗っています。これによってある程度の防水効果も得られます。

おおまかな制作手順

おおまかな制作手順は以下の通りです。
1.レザーのカット
2.(ボックスは立体成型)
3.端処理(コバ磨き)
4.ステム受け接着
5.表面コーティング

特に力を入れているのが端処理です。
以降ではベースとなる「フラット」で各制作手順を紹介し、「ヘラジカ」「ボックス」ではそれぞれの工夫ポイントを紹介していきます。

1.フラット

まずはレザーをサイズどおりにカットします。

次はヘリ落としといって断面の角を削る作業です。レザークラフトで良く行われる工程ですが、この一手間を加えるだけで洗練された感じが一気に出ます!
(下のツイート写真では自分用にアルファベットを刻印しています。

ここから端処理(コバ磨き)に入ります。いろんな種類の紙やすりや帆布で形や表面を整えます。ここが甘いとざらざらした感じになってしまうので、時間をかなりかけています。

ある程度、表面が整ったらワックスがけをします。ワックスをつけると断面の防水、保護になると共に良い光沢が生まれます。また熱が加わることにより渋い色へと変わります。ワックスを塗った瞬間に光沢がさぁっとできる瞬間は楽しいです。

ワックスがけの道具としてホットビューラーを魔改造してコテとしています。

ワックスがけを行ったあと、さらに紙やすりや帆布で磨きます。ワックスの量を比較的多めに塗っているので、余分なワックスを除去し表面を整えます。

この工程、このレザーキーキャップに限らず、レザークラフトではいろいろな手法があります。水だけの人、端処理剤を使う人、コバ処理ワックスを使う人(私)、蜜蝋ワックスを使く人。それぞれの磨き方にそれぞれの個性があり、その製品の味になっています。

商品として作成していく中でも継続して試行錯誤しています。いい感じに改良する意図で行っているので、商品紹介ページと色味が変化する場合もあります。ご承知おきください。

上部のレザー部分は完成したので、ステム受けを3Dプリンタで印刷します。このステム受けもいい感じになるまで何度もトライしました。。。

ステム受けを3Dプリンタで印刷

印刷したものも二次硬化前にしっかりと乾燥させます。ステム受けの凹み部分にレジン残りがあるとスイッチが奥まで入らないのでティッシュでこよりを作って刺して乾燥させます。

しっかり乾燥させる

接着剤でレザーと合体させるのですが、ステム受け部分が中心となるように治具も作成しました。これのおかげでバラツキが低減します。

完成です!

角も丸みを帯びていて優しい印象
シンプルです。

2.ヘラジカ

(※イラスト刻印以外はフラットと同様に制作しています。)

アイコンにもしているイラストですが、東京上野の国立博物館で見たヘラジカの大きさを忘れられず描いたものになります。車よりも大きな鹿。こんな生物がいるのか!!!と衝撃を受けました。

レザーに上手く刻印できないかなと考え、これも3Dプリンタで印刷にトライ。強度もしっかりあり、木槌で叩いても壊れることなくかわいい仕上がりになりました。

端処理やステム受けの作成はフラットと同様です。シンプルなフラットもいいですが、かわいいヘラジカイラスト版も良いよね、うん。

完成です!

かわいい
とてもかわいい

3.ボックス

(※端処理や表面コーティングなどはフラット、ヘラジカと同様です。)

せっかく作るのですから、キーキャップらしく立体形状も作ります。
ここでも3Dプリンタが大活躍。

良い感じに型を印刷できたので、立体にしていきます。水を含ませて濡らして柔らかくした革を凸凹型で押さえつけます。

半日~一日、完全に乾かします。しっかりと形ができて満足です。

余分な羽の部分をカットし、端処理をします。

ステム受けもボックス用にに小さいのを印刷し、

接着します。試作品ではUVレジンを入れて硬化させる方法を試したのですが、表面までレジンが染み出してしまい断念。レジンはしっかり硬化されていれば良いのですが、しっかり固まっていない場合はアレルギーの原因となります。安全面も考えて固定は接着剤に変更しています。

完成です!

かわいい
サイズもぴったり

最後に

商品化は初の試みです。欲しい人があらわれてくれるのだろうか。
この記事に書いた通り一つ作るのにけっこう時間を要するため大量には作れないです。4月頭の販売にむけて、それぞれ10個程度は作れたらなぁと思っています。

追記

Keyboard Builders' Digestさんにも記事にしてもらいました!


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