オンライン授業の「良さ」の発見
勤務校のオンライン授業が始まってから4週目に突入。毎回10分の動画を3本ずつアップしていますが、ようやく感覚が掴めてきました。しかし、限られた時間で要点をコンパクトにまとめて解説するのはなかなか難しいもので、まるでゲームの最速クリア(RTA)をやっている気分になります。
今年度の担当は中3公民ですが、昨年度の歴史の積み残しがあるため、主権国家体制の成立から国民国家の誕生を経て日清・日露戦争に繋げる、という若干アクロバティックな授業構成で進めています。戦争史・国際政治史・明治史のいいとこ取りのような感じです。
生徒には週1回アンケートに回答してもらい、その中で授業内容に関する質問などを挙げてもらっています。アンケートの回答を見る限りでは生徒の反応も悪くないですし、良質な質問も多数寄せられていて興味深いのですが、(いくら動画を何度も見返せるとはいえ)RTAのような授業では当然無理も生じるわけです。中には以下のようなコメントも寄せられるので、つくづく難しいなぁと感じます。
先生の授業はペースも合っているのですが、何だか情勢の流れが上手くつかめません。ノートも取って努力はしていますが、ただの文字列に見えてしまいます。こういう時はどこから入り直せば良いでしょうか。個人的に悩んでいます。
一方で、今までの対面授業でこうした声を拾えていたか、きちんと向き合えていたか、と言われると複雑な気持ちになります。今までの対面授業でもリアクションペーパーを書いてもらうことはありましたが、「理解が難しいです」というコメントに出くわすことはほとんどありませんでした。オンラインは「情報未満のものがやり取りされない」という決定的な弱点がありますが、こうした声を拾えるメリットもあることもまた事実でしょう。逆説的ではありますが、オンラインの方がより双方向的に授業を展開できる面もあるのではないかと思わされます。
というようなことを考えていた矢先、別の生徒から次のようなコメントも寄せられました。
今後、オンライン授業と対面授業はどのように使い分けられると思いますか。それともコロナがある程度収束したら、オンライン授業は忘れ去られていくんでしょうか。私はオンライン授業の良さも発見された以上、このままコロナの収束と共にオンライン授業もなくなるのはもったいないと思います。
生徒がこういう感想を持つのは、極めて自然なことだと思います。6月に入って各地で分散登校が始まり、自分の勤務校もそろそろ分散登校になりそうな気配ですが、単純に全部元通りにするのではなく、オンライン授業の良さを活かしながら学びの再設計をしていければと思う次第です。(ちなみに、生徒の中でも「できるだけ早く対面に戻りたい」と「このままオンラインでも良い」は意見が割れている印象です)
積ん読になっている『ブレンディッド・ラーニングの衝撃』を今こそ読むべきなのかもしれません…