クソみたいな地獄で生きる私と星野源

ネットフリックスで配信されている若林と星野源のトーク番組、LIGHT HOUSEを配信開始日に視聴し、大変感銘を受けたと同時に、無番組内でのトークをもとに作った新曲5曲が配信されることを待ちに待ち、ついに今日配信されました!!

当然、番組を見た時にも、これまでに抱いたことのない感情を持った。そして、曲にも同様の感情を抱いた。

そして、配信された曲を聴いてやっぱり色褪せていなかった。

違う惑星に住んでいるはずの星野源と若林の話は、まだ大学生の私には共感できるところとできないところはあった。けれど、人が悩み、もがき、時に変化していく様子は見ていてとても元気と勇気がもらえる。

そして、星野源の曲にはそれが濃縮されていた。

もともと、星野源は作品の解像度が高すぎる。

例えば、ドラえもんの主題歌では、

少しだけ不思議な普段のお話
指先と机の間に次元
落ちこぼれた君もできすぎあの子も
同じ雲の下で暮らした次元 そこに四次元

ドラえもん 星野源

漫画という世界を「指先と机の間に次元」と表現し、一方で落ちこぼれたのび太からできすぎるで出来杉くんまで、実は性格が全く違うキャラクラクターが生活するドラえもんの世界を「同じ雲の下で暮らした次元 そこに四次元」と歌う。

1番の出だしにこの歌詞を持ってくるなんて星野源のドラえもんを見ている時の頭の中を見てみたい。

そして何より、私が好きなのが「SPY FAMILY」の喜劇です。

なんとなく作品を読んでいると、SPY FAMILYはほのぼの家族の日常に見えてしまうことすらある。
しかし、実際は冷戦時代に、西国のスパイの夫と、東国の殺し屋の妻が偽装結婚し、その偽装のために子どもを持つが、その子どもは過去に虐待らしき経験があるだけではなく、人の心が読めるため、偽装結婚であることも気づいている。

というかなり暗い話なのである。

しかし、星野源はまたもやそこを見抜いている

争い合って 壊れかかった このお茶目な星で
生まれ落ちた日から よそ者

喜劇 星野源

この解像度、語彙を失ってしまいます。ロイドは幼い頃家族を戦争で失い、そこから政府の人間として育てらあれ、ヨルも弟と二人暮らしをしながら幼い頃から殺しとして働き、アーニャは生まれた時から施設で人体実験らしきことをされている。
全員、生まれ落ちた日からよそ者なのだ。

普通のフリをして 気付いた 誰が決めつけた
私の光はただ此処にあった

喜劇 星野源

そして、偽りの家族を演じていく中で、三人とも偽りの家族が、本当の居場所になっていくことに気づいていく、そういう話(だと思っている)。

話が横にそれてしまったが、とにかく、星野源、いや親しみと尊敬の念を込めて呼ぼう。源さんは、本当に作品の解像度が高い。

それは今回にも表れている。
例えば、「灯台」
「お前ら全員死ねばいい」や、「君は若くて良いねなんて 知らねえよ カスが」など、普段は源さんが歌詞にしないような直接的できつめのフレーズには胸キュンさせられるが、此処は関係なく、

最後の、「灯台 誰も救おうと思うな ただ光ってろ」のフレーズ。
これは本当にこの番組の趣旨を表しているような気がした。
確かに、若林のモヤの一つは、少しだけ?もしかしたらかなり解消されたのかもしれない。しかし、ほとんどの悩みや葛藤は、解消されておらず、若林のモヤも若林のモヤが少し晴れただけで、少しきついことをいえば、それは視聴者には関係ない。

だけど、そこがいい。お互いが共感できたり、寄り添いながら悩みやモヤモヤを話し、通じ合う。そして、それが番組を見ている視聴者にも伝染する。だからこその、このフレーズなのだと思う。ただ、2人が通じ合う、光っているだけ。でも、そこがどこか温かみを感じる。

なにより、私が一番好きなのは「仲間はずれ」という曲だ。

周りと馴染めないという話が軸だった回の曲。本当に素晴らしいので、詳しくは番組を見てほしい。

この曲の歌詞といい、音質、曲調、全て大好きで、私のストライクゾーンにドンピシャにズドーンと決まったのだが、特に好きなのはここ
「仲間はずれありがとう」
という歌詞。

このフレーズを聞いて、私は救われたというのは少し大袈裟かもしれないが、孤独を感じる自分が少しだけ許せる気がした。

みんなと同じじゃなくてもいい、苦しいかもしれないけれど、孤独だからこそできるものがある。

なんなら、創作活動やフィクションの世界に入ることは孤独だ。映画も漫画も小説も1人でないと見れない。

もしかしたら、強がりかもしれないが、それでも思うようにしよう。「仲間はずれありがとう」と。

そして、しかたなく踊る。

私はいま大学四年生ですでに就活を終えたのだが、就活中さんざん聞かれたのは、将来のビジョンだ。どのような自分になりたいですか?と、ねーよそんなのと、将来の夢も、将来なりたい自分も、そんなの自分が社会に受け入れてもらえるために用意した建前に過ぎない。だって私にはそんなのないんだから。なんなら、生きる意味だってないと思っている。生まれたから、あるいは、死ぬのが生きることよりもまだ怖いと思えるから、生きているだけだと、思いずっと生きてきた。

だからこそ、

仕方なくさ
今もまだ生きているんだ
素晴らしいさ
このクソの中で
しょうがなくさ 息をしては踊るんだ
照れながらさ 笑い合うダンスを

しかたなく踊る 星野源


このフレーズは心に来た。
そして何より、くせのうた、地獄でなぜ悪い、化物、喜劇などなど、辛いことが重なる、暗くクソみたいな地獄で生きている星野源が私は大好きだ。
(源さんがずっと地獄で生きていれば良いというわけではないです。ただ、それが私にとって希望で共感できる気がするというだけで、源さんがクソのない素晴らしく美しい世界で生きられるようになるなら、それはそれで嬉しいし、そのような世界を教えてほしい)

星野源はガッキーと結婚できたから勝ち組だみたいなニュアンスの文章をよく見る。しかし、私はこの手の話は大嫌いだ。

ガッキーと結婚してなくても、星野源は素晴らしい人間だと思うし、ガッキーと結婚したからといって、源さんには源さんにしか理解し得ない悩みが付き纏い続ける(と思う)。なにより、1万歩譲って、ガッキーと結婚できた星野源が勝ち組なら、星野源と結婚できたガッキーも勝ち組であろう。

話がまた横道に逸れてしまった。

だけど、そんなクソみたいな世界で
しょうがなく笑いながら踊るんだ。と源さんはいう。

僕もそうだ。生きる意味もないし、将来の夢もない。それこそ、

無理やり既に持たされた 夢を入れる箱を 
急いで入れなくちゃ 何にも 何にもない

灯台 星野源

なのだ。
だからこそ、今楽しい、面白いと思えるものを一生懸命探している。
しかなく、笑いながら踊る。


長くなりましたが、これが星野源さんの新作EP LIGHT HOUSEを見て、聴いて思った感想の一部です。
もしかしたら、気に入らない部分もあると思いますが、ご容赦ください。



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