個人的シリーズ最高傑作、池松壮亮が強すぎる『ベイビーわるきゅーれ ナイスデイズ』ネタバレ感想
ベイビーワルキューレ3観てきました!!
今、盛り上がりがすごいですね。ドラマが始まって、映画では、敵役がまさかの池松壮亮!
ネタバレなし感想で言えば、個人的にはシリーズ最高傑作だなという感じです。
今回はベイビーワルキューレのいいところが全部詰め込まれている感じがするので、ベイビーワルキューレの緩急のある感じだったり、アクションが好きだったりする人は観に行って損はないと思います。
あと、ちさととまひろの掛け合いが苦手な人ほど今回は見たほうがいいかもしれない(僕は大好きです)
以上、ネタバレなし感想
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以下、ネタバレあり感想
1.池松壮亮やっぱり強すぎる
個人的に、池松壮亮はドラマ「MOZU」のアイスピックを持った超怖い殺し屋のイメージが強かったため、予告編からとてもワクワクしてました。
そして、予想通り、池松壮亮が強すぎました。
強すぎるというか、もはや最後の最後まで、ちさとまひろペアが池松壮亮を倒せるビジョンが見えなさすぎるくらい強すぎました。
そして、池松壮亮こと冬村かえでのキャラ設定がまたいいんです。
単なる快楽殺人鬼ではない
明言されているわけではありませんが、冬村かえでは快楽で人を殺している人間ではないと思われます。冬村はとにかく真面目。殺した人の記録をちゃんとつけて、反省改善を繰り返しています。そして、最初のうちこそ人を殺すことへの恐怖が垣間見える場面や、あまり人を痛めつけて殺したくはない様子が見て取れます。
また、まひろと同様にコミュニケーションが得意ではないようです。
冬村は、幼い頃から人と接する機会が少なかったようで、だからこそ農協の殺し屋グループでのシーンは言葉選びで人を怒らせたり、対等に人と信頼関係を結ぶということがいまいちよくわかっていなかったりするようで、好きで殺し屋になったというよりは、殺し屋になるしかなかった的な人間に見えてきて、そこが上手い見せ方で、深掘りしがいのあるキャラだなと思います。
というか、ちさとが特殊なだけで、まひろ、入鹿、冬村など、殺し屋は基本人とのコミュニケーションが不得意な人がなるものなのか?
2.ブロマンスならぬシスロマンス?女性同士の強い絆
これに関しては、このシリーズを通してずっと描かれてはいるのですが、今作でよりあからさまに描かれている気もします。
ホモソーシャルという言葉をご存知でしょうか?
いわゆる男同士の絆と言われるもので、男性優位社会を強固に保つた目の要素であるとされています。
このホモソーシャルな関係の中では、女性蔑視が生まれるため、女性は男性間で交換可能なものとして扱われ、男性と対等な関係を築くのが難しいとされ、さらには男同士の友情が最も重要視されるため、男女の友情、恋愛、そして女性同士の友情は、男性同士の絆に比べて、下位の存在として扱われます。
少し難しい話になってしまいましたが、要するに男性優位社会である現代社会では、男性同士の絆に比べて女性同士の絆はどうしても下位の存在として扱われてしまっているということです。
週刊少年ジャンプを想像してもらうとわかりやすいと思います。努力、友情、勝利の「友情」と聞いて思い浮かべるのは「男同士の友情」ではないでしょうか?あるいは、「男同士の約束」、「女にはわからねえさ」なんてセリフはまさに女性同士の友情を下に見た言葉ではないでしょうか?
それゆえに、ベイビーワルキューレのような女性同士の強い絆を描く作品は非常に重要な作品だと思います。
それに、僕は友情と恋愛を曖昧にした関係性が大好きです笑
そして、今作、七瀬ではなく入鹿と親しくなり3人の絆が芽生えさせたことから、阪本祐吾監督は明らかに狙っているやっているんじゃないかという感じです。
僕の想像でしかありませんが、女性版「少年漫画」をやりたいのではないでしょうか。
3.前田敦子の存在
今回は、ちひろとまひろペアと一緒に入鹿みなみ(前田敦子)・七瀬(大谷主水)ペアが一緒に行動することになります。
これまで、ちさととまひろの会話にツッコミ不在の状況だったと思います。一応、ちさとが突っ込む場面が多いように見えますが、ちさとの独特の喋り方だとツッコミきれない。だからこそ、2人の会話は好みが分かれやすいものだと思います。
しかし、今作は前田敦子というツッコミ役が入ります。
一番印象的だったのは、冬村の部屋にちさととまひろが入った時に始まる会話の途中で、前田敦子が入ることによって、会話に区切りがつきます。
それに、2人の会話が得意ではなかった人にとっては、前田敦子がメタ的な存在になるので、2人の会話が苦手な人にとっても見やすい作品になると思われます。
4.殺し屋日常系お仕事映画
ベイビーワルキューレの魅力として、日常と非日常の曖昧性があると思います。
殺し屋という点以外を除けば、ただの日常系の映画のように見えてしまいますが、やっていることは人を殺すことに何の躊躇もない人殺しです。
ただ、この映画は殺し屋の「お仕事映画」でもあると思います。「殺し屋」映画であれば、ジョンウィックみたいにアクションてんこ盛りみたいな感じに撮影したり、ファブルみたいに最強の殺し屋がふらっと現れるみたいストーリーにしたりすることもできると思います。
しかし、ちさともまひろも面倒臭い仕事はとことん嫌がるし、事務処理だったり後処理だったりをものすごく嫌がります。そしてなにより、「田坂さん」という存在がよりこの映画をお仕事映画とたらしめています。殺し屋
日常と非日常の曖昧さで言えば、今回、特に序盤のシーンはそれが顕著に出ていると思います。
絵面だけ見れば、仲のいい女性2人がただ宮崎に旅行に来ているだけのように見えますが、ターゲットがいる扉の前に行くと、唐突に、しかし自然と殺しのシーンに入って行きます。この日常と非日常のシームレスな感じは、過去3部作の中で一番綺麗なシーンだったと思います。
緊張と緩和
少し話が横にそれますが、殺しというシリアスさがあるからこそ、クスッと笑えるシーンが生きていると思います。
一番、今回笑えたのは、前田敦子が車から降りたあと、ちさとがゆっくり銃を構えたところで、思わずクスッと笑ってしまいました。
4.まとめ
そんな理由から、べびわるの魅力が存分煮詰まった今作、そしてシリーズ最強の敵、これを超えるベイビーワルキューレが、これから先見ることができるのか不安になるくらい面白かったです。
わざわざ書く必要もないかなと思ったので、書いてませんが、伊澤彩織さんと池松壮亮さんのアクションシーンは本当に素晴らしくて、特に最初の階段での戦闘シーンは迫力満点で、これは日本版「ジョンウィック」じゃないかと興奮しました笑
まだ見てない人は是非見てみてください。