【銭湯日記】8日目

-8日目-

21時。
昨日早めに行くと決めたばかりなのに気づけばいつもの時間。不思議だ…。

見知らぬ猫ちゃんを横目に向かう。
下駄箱は44番。

「いらっしゃい」と番台の淑女。
今日も来たね、とマスク越しのオーラ。
私がお代を用意している間に、淑女は領収証の束を取り出す。段取り良い。

赤い暖簾を子慣れた仕草でくぐり高速脱衣。
今日も安定のマイシャンの君。

本日の風…いや、
[本日のぶろ]…はい、ジャグジーだね。

私が髪を洗う間に、マイシャンの君はジャグジーに沈む。整いました私は、ジャグジーからノーマル風呂を挟んで隣の電気風呂へ。電気風呂…ピリピリ感がどうも苦手。ピリピリ空間にギリギリ触れるあたりに沈む。

暫くのち、マイシャンの君は湯から上がる。私の目の前を通り出入口へ向かってゆく。

その時、カラカラと出入口のガラス戸が鳴く。

「こんばんはァ~」

はっ…!あっ…!これはこれは…っ!

「今日はえらい鏡が綺麗やなぁ!」と同調的ファーストコンタクト且つ関西的試練を与えしあの人。

"西の洗礼"の登場である。

あの時、超ド級になんの広げようもない、ドつまらない応えをしてしまったことを私は悔やんでいた。私は西の洗礼を受け、見事に外したのだ。

「あ、こんばんはァ」と出ていくマイシャン。

マイシャン!!マイシャンはっ!!西の洗礼と仲が良いのか!??
なぜあの時助け舟を出してくれなんだァア!!!

浴場には西と私の2人だけ。私は鏡に映る逆さまの"サウナ"の文字を漠然と見つめていた。西から何とな〜く視線を感じる、気がする。

電気に痺れた身体をゆらりと持ち上げ退場。
あぁ、緊張のひと時。

番台の淑女より領収証を受け取る。
「おやすみなさい、おおきに。気をつけてね」
気をつけてね…ココロとカラダにじんわり。

いつもの愛らしい猫ちゃんは今夜も…ぬぅ。
そろそろ猫ちゃんに会いたい。

帰宅。
給湯器修復の5/26までまだまだ。

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