【銭湯日記】12日目
-12日目-
21時半。
営業時間が23時まで延びたのでゆったり準備。
下駄箱は44番。
「いらっしゃい」と番台の淑女。
赤い暖簾を軽やかにくぐる。
マイシャンの君と私だけの空間。
余裕のソーシャルディスタンス。
[本日のぶろ]…ジェットバス。
先日、いつもの淑女の他にも番台の守護神がいることが分かった。シフト制だろうか?一体幾人で護っているのだろう?
そして"ジェットバス"か"ジャグジー"で統一しようとは誰も提案しなかったのだろうか…?(わたしなら勢いよく挙手しつつ声を上げる)
時刻は22時前。そろそろマイシャンの君は退場の時間。私はいよいよ決行する。
ド平日×仕事終わり×独占のサウナ。
いい響き。
バスタオル片手に意気揚揚と勝手の悪い扉を開ける。むあぁ〜っと身を包まれる。
サウナはとてもこじんまりしている。
3名ほどが身を縮めて座るのがやっと。
本日もほかほか90度。
天井隅のスピーカーから本日も演歌が流れ…?
耳を澄ます。
…街に消えてゆく……あなた…戻らない……
こ、これは………ベストヒット歌謡曲。
しかもなんとも寂しげな。戻らない恋人を惜しんでいるのか。切ねぇ〜。
3曲分はこの熱さに耐えようと決めたが、いやはや冒頭から切ない。そして恋人は戻らなかった。
2曲目が流れ出…え?演歌??
え?ベストヒット歌謡曲では??このメロディ…?
耳を澄ます。
…崖の上…戻らないあなたを……待つ……
また待っている。しかも崖の上。
歌っているのはおそらく女性である。また待たされている女性がひとり。相手は恋人か…?
…10年前……旅立った…極寒の……シベリアへ…
私、退場。
仕事終わりにはヘヴィすぎた。御免。
番台の淑女より笑顔をいただいて帰宅。
ほんとはもっと居たかったぜ。
愛らしい猫ちゃんはいない。
今週は逢えるだろうか。
昨日コーラを我慢したので今日は三ツ矢にお世話になる。ははっ。
静かに街灯を眺めるのはけっこう好き。