#新しい不動産業研究所レポート 会員向けトークイベント第1回「京町家をまもるためのローカルな仕組みづくり」
#新しい不動産業研究所が掲げる2022年8月-10月期のテーマは「ローカルディベロッパー×新しい不動産業」。会員同士でのノウハウの共有、そして新たな事業者との出会いや事業連携のきっかけづくりを目的に、8月11日に、会員限定で視聴ができるトークイベントを開催しました。イベントの様子をサマリーでお届けします。 ※ 研究所会員は全てのセッションをノーカット映像でご覧いただけます。
#新しい不動産業研究所 会員向けトークイベント 第1回「京町家をまもるためのローカルな仕組みづくり」
■ 開催日 8/11(木) 19:00~20:30
■ 配信 YouTube Live
■ 登壇者
株式会社八清 代表取締役 西村直己 氏
京都の不動産会社八清(はちせ)の代表取締役。京町家の買取再生再販を事業の中心に、中古不動産のリノベーション、新しい活用の可能性を探求し、京都のまちを面白く、創造的に魅力的すべく、仕入れに企画にと奔走中。売買・建築だけでなく投資スキームの研究にも余念がない。CPMⓇ(公認不動産管理経営士)、CCIM(公認不動産投資顧問)、不動産コンサルティングマイスター、宅建建物取引士、二級建築士。
#新しい不動産業研究所 所長 矢部 智仁 氏
合同会社RRP 代表社員/東洋大学大学院 公民連携専攻 客員教授
1987年株式会社リクルート入社、住宅情報部門に配属。2009年からリクルート住宅総研所長として業界動向の調査、ロビー活動に従事、行政設置委員会の委員等を歴任。2014年に建設・不動産業界を顧客とした経営コンサルタント企業に移り、地域密着の建設・不動産事業者の支援に携わる。2021年から合同会社RRP代表社員。
面倒だと思れていることを、丁寧に仕事にする
株式会社八清は、1956年の創業で、従業員は35名、売上高は20億を超える。 リノベーションした京町家や中古住宅の販売、不動産の買取・仲介売買、戸建物件の賃貸仲介・賃貸管理、所有物件の運営賃貸管理、不動産コンサルティングプロデュース業を事業としている。京都の中でも景観条例の美観地区に該当するエリアを主に対象とし、 不動産業者であり、設計デザインも行い、工務店機能も持つ。 築古物件を再生活用する提案型の不動産会社だ。
不動産の買取再販ビジネスで対象となる京町家は、元の状態としては、瓦が飛んでいたり床が抜けていたりと、相当傷んでることが多い。それをリノベして使える状態にもっていく。
取り扱っている内容は「面倒だと思われてしまう対象」だ。中古物件や伝統建築の面倒さ、あるいは路地の面倒さ、コミュニティ管理の面倒さなど。ここに八清の役割がある。手のかかる課題に対して解決していく。お客さんに対してまずは町を好きになってもらう取り組みを行なっている。面白いことを真面目にやっていくことがモットーだ。 ノウハウがしっかりと強みとなっていく。
京町家と企画売買。投資対象として、コミュニティづくりまで
京町屋は、戦前昭和25年以前に建築された職住一体型の伝統家屋だ。京都市内に現在約4万件が残存している。 年々約2パーセントが維持することができなくなり、解体されているという厳しい数字もある。八清では、改装+販売、仲介+請負工事を取り扱う。取扱件数はこれまでに900件以上。改装・プロデュースは400件を超えた。
実情紹介では、再建築不可への対応、金融機関との連携により、ユニークな京町屋ローンや、無担保ローンといった資金調達面でのポイントや、投資家との関係を念頭とした戸建て賃貸投資商品の用意に着いても触れていく。いくつかの実例に触れるなかで、地域との関わりもしっかりと初期の町屋を再生し、如何に現代に継承するか、広域に仕組みを用意し、今も新しいつくり方へのチャレンジが続く。面倒なことをワクワクする商品に変え、お客様の感性を届ける創造性、心に寄り添う経営の結果として、 非合理なものごとを、合理的なものとするのだ。
後半30分ほどでは、矢部所長からの質問を軸に西村さんにお話いただいた。従来の不動産業と異なる「めんどくさい」取り組みをされている理由とはなんだろうか。 事業モデルの収益性とおもしろさとの長期的バランス、資金計画で重視しているポイントとは。八清さんと同じようにやろうと思ったなら、どんな準備から取り掛かるとよいだろうか。会員のみなさんにとって、参考になることが多いのではないだろうか。