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ケーススタディハウスで検証する仮説 ~熱海の崖に家を建てる【コンセプト編】

いろいろありましたが、懸案の土地の決済は6月中には実行されそうになってきました。苦節2年半。
伴走してくださっているみなさんからは「マラソンで例えるとスタンドに入った感じ」とのこと。あと少し!

せっかく時間をもらえましたので、改めて何をケース・スタディするか、深堀してみようと思います。

熱海の崖に家を建てようと思います。
名付けて、熱海Case Study House。
自腹でケーススタディしながら、
今そこにある技術・アイデアを実装した
現代のCase Study Houseを目指します。


現代社会の矛盾に対抗する、できることから。

仕事がら、頭でっかちのコンセプトを考えがちです。最近は「脱成長」関連の書籍に感化されています。

「人新世」とは、人類の経済活動が地球を破壊する環境危機の時代のこと。気候変動を放置すれば、この社会は野蛮状態に陥るだろう。それを阻止するためには資本主義の際限なき利潤追求を止めなければならないが、資本主義を捨てた文明に繁栄などありうるのか。『人新世の「資本論」』(斉藤幸平著)

このままいくとまっしぐら!な社会の独自解釈(『人新世の「資本論」』まとめ)

資本主義社会は、資本を持っている人が最も効率的に利益を得やすいように仕組みがつくられています。豊かな人が増えれば、下々まで富が行き渡るので社会全体も豊かになるという考え(トリクルダウン)。
問題は、その時に自分の目の前から見えないところに負荷をつけまわす傾向があること。例えば、バングラディッシュの安い労働力に支えられた洋服づくり、携帯電話に必要なコバルトを採掘するために荒れ果てる土地、便利なクラウドサービスを提供するためのエネルギーの大量消費。
私の安さや便利さは、私の目からは見えない、誰かの、今と将来の犠牲の上に成り立っています。こうした”不都合”の外部化が、経済格差やひいては気候変動といった自然(地球)の搾取につながり、そろそろ私たちは戻ることのできないポイントに近づきつつあるのです(もしくはもうそのポイントを超えている)。
なぜなら、途上国の人々も豊かになり、彼ら自身が負荷を付け回す先が必要なのにその先がなくなりつつあるから。資源は掘りつくされ、森は破壊され、海は汚染され、無限にあると思われた地球(自然)もさすがにダメージに対する復元力がなくなりつつあるから。
誰かの犠牲に頼る社会は限界にきていて、これからはいろいろな意味で付け回した負荷から、逆襲に合う時代になっていくのです。
それを止めるには持続可能性と社会的平等を実現できる社会にならなければならない。そのためには・・(あとは読んでね) 

うーむ。そうかもねぇ。

仮にそんな社会にまっしぐらだとすると、私はなるべくまわりに負荷をかけない暮らしをしていきたい。とはいえ、ものすごく不便とか、かえってお金がかかるといった暮らしになることも避けたい。いい塩梅に負荷を付け回さない生活を目指したいわけです。

まずは、生活を維持していくために必要だが周りに負荷をかけているものをピックアップ、どう対処すると負荷を減らせるか仮説をたて、ケーススタディしていきます。

仮説1: デジファブを使えば土地に負荷をかけないで斜面地に一品ものの家を建てられる

絶景を求めて家を建てるのですが、土地は傾斜地です。森です。普通に考えると木をたくさん伐採し、土地の形状を変えないと建ちませんよね。なるべくそれをしないで建物を建てたい。
私なりの解決策は、デジタルファブリケーションで、一品ものの建築に取り組むVUILDさんと一緒に設計することなのです。たぶんできる!

仮説2: エネルギー源を多様化すれば個人でもエネルギー費用をあまりあげずにCO2排出をかなり削減できる

東京に住んでいる今、私は東京電力さんのお世話になっています。今は新規加入を募集していない、夜間電力が超割安なプランのおかげで、電気自動車の充電を割安に行えています。
自然エネルギー100%の電力会社にシフトすれば、疑似的にCO2排出量は削減できそうですが、電気代は倍くらいにあがると思います。

電気代をあげずに、CO2削減するには、さて、どうするか?

家庭のエネルギーのうち、大きな割合を占めるのが給湯と暖房。東京都によるとこれで50%を超えるとのこと。
せっかく家を新築しますので、給湯と暖房で電気を使わない仕組みを考えたいと思います。
給湯は、太陽のエネルギーを熱に代えて、お風呂やシャワーなどの給湯用に使える太陽熱温水器にトライしたい。
暖房はバイオマス発電を使った床暖房と、暖炉。楽しみの範囲で。薪割りが仕事になってしまう暮らしは避けたい。

その上で、太陽光発電と蓄電池を導入します。電気自動車を継続し、系統電力が落ちたら蓄電池替わりに使えるようにしましょう。


個人でできるエネルギーの多様化と建物の断熱性能の向上で、系統からの電力購入量をどれだけ少なくすることができるか、ケーススタディします。

仮説3: 貯めたり、家の外の水を使えば、利便性を損なわすに水の使用量を減らせる

独立採算制の水道事業は、人口減少で給水量が減少。しかも高度経済成長時代に作られた水道管は老朽化しています。ただでさえ東京よりも水道料金の高い熱海は、今後、より水道料金があがっていく可能性が高いと考えられます。

個人でできる抜本的な対策は井戸を掘ることだと思います。
残念ながら、我が家の敷地では、少なくとも100mは掘らないと水はでないようです。見積もりをとったところ1000万円くらいかかるとのこと。しかも水がでる保証なし。
断念せざるを得ません。

基本の水は、敷地の端から公共水道の水をポンプアップします。途中の受水槽に水をためることで緊急時の水は確保できそうです。ポンプアップの電力を太陽光発電でまかなうよう停電対策も必要です。でもこれだと水道使用量は減らない。

雨水の再利用をすること、お風呂はなるべく公共の温泉を使うことでどのくらいの水使用量を減らすことができるでしょうか。ここがケーススタディのポイント。できれば3-4日分の水は確保したいなあ。

将来的には、土地を別途購入して井戸を掘りたいです。軽トラにタンクを積んで水を運ぶ生活って、リアルにありえるでしょうかね?これもケーススタディネタです。

仮説4: 美味しいものがあれば、物々交換で地域内の美味しいものをゲットできる

世界的な人口問題や都市化、中間層の増加により、動物性たんぱく質(牛、豚、鳥)の需要が増加、2030年頃には食料問題として顕在化すると言われています。代替品として注目されているのが昆虫・・。偏見ですが、オーマイガー!やっぱり見た目も美味しいものを食べたい!

今朝のニュースによると世界の食料価格も約10年ぶりに高水準に上昇しているとのこと。干ばつなど生産状況の変化、急激な需要の変化に対応する余地が狭まっているのだとか。タンパク質だけではなさそうです・・。

自分たちですべての食料を生産することはできませんので、物々交換でゲットできる食料の幅を広げておきたいと思います。物々交換してもらうには何を持っていればよいか?

せっかく森に竹林がありますから、きちんと整備して白子筍を栽培します。高級料亭でも使われる食材とのことで、この春京都ものを取り寄せてみました。8本で5000円。エグミ少なく香り高い。

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あとは果樹を植え、香りのよいハチミツを採取すべく養蜂にも取り組みましょう。
コーポラ仲間と取り組んだ経験を踏まえると、我が家だけでは取り組めません。一緒に取り組んでくれるお仲間募集しないと、です。

湘南ゴールドとハチミツのシロップがかかったかき氷、食べてみたいと思いませんか?

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地道に菜園で野菜もつくります。これはここ10年東京でトライしているのでちょっと自信があります(笑)。

何をつくると物々交換で喜ばれるか、北側斜面地で何を育てられるか、ケーススタディします。

仮説5: 斜面地、木造で、南海トラフ地震に勝つ

南海トラフ地震は概ね100~150年間隔で繰り返し発生。前回の南海トラフ地震(昭和東南海地震(1944年)及び昭和南海地震(1946年))が発生してから70年以上が経過しています。切迫性が高まっていると言われており、気象庁の予測によると熱海の震度は5強、津波は2-5m。

「崖に家を建てる」からには、構造的な安全性は絶対。特に今回は、国産木材での建築計画になります。ウッドショックといわれ価格が高騰する中、VUILDさんは通常より太い径の木材を数倍使う計画のようです。
果たして適切に木材を調達できるか、南海トラフ地震に負けない強さを持たせられるか、ケーススタディします。
木材の里も見に行きますよー!

仮説6: 50歳を過ぎても、坂の街でも、移動の自由は確保できる

東伊豆・中伊豆地域(熱海市、沼津市、三島市、伊東市、伊豆の国市、東伊豆町、河津町、函南町)は鉄道や路線バス、タクシーなどの公共交通手段が確保されています。しかしながら、人口減少や少子高齢化などの背景から、地域や路線によっては公共交通の確保が困難になることが懸念されています。

自動運転バスの巡回運航等を地域ぐるみで誘致したいところですが、政治力が必要ですよね。

まずは個人でできることとして、災害があっても動けるように太陽光発電の電気を活用した電動自転車を導入したいと考えています。
熱海という坂がきつい町で電動自転車で町まで往復できるか、ケーススタディはそこからはじめます。
資材を運ぶことを考えると軽トラ導入しましょう。カッコよくて使いやすい軽トラ改造にもチャレンジしたいと考えています。

本当に移動が難しくなった場合の代替手段は情報通信(テレワーク)です。災害時にも通信が断絶しないように、衛星通信にトライしようと思っています。
イーロンマスクさんの会社、スターXが提供する衛星ネット接続サービス「スターリンク」の予約を日本でも受け付けているので、まずは99ドル支払いました。本当にサービス提供になるのはいつなのか、いつまでもベータ版なのか、どのくらいの速さなのか、このあたりもケーススタディですね。

仮説7: つながりをつくることができれば、孤独と無縁。

2月に日本政府が英国に次いで世界で2番目となる孤独・孤立対策担当大臣(坂本哲志氏)を任命したことをご存知でしょうか。猫はいるけれど子供のいない夫婦である我が家にとって、熱海で孤独に苛まれたらとても暮らしていけません。

我々が使える資産は、1200坪の森(まだ予定ですが)。そもそも、自分たちだけでは管理しきれないので、ご一緒に管理してくださる方をお誘いしたいというのが本音だったりするのですが、ここが孤独を解決する、つながりをもたらすものになるとしたら、コモンズとしての森での活動もケーススタディになるのではと妄想しております。

森の整備は、熱海市の大切な資産をメンテナンスすることでもあります。市民の皆様にとっての外部不経済の見える化にもつながるとよいなと思います。

お仲間になっていただける方には無償で潤沢にご活用いただき、そこで自律的・水平的に共同管理する仕組みをどうつくっていくのか。うーむ、どうやると実現できるのかな。。

まとめ

外部依存ゼロでくらしていくことはできないけれど、なるべく外部依存を減らしたいと考えています。

土地、エネルギー、水、食料、安全、移動、つながり。

生活の基本インフラをできるだけ自力で、外部への負荷少なく、でも利便性は高くを、高すぎないコストで実現することをケーススタディしていきます。

私たちができれば、他の人もできる。
自腹のケーススタディを通じ、個人でできる資本主義社会の問題点を解決するツボを見つけていきます。

長くなってしまいましました。最後まで読んでくださりありがとうございます!

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参考文献

東京都環境局「家庭におけるエネルギー使用状況」(2021年5月29日)https://www.kankyo.metro.tokyo.lg.jp/climate/home/energy.html 

厚生労働省「最近の水道行政の動向について(水道の基盤強化のための地域懇談会(第4回)平成29年9月21日」(2021年5月29日) https://www.mhlw.go.jp/file/06-Seisakujouhou-10900000-Kenkoukyoku/0000203990.pdf

FAO「昆虫の食糧保障、暮らし そして環境への貢献」(2021年5月29日)http://www.fao.org/3/i3264it/i3264it.pdf

ブルームバーグ「Markets Global Food Prices Surge to Near Decade High, HN Says」(2021年6月4日)https://www.bloomberg.com/news/articles/2021-06-03/global-food-prices-surge-to-highest-in-almost-a-decade-un-says

気象庁「南海トラフ地震について」(2021年5月29日)https://www.data.jma.go.jp/svd/eqev/data/nteq/assumption.html

熱海市「東伊豆・中伊豆地域公共交通網計画」(2021年5月29日)https://www.city.atami.lg.jp/shisei/machidukuri/1001403/1005985.htmlI

ITMedia「SpaceX、衛星ブロードバンドアプリ「Starlink」を米国でリリース2020年10月28日」(2021年5月29日)https://www.itmedia.co.jp/news/articles/2010/28/news070.html


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