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レビュー 2024/10/23 BOYS and

ついに、この日が来た。
SOPHIAの、新しい音源が発売される日。
しかも、トイズファクトリーから。

受け取って、家に帰るまで待てばいいものを、どうにも待ちきれずに、すぐに中を開ける。
ん? 何だか分厚い。
初回限定の「blue on blue」は、別のケースに入ってるってこと?

ビニールを剥がすと、紙が1枚外れ、紙ケースが現れる。
そして、中身を取り出す。
1つは、もちろん「BOYS  and」。
もう一つは、…え? 「『GIRLS and』が春に出ます。」?
え? ただの宣伝? どういうこと?

よく見ると、このスリーブケースは、「GIRLS and」と一緒に収納するためのものだ、とある。
確かによく見ると、ケースには「BOYS and」と「GIRLS and」が並んで書かれている。
んん? そんなの、外から見てそんなこと書いてあったか?

そこで、はたと気づく。
初めに外れたあの紙。
あれには、「BOYS and」としか書かれていない。
つまりあれは、CDサイズの巨大帯だったのだ。
やってくれますね、SOPHIAさん。


01 State of love -BOYS and ver.

収録曲発表があって、いちばん嬉しかったのがこの曲。
どきどきして、再生ボタンを押す。

「失われた街で…」「形あるものは」と囁く松岡。…なにこれ。
イントロ、私が思ってる音と半音違う。(違うのは当然私だ)
リズム隊が強い。そして、ピアノの音が都さんだ。
楽しげにハネるピアノと新しいコーラスが聴こえるサビ。みんなの笑う顔が見えるようだ。
キーボードソロは、シンセ!っていうシンセ。もともとそうだったけど、さらに磨きがかかってる。
転調がなかったらさみしいと思ったけど、そんなことはない。アウトロまで、終始都節。
…う~ん。ベースラインが変わったのかどうかは全く分からない(同じに聴こえる)。

失われたで終わる


02 Like forever -BOYS and ver.

「15」の前例もあるので、多少の不安を抱えながら聴き始める。

壮大なイントロ。緩めのテンポ、というか、四分で刻むベースの音の上で、高いキーボードが八分でピコピコしている。
これ、どこかで聴いたと思って、記憶総動員で考えたけど、分かった。"walk"だ…。

え。今まで経験のない、初めて聴くアレンジ。重すぎず、ふんわりと広がりのあるキーボードと、下を支えるストリングスの四分の低音。
でも、サビ終わりで一転して通常運転に。
とは言いつつ、いつものギターソロに近いメロディーを弾くのは松岡のハープと都さんのピアノ。

そして、最後のサビ。
え、嘘。これ、黒柳、の、声、だよね…。
コーラスがメンバーがいれるなんて、今までなかったのに。
最後の「Like forever…」が都さんなのは絶対。

アウトロはまたもハープとピアノ。これが、聴き慣れていて落ち着く。

でも。よく考えると、ギターソロが少しもない。
都さんにジャックされた感じ。
それでも楽し気にギターを弾いているであろうジルくんもまた、かっこいい。


03 ―あなたが毎日直面している世界の憂鬱―

曲順を見ているだけの時は、何だか違和感を感じたけれど。
順番に聴いていくと、あるべくしてここにあるのだということが分かる。
「誰のせいでもない」"Like forever" と、「やんなっちゃうよ人生」の"世界憂"。
理想と現実が、優しさと憂鬱が同居するのがこの人生。
そして、SOPHIAの音楽だ。


04 Secret Lover's Night -BOYS and ver.

初めて聞いたのは、下に貼った9月27日の松岡進化なのだが、アルバムの中で聴くとまた違う。

ドラムの音の違いがとにかく耳につくこの曲。
ペタペタというか、高めの音が耳に入ってくる。
これをどう表現すべきなのか私には分からないのだが、いいとか悪いとかではなく、これが今のトモくんなのだろう。

そして、最後のアウトロ。
四分で刻むドラムとベース、そしてボーカル。
え、ちょっとびっくり。原曲ではこんなのない。
でも、そこが無性にかっこよくてクセになる。


05 Kissing blue memories -BOYS and ver.

もしかして、アコースティックバージョンになっているのではないかと期待しながら聴いたこの曲。
が、イントロはいつも通り。
…と思ったけれど、都さんが都さんしている。
とにかく、都さんが遊んでいる。そうとしか表現できない。

そして、Bメロ。
何これ。二分で刻んでるって表現で合ってるのかは分からないが、流れるような、ゆったりとしたベースの上に、ボーカルが乗る。
こんなの、聴いたことない。これがキスブル…?

ベースソロはいつもどおりだけど、1回目と2回目とかかってるエフェクターが違う。なるほど、おもしろい。

う~ん。Bメロに来るたびに、縦ノリの首が戸惑ってしまう。
あ、別に悪いと言っているわけではないけど。

最後の締め方は、ライブバージョンに近い。
それ、今回多いのかも。


06 Believe -BOYS and ver.

いきなりイントロから始まる。
が、その違和感が何から来ていたのかに気付くのは、あとからゆっくり考えた時だった。

とにかく、印象的なのは都さんのピアノ。
イントロからAメロの冒頭、今まで頭の中で鳴っていたのとは違うコードのピアノを持って来る都さん。
ほんのこれだけのことで、"Believe"が"Believe"でなくなり、新しい"Believe"になる。
優しい、優しい、"Believe"。

ずっと、都さんの音だけを聴いている。
この曲のこのアレンジの、ピアノ譜だけが欲しいとすら思う。
弾ける気がしないが、もしかしてものすごく練習すれば弾けるのではないかとも思う。


07 I & I Wish

ラジオでかけてくれたおかげで、だいぶ頭に入っている曲だけれど。
"Believe"の次の曲であることが信じられないほど、あるべくしてここにはまっているという感じがする。
そうだな。「マテリアル」の中の"material of flower"のような、これまでの全てを包み込むような、それでいて強く訴えかける何かを内包している曲。

「深い闇越えて 来るのは夜明けか」。
30年経ったけれど、その答えは未だに見えない。
夜明けが来る日もあるだろうし、暗いまま、雨が降り続ける日もあるだろう。
でも、私たちのそばには、いつもSOPHIAがいる。
だから。




アルバムとして聴いて、思うことは大きく2つ。

一つは、これは都さんのアルバムだな、ということ。
もともとSOPHIAは、特徴的なキーボードがその売りだったのだろうけど、このアルバムで聴く、同じ曲を弾く都さんは、94年、95年の都さんとは、似て非なる都さんである。
これを専門用語で表現することができない自分があまりにもどかしいが、とにかく、都さんの渾身のアレンジが詰まった1枚だなぁと思う。
「GIRLS and」がとにかく楽しみである。

もう一つ。
歌詞カードを広げながらアルバムを聴いていて、上段の3曲と、下段の4曲に、何となく区分されるのだろうな…と思った。
下の4曲は、最初初期からの3曲と、それの対極にある最新曲が並ぶ。しかも、不思議なくらい違和感なく。
では上段は何なのかと言われると言葉に詰まるが、強いて言えば、強いメッセージ性のある曲を集めた、というところか。
もっとも、SOPHIAの曲はメッセージ性に塗れているので、この3曲が特別だということでもないのだけれど、でも、彼ら自身が彼らを象徴する曲として選んだのではないかと思う。
その代表が"State of love"なのか。


アルバムなのに、全ての曲を既に知っているという、不思議な体験をした今回の作品。
もっともっとたくさん聴いて、「GIRLS and」への期待を膨らませたい。







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あたか@青空自卑感
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