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書籍用紙と筆記用紙

紙はその用途によってとても幅がある(と思っている)。私は製紙会社に勤めているわけでもないし、紙問屋をやっているわけでもないから、そういう方々に比べたら紙についての知識なんて知れたものである。
が、紙を工夫して販売している者としては、ある程度の知識を持っていたほうがいいと思うので、いろいろ自分自身の知識を高めたいと思っている。
なので、自分のために今知っていること、調べたことなどを少しずつ書いておいたほうがいいかと思ったので、noteを書いてみる。

書籍用紙も筆記用紙も上質紙

あたぼうステーショナリーとして、よく使っている紙に「キンマリ」というシリーズがある。これは、「北越コーポレーション」が作っている洋紙である。
紙にはいろいろな種類があるが、身近なものとして、上質紙がある。書籍用紙と筆記用紙はこの上質紙の一種である。一般的に、上質紙は紙が黄色くなる原因である「リグニン」が少なくなる加工がなされていて、昔の紙のように黄色くなりにくい。
まあ、それは置いておいて、書籍用紙と筆記用紙の違いを考えてみよう。

書籍用紙は、印刷特性が高い

活版印刷機

書籍用紙は名前のとおり、書籍に使われる紙である。だから、きれいに印刷できることが大事である。ただし、上質紙なので、いわゆる塗工(表面がテカテカするような感じの加工)がなされていない。結果、インクが染みこみやすい。印刷屋さんなどはこれを「沈む」と表現したりする。

だから、元々、書籍用紙は白黒印刷に強いと思う。カラーをきれいに出そうとすると色が沈むので、塗工紙と呼ばれるテカテカした紙の方が向いている。要は、文庫本とか、文字を読むための本に向いているということ。

書籍などを印刷する際には、オフセット印刷という方法が一般的だろうと思うのだけど、その方法の時は油性のインク(印刷ではインキとも)を使うことが多い。そのため、そうした印刷に向いた紙になっているのが書籍用紙である。これを「印刷特性が高い」という。

筆記用紙は、筆記特性が高い

原稿用紙

一方、筆記用紙は名前のとおり、「筆記特性が高い」用紙である。しかし、これが難しいと私は思う。なぜなら、筆記具とは、鉛筆から始まり、万年筆、ガラスペン、ボールペン(油性、水性他)、フエルトペンなど多岐にわたるからである。

全てではないが、筆記用紙は裏抜けなどしないよう、薄い塗工がされているケースがある。特に、手帳用紙(筆記用紙の一種)では裏に抜けては手帳としての役割を果たさないので、裏にインクが行かない処理がなされている。

さらに、筆記しやすいことが大事だから、なめらかな書き味が求められる。書くのが好きな人は、少し引っかかった方が良いとか、ヌルヌルした方が書きやすいとかいろいろ感覚的なものがある(ので、これまた製紙メーカーさんを悩ませるところかなとも思う)。

品質という意味での特性

以上のように、書籍用紙は印刷特性が高く、筆記用紙は筆記特性が高いことが求められている。製紙メーカーさんとしては、それぞれの分類に特化した紙を作ることで品質を保持している。

つまり、特性というのは品質保証という意味で大事なことである。書籍用紙であれば、印刷時にインキが乗りやすく、乾きも良い状況が求められる。それを保証するわけである。逆に言うと、それ以外は保証できないということでもある。

あたぼうステーショナリーでは、飾り原稿用紙という製品に「キンマリスノーホワイト」という紙を使っている。この紙は「書籍用紙」である。つまり、印刷特性が保証された紙である。が、表面がなめらかなため、筆記するときにも気持ちよく書ける。また、白色度が高いので、いろいろな万年筆インクなどをきれいに見せる。

ということから、キンマリスノーホワイトを採用している。がしかし、その特性故に「筆記特性」はメーカーから保証されない。インクが裏に抜けたり、にじんだりすることがある。それは、オフセット印刷などで使われるインキに対してはきれいだが、それ以外は厳しいよ、ということを示している。

ロットによる違い

上述のように、筆記特性にある程度優れているキンマリスノーホワイトではあるが、書籍用紙全てがそうではないし、ロットによる違いもある。筆記特性のよいロットもあれば、そうでないロットもある。ただ、それは自然のことでもあるので、全てを保証できないのである。

結果、あたぼうステーショナリーの飾り原稿用紙でもロットによって万年筆インクの抜け具合やにじみ具合が違ったりしている。ご容赦いただきたい。もちろん、容赦できないほどの抜けがあるなどの場合は問い合わせて欲しい。交換対応も考える。

最後に

今回は、書籍用紙と筆記用紙について考えてきたのだけど、また、違う機会には他の紙についても書きたい。箱などに使う紙などもおもしろいと思う。私は紙に頬をすりすりするような紙好きではないが(笑)、いろいろ知識を得ることは好きなので、また書いてみるために調べたりはしてみたいと思う。

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